新築物件や築浅物件と比べて初期費用がかからないとして、不動産投資の初心者にも人気の築古物件。ただしその分、気を付けなければいけないポイントもあります。
そこで今回は、築古物件を購入する際に気を付けるべき注意点や、築古物件の基本的な特徴、不動産投資を行うにあたってのメリット・デメリットをくまなく紹介します。
本記事を最後まで読めば築古物件に対する理解が深まり、今後のやるべき事が明確になることが期待できます。築古物件での不動産投資に興味のある方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
それでは早速見ていきましょう。
築古物件とは?
建てられてからかなりの年月が経っている築古物件。築古物件の定義についてはあいまいな部分も大きいですが、物件の耐用年数を超えた時点で築古物件と呼ばれることもあります。
「築古物件」の認識がズレていると、「耐震基準を満たしていなかった」「思わぬ不具合が見つかった」などのトラブルのもとになることも。そのため築古物件について理解しておくことは、不動産投資を行う上で重要です。
次の項目から築古物件の定義や特徴について詳しく解説しているので、しっかりと確認してみてください。
築年数何年から「築古」と呼ばれる?
一般的に築古物件とは、築年数が30年以上経過している物件のことを指します。ただし、物件の構造によっても「築古」と呼ばれる基準年数は変わってきます。
以下の表は、物件構造ごとの耐用年数を表したものです。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
この耐用年数を超えた物件を、「築古物件」と呼ぶこともあります。
しかし不動産によっては、築古物件に対する年数の認識が異なることも。「どこからが築古物件か」は、やや主観的な部分もあるため、しっかりと築年数を確認することが大切です。
築古物件の特徴
築古物件には他の新しい物件にはない、以下の特徴があります。
- 低価格で購入できる
- 耐震基準が現代に合ってない場合がある
- 必要に応じてリフォーム必須の場合がある
低価格で購入できる
新築物件や築浅物件と比べると、築古物件は圧倒的に低価格で購入できる可能性が高いです。
物件によっては、1,000万円以下で販売されているものも。築古物件になるとこのようなケースもざらにあるため、人によっては金融機関からの融資を受けずに自己資金のみで購入することができる場合も。
耐震基準が現代に合ってない場合がある
築古物件はかなり昔の基準に則って建てられているため、現代の耐震基準に合致していない場合もあります。
現代の耐震基準は、以下の通りです。
【新耐震基準】昭和56年(1981年)施行
「震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないこと」
1981年は今から42年前なので、それ以前に建てられた物件は現代の耐震基準を満たしていない可能性が高いでしょう。
必要に応じてリフォーム必須の場合がある
築年数が古いと、部屋を居住スペースとして機能させるためにはリフォームを余儀なくされる場合も多いです。
特にキッチンや浴室、トイレなどの水回りはリフォームして整備しておかないと、現代人の生活様式に合わない可能性も。
低価格で購入できて初期費用が浮く反面、ある程度のリフォーム費用が必要になると想定しておくことをおすすめします。
築古物件で不動産投資を行うメリット3つ
きれいで新しい新築物件や築浅物件と比べて、築古物件は不動産投資に不利そうなイメージがあるかもしれませんが、実は築古物件ならではの強みがあるのも事実。
ここでは、築浅物件で不動産投資を行うメリット3つを紹介していきます。
- 高い利回りが期待できる
- 将来的な値下がりのリスクが低い
- 減価償却で節税になる
いずれも投資を行う上ではかなり嬉しいメリットであるため、よくチェックしていきましょう。
高い利回りが期待できる
これまでもお伝えしたように、築古物件は少ない初期投資で済むことが大きな魅力。初期費用が少なく済む分、高い利回りが期待できます。
一般的に新築物件や築浅物件の想定利回りは、10%前後とされています。それに比べて築古物件の想定利回りは20%~30%になる場合も。
不動産投資の利回りには、「表面利回り」「実質利回り」の2種類があります。表面利回りは物件価格と家賃収入から導き出せるので、利回りをざっくりと把握することに役立ちます。
表面利回りは以下の計算式で表すことができます。
表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
たとえば年間家賃収入が360万円(1部屋3万円×10部屋×12ヶ月)で、物件価格が1,000万円の場合で考えてみましょう。この場合の表面利回りは、36%です。
もし物件価格が新築物件などのように高額だと、表面利回りは大きく変わってきます。たとえば上記のケースで物件の購入価格が2,000万円の場合、表面利回りは18%となります。つまり購入価格が低いと、家賃収入が利益に反映される割合が高くなるため、表面利回りが高くなるというわけです。
ただ、表面利回りにはリフォーム費用や経費といった、不動産投資に必要な他の費用は反映されていません。これらの費用も含めて計算したものが、「実質利回り」です。
実質利回りの計算式は、以下の通りです。
実質利回り=(年間家賃収入-年間の諸経費)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100
リフォーム費用などを含めると、実質利回りは表面利回りよりも低くなることが想定されます。しかし新築物件や築浅物件よりも物件価格が格段に安いので、それなりの利回りは期待できるでしょう。
築古物件の場合、家賃を低めに設定することで「安さ重視」の住人が居住することがほとんど。家賃の安さをメリットに居住する住人が長く住むと、それだけ家賃収入の安定にもつながります。
その上必要に応じてリノベーションなども行えば、物件の価値も高められます。築古物件は不動産投資において、あらゆる可能性を秘めていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
将来的な値下がりのリスクが低い
築古物件は、将来的に値下がりするリスクが低いことが大きなメリットとして挙げられます。
その理由は、すでに値下がりしていてこれ以上下がることができないから。築古物件は耐用年数を超えているものも多く、すでに不動産価格の値下がりをし切ったものが多いという特徴があります。
そのため他の新築物件や築浅物件と比べて、値下がり幅が狭い点は投資においては大きなメリットといえるでしょう。
値下がり幅が狭い物件の場合、土地価格や物件価格が少し上がるだけでも利益が出やすい状態といえます。仮に賃貸住宅の需要が高い都心部で土地価格の高騰が発生した場合、築古物件の需要が高まる可能性も。その際には売却益や家賃の価格を見直すことによって、利益を増やせる見込みもあります。
減価償却で節税になる
不動産投資では、物件を減価償却で計上すると節税対策になります。
減価償却とは、購入価格が大きく長期間使用するものを、一定期間に渡って分割して費用計上すること。物件は購入価格も大きく、まさに減価償却の対象です。
経費計上する期間を「償却期間」といい、これは物件ごとの耐用年数によって定められています。
築古物件の場合、減価償却による節税効果が高くなることが大きな魅力です。なぜなら築古物件は築年数がすでに経っているため、耐用年数までの残された期間が短いことがほとんど。
築古物件が節税になる仕組みを簡単にまとめると、以下の通りです。
耐用年数満了までの期間が短い=償却期間が短くなる=毎年の減価償却費が大きくなる=節税効果が大きい
つまり1年間に減価償却できる分が大きくなるため、純利益が増加するということです。
築古物件で不動産投資を行うデメリット3つ
経済面で魅力が多い築古物件ですが、もちろんデメリットも存在します。
ここでは築古物件で不動産投資を行うデメリット3つを紹介します。
- 金融機関のローン審査が厳しい
- 予想外のコストがかかる可能性もある
- 購入後に深刻な欠陥が発生するリスクもある
こちらは築古物件を購入するならかならず頭に入れておきたいデメリットです。事前に把握しているだけでも負担は軽減できるので、よく理解しておきましょう。
金融機関のローン審査が厳しい
築古物件は物件の設備が古く、金融機関からの評価が低くなりがちなので融資を受けにくいというデメリットがあります。
場合によっては、ローンを組むことはできても「貸出比率が低い」「金利が高い」などのハードルがあることも。さらに過酷なケースになると、「返済期間が短い」といった厳しい条件が課されることもあるとされています。返済できない状況になることだけは避けることが大切です。
ただこのような場合、一定の条件を満たせば融資してくれる金融機関もあります。
一例としては「耐震基準適合証明書(適合証明)」を取得し、新耐震基準を満たすことを証明することも対策としておすすめです。
予想外のコストがかかる可能性もある
物件購入後に予期せぬ欠陥が見つかり、修理費がかさむケースもよくあります。
たとえば雨漏りや水漏れ、断線、建物のひび割れといった、予想される不具合は挙げ出したらキリがないほど。それらのためのリフォームや修繕維持、管理などに案外コストがかかるため、想定外の出費にも対応できるよう備えておくと安心でしょう。
購入後に深刻な欠陥が発生するリスクもある
物件の老朽化によるトラブルが発生し、それによって入居者が退去する可能性も大いにあります。
先ほども紹介した雨漏りや断線、建物の傾きなど、あらゆる欠陥が考えられるでしょう。その反面、部屋の中のひび割れや結露については、入居者がいる間は発見するのがなかなか難しいのも事実。それによって発見が遅れてしまうこともあります。
購入後に欠陥が見つかった場合、修理費もかかる上に修理にかかる時間と手間も考慮しなければなりません。部屋の中で欠陥が発生すると、修理している間は入居者を入れることができないため、家賃収入にも響きます。
このような事態をなるべく避けるためにも、購入前に「売買契約書をくまなくチェックすること」「以前のオーナーや管理会社の管理状況を確認すること」が重要です。
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築古物件で不動産投資を行う際の注意点
様々なメリット・デメリットがあることがわかった上で、築古物件で不動産投資を行う上での注意点を4つ紹介します。
- 必ず直接内見し、周辺環境もよく見ておく
- リフォームやリノベーションの知識を多少はつけておく
- 耐震基準を確認しておく
- 想定外のトラブルに対応できる資金を用意しておく
築古物件の場合は、新築物件や築浅物件に比べて確認しておいた方が良いポイントが多くあります。いずれも収入や資金に直接影響する大事なポイントなので、ここでしっかりと確認しておきましょう。
必ず直接内見し、周辺環境もよく見ておく
物件購入にあたって、候補となる物件は必ず内見して周辺環境もよくチェックするようにしましょう。
【物件のチェックポイント】
特に築古物件は築年数が経っているので、老朽化の度合いなどは直接目で見て確認した方が良いです。特に水回りや内装などは、「入居者が集まるかどうか=家賃収入の安定」に直結するので、必ず直接内見してチェックしましょう。
水回りの中でも特に、ユニットバスになっている物件は現代では需要が少ないので避けた方がベター。トイレ・浴槽・洗面が一体になったユニットバスは、ビジネスホテルはよく見られる形式ですが、住まいとして毎日使うとなると「使い勝手が悪い」と感じる人が多数派でしょう。このような物件には入居者が集まらない可能性も高いので、注意が必要です。
【周辺環境のチェックポイント】
賃貸物件は、「周辺環境の変化によって住み心地が変化する」という特性があります。そのため周辺環境の調査と情報収集は欠かせません。
- 物件の近くにスーパーはあるか
- 交通の便は良いか
- 騒音になりそうなものはないか
基本的なことだと、上記のポイントはマストで確認しましょう。
それに加えて、今後の可能性を勘案することも重要です。
たとえば物件の隣が空き地になっている場合、将来的に新築物件が建つ可能性も拭えません。新築物件が建つと「日当たりが悪くなる」といったデメリットが発生してしまいます。
他にも、近くにあるスーパーが移転・倒産してしまう可能性はないか、客入りを確認しておくこともおすすめです。近隣のスーパーがなくなると日々の買い物が不便になるため、住み心地が悪くなります。
リフォームやリノベーションの知識を多少はつけておく
築古物件では、リフォームが必要となる可能性が他の物件と比べて格段に高いです。そのためリフォームに関する知識はつけておいて損はありません。
ただし、リフォームすればするほど物件価値は高まりますが、その分利回りは下がります。リフォームをするなら、リフォームをする箇所は厳選することが大切です。
どのターゲット層に対しても水回りのリフォームは必須である傾向が強いですが、以下のように的を絞って戦略を練ることもできます。
- 単身者向け:キッチンのリフォームは見送る
- ファミリー向け:キッチンや収納もリフォームする
上記はあくまで一例ですが、ターゲットに合わせてリフォームする箇所を選ぶことも、効率的な不動産投資には必須の考え方です。
耐震基準を確認しておく
「築古物件の特徴」の項目でもご紹介したように、築古物件は現代の耐震基準に合っていない可能性もあります。そのため検討中の物件が、いつの時点での耐震基準で建てられているかを確認しましょう。
現代の耐震基準は昭和56年(1981年)6月施行の新耐震基準であるため、この年代を基準として確認することが大切です。
想定外のトラブルに対応できる資金を用意しておく
築古物件は思わぬ欠陥などによって修繕費やリフォーム費用などが必要となる場合も多いため、資金は余裕を持って用意しておきましょう。
予算ギリギリで物件を購入して思わぬ不具合が発生した場合、修理費やリフォーム費用が支払えなければやむなく物件を手放さなければいけなくなってしまうことも。
そのため、「購入後に追加費用はかかるもの」として、資金計画を立てることがおすすめです。
築古物件購入に関するよくある質問
最後に、築古物件の購入に関するよくある質問をピックアップします。
- Q1 建て替え狙いで築古マンションを購入するのはアリ?
- Q2 築古物件を購入して後悔した人もいる?
築古物件の購入を検討する人なら、誰もが一度は抱く疑問だと推察されます。一つずつ見ていきましょう。
Q1 建て替え狙いで築古マンションを購入するのはアリ?
築古物件はその古さゆえに、建て替えを視野に入れて購入しようか検討する方もいるかもしれません。
しかし建て替えには条件があり、実はハードルが高いのも事実。
まず共同住宅であるマンションの建て替えを行うには区分所有法によって、区分所有者数の5分の4以上の賛成と、議決権の5分の4以上の賛成による決議が必要と定められています。
多くの住民が住む物件から住民の意見を聞き取り、5分の4以上の賛成を得ることはかなりの労力が必要とされるでしょう。
それに加えて建て替えの検討から決定、実施に至るまでの道のりはかなりの時間を要するため、なかなかハードルが高い問題です。
膨大な時間だけでなく建て替えのコストもかかるので、その手間とコストを考えると建て替え狙いでの購入はあまりおすすめできません。
建て替えられた築古マンションの事例はまだそこまで多くないのも事実です。
Q2 築古物件を購入して後悔した人もいる?
初期費用が抑えられるとして魅力の築古物件ですが、購入して後悔した人も一定数存在します。
後悔した理由として挙げられているのは、主に以下の内容です。
- 修繕費がかさむ
- 物件が傾いている
- 雨漏りした
- 軒天(のきてん)がはがれていた
- 水漏れした
- 旧耐震基準の物件だった
- 物件のすぐ隣にビルが建ち、日当たりが悪くなった
- 購入後に物件価値が下がった
コスト面での後悔もあれば、想定外の欠陥が発見されたケースもかなり多いことがわかります。老朽化や欠陥については、直接内見した際に念入りに確認することと、売買契約書を細かくチェックすることで防げるものもあります。
「購入後に物件価値が下がった」については、築年数が10年~15年の物件はこれからどんどん下落していく傾向が強いです。
そのためそれらの物件を購入しても物件価値が下がっていく一方なので、購入するなら築20年〜25年以上の物件を検討することをおすすめします。これらの物件はすでに価格が下がり切って、安定している傾向にあります。
まとめ|入念に調べて築古物件で不動産投資をしよう
ここまで、築古物件を購入する際の注意点や不動産投資を行う上でのメリット・デメリットを詳しく紹介しました。
築古物件は低価格で購入できる上に、将来的な値下がりのリスクも少ないという大きな魅力があります。確定申告においては、償却期間が短くなるので節税効果が期待できるという一面も。
その反面、深刻な不具合が見つかると想定外の出費がかさむ可能性もあります。ローン審査が厳しいというデメリットもあるので、資金は余裕を持って準備しておきましょう。
念入りに内見・周辺環境の調査を行うことと、契約書をくまなく確認することで、大体のトラブルを未然に防ぐことはできます。新築物件や築浅物件にはない魅力がつまった築古物件は不動産投資におすすめなので、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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