近年、ウィスキーブームが到来し、1本が非常に高値で取引されています。数百万円の価値がつくことも珍しくありません。また、オークションであれば、なんと1億円以上で落札されています。
実物投資に取り組む人であれば、高い落札額ゆえに興味を惹かれるウィスキー投資ですが、そもそもどんな種類があるかをご存じでしょうか。
本記事では、ウィスキー投資に興味のある方向けに、ウィスキーの世界における「五大ウィスキー」とは何か、それぞれのウィスキーの種類、特徴などについて紹介します。
ぜひ、ご自身のウィスキー投資に役立ててみてください。
五大ウィスキーとは?
ウィスキーに興味はあるけれど、世界の五大ウィスキーはどんな国・地域で構成されているのか、それぞれどのような違いがあるのかをご存じない方も多いのではないでしょうか。
五大ウィスキーとは、名実ともに有名な、世界の代表的な5つの国、地域で造られた素晴らしい味わいを持つウィスキーのことです。
該当する国は、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5か国となります。
歴史的には、スコットランドもしくはアイルランドがウィスキー発祥の地と言われています。
18世紀ころ、現在のスコットランド、アイルランド地方でのウィスキーを造る技術が、海を渡り、北米のアメリカやカナダへ渡りました。
日本では、NHKの朝の連続ドラマ「マッサン」で有名な竹鶴政孝氏が1918年にスコットランドに留学し、ウィスキー造りを学びました。
国 | 呼び名 |
---|---|
スコットランド | スコッチウィスキー |
アイルランド | アイリッシュウィスキー |
アメリカ | アメリカンウィスキー |
カナダ | カナディアンウィスキー |
日本 | ジャパニーズウィスキー |
では、次にそれぞれの風土のウィスキーがどのような特徴を持つのかを見てみましょう。
五大ウィスキーの種類と特徴
ここからは、世界の五大ウィスキーの味わいの特徴、原料や製法、種類分けや、有名な蒸留所、銘柄について説明します。
スコッチウィスキー
スコットランドで蒸留、熟成されたウィスキーはスコッチウィスキーと呼ばれます。
スコッチウィスキーの味わいの特徴は、ピート臭と呼ばれる独特なスモーキーな香りです。
原材料の大麦麦芽を乾燥させる際に、「ピート」と呼ばれる泥炭が使用されるため、スコッチウィスキー独特の薫香がつくのです。
スコッチウィスキーは、原料と製法の違いから、大きく以下に分かれます。
- モルトウィスキー
- グレーンウィスキー
- ブレンデッドウィスキー
モルトは大麦麦芽を指し、原料の発酵後に単式蒸留器を使用して蒸留します。グレーンは、主にトウモロコシを原材料とした穀類のことです。連続式蒸留器を使用して蒸留するのが特徴です。
モルトウィスキーは、原料、仕込み、製造工程由来の香味成分が豊富であるため、独特の個性があり、「ラウドスピリッツ」とも呼ばれます。声高、つまり個性が強いということです。
一方、グレーンウィスキーは、モルトに比べてアルコール度数は高いものの、穏やかで透明感のある酒質で、「サイレントスピリッツ」と呼ばれます。まろやかで癖のない味わいです。
ブレンデッドウィスキーは、モルトとグレーンを複数種類混ぜ合わせ、バランスよく仕上げたものです。
スコットランドには、ハイランド地方にウィスキーの生産エリアが6つあります。
- ハイランド
- ローランド
- スペイサイド
- アイラ
- アイランド
- キャンベルタウン
それぞれの地区に多くの蒸留所が存在し、合計すると140を超えると言われています。
その一部である有名な蒸留所は、以下です。
- マッカラン蒸留所
- グレンフィディック蒸留所
- ラフロイグ蒸留所
- ラガヴーリン蒸留所
- グレンキンチー蒸留所
- ハイランドパーク蒸留所
- オールド・プルトニー蒸留所
- タリスカー蒸留所
- スプリングバンク蒸留所
- グレンタレット蒸留所
以下の写真は、「ザ・マッカラン ダブルカスク15年」です。
マッカランは、ハイランド地方のスぺイサイド地区にあるマッカラン蒸留所で製造されるウィスキーで、シングルモルトウィスキーの最高峰と呼ばれています。
マッカラン独特のスパイシーさ、力強さ、深みのある甘みなど、飲みごたえが感じられるボトルとなっています。
アイリッシュウィスキー
アイリッシュウィスキーは、スコッチウィスキーよりもマイルドな味覚です。
スコッチウィスキーは、ピート臭からくるスモーキーフレーバーがありますが、アイリッシュウィスキーにはそれがありません。またスコッチウィスキーの蒸留回数が2回であるのに対し、アイリッシュウィスキーは蒸留を3回行います。
ウィスキー初心者の方であれば、アイリッシュウィスキーのほうが癖はなく飲みやすいと感じるかもしれません。
アイリッシュウィスキーは、原料と製法の違いから、大きく以下に分かれます。
- ピュアポットスチルウィスキー
- モルトウィスキー
- グレーンウィスキー
- ブレンデッドウィスキー
モルトウィスキーとグレーンウィスキーの原料と製法は、スコッチウィスキーと同じです。
アイリッシュウィスキー独自の製法で造るピュアポットスチルウィスキーは、大麦麦芽と未発芽麦芽、その他のライムギ、小麦などの穀物を原料として、単式蒸留器で2回から3回蒸留します。大麦の乾燥でピートは使用しません。
ブレンデッドウィスキーは、モルトとグレーンの原液を混合して製造したものです。
アイリッシュウィスキーで有名な蒸留所には以下があります。
- ミドルトン蒸留所
- ブッシュミルズ蒸留所
- クーリー蒸留所
- キルベガン蒸留所
アイリッシュウィスキーとして有名な銘柄のひとつに、ブルッシュミルズがあります。以下は「ブルッシュミルズ シングルモルト 21年」です。
さまざまな彩りを持つ香りが凝縮された濃厚な香りが特徴です。
アメリカンウィスキー
アメリカンウィスキーは、香ばしく甘い味わいが特徴です。
アメリカでは、広大な国土でさまざまな穀類が収穫されます。そのため、ウィスキーの原料も大麦だけではなく、トウモロコシ、ライ麦、小麦なども使用されます。
ウィスキーが軟水ではなく、硬水で仕込まれるのもアメリカならではです。硬水仕込みは、個性的な味わいとなると言われています。
アメリカのウィスキーは、主に以下に分けられます。
- バーボンウイスキー
- コーンウイスキー
- モルトウイスキー
- ライウイスキー
- ホイートウイスキー
バーボンウィスキーは、原材料にトウモロコシを最低51%以上含むものです。
コーンウィスキーは、トウモロコシを80%以上配合します。
モルトウィスキーは、原材料に大麦を、ライウィスキーはライ麦を、ホイートウィスキーは小麦をそれぞれ最低51%含めるのが定義です。
アメリカンウィスキーの蒸留所は、各地にたくさんあります。代表的なものは以下です。
- ジャックダニエル蒸留所
- アーリータイムズ蒸留所
- メーカーズマーク蒸留所
- ジムビーム蒸留所
- I.W.ハーパー蒸留所
- ワイルドターキー蒸留所
- メーカーズマーク蒸留所
- フォアローゼズ 蒸留所
- ベイゼルヘイデン蒸留所
- モーターヘッド 蒸留所
アメリカンウィスキーの有名な銘柄として、ワイルドターキーがあります。
以下の写真は、「ワイルドターキー ダイヤモンド アニバーサリー」で、蒸留所責任者であるジミー・ラッセル氏勤続60周年を記念して、息子のエディー・ラッセルが長期熟成原酒をブレンドして造りました。芳香な香りとすっきりした味わいが特徴の1本です。
カナディアンウィスキー
カナディアンウィスキーの特徴は、癖がなくさっぱりした味わいです。同時にマイルドでもあるので初心者にも飲みやすいとされています。
アメリカンウィスキーと同じく、原料にはトウモロコシ、大麦、ライ麦などが使われています。
カナディアンウィスキーは主に以下の種類に分けられます。
- フレーバリングウィスキー
- ベースウィスキー
- カナディアンウィスキー
ベースウィスキーは、トウモロコシを原料としたものです。
フレーバリングウィスキーは、カナディアンウィスキー独自のウィスキーで、カラメルやフレーバリングが添加されています。バーボンウィスキーが香味付けとして使用されたり、ときにワインやラム、フルーツプランデーを少量混ぜることもあります。このようなひと手間がカナディアンウィスキー独特の味わいをもたらします。
カナディアンウィスキーの代表的な蒸留所には、以下があります。
- ハイラム・ウォーカー蒸留所
- ギムリ蒸留所
- カナディアンミスト蒸留所
- アルバータ蒸留所
- ブラックベルト蒸留所
- フォーティークリーク蒸留所
- グレンオラ蒸留所
カナディアンウィスキーの有名な銘柄として、ハイラム・ウォーカー蒸留所のカナディアンクラブがあります。
以下の写真は、「カナディアンクラブ20年」です。
キャンディ、レーズン、スモモ、りんごの花などの、華やかな香りを楽しめるのが特徴です。
ジャパニーズウィスキー
ジャパニーズウィスキーの味わいは、繊細でバランスが良いと世界的にも高く評価されています。
原材料は、大麦などの穀類です
ジャパニーズウィスキーは主に以下の種類に分けられます。
- モルトウィスキー
- グレーンウィスキー
- ブレンデッドウィスキー
スコッチウィスキーの種類分けと似ているのは、ジャパニーズウィスキーがスコッチウィスキーをお手本としているためです。
原料と製法は、スコッチウィスキーのモルト、グレーンと同じです。
ジャパニーズウィスキーの代表的な蒸留所は、以下です。
- 余市蒸留所(ニッカウィスキー)
- 山崎蒸溜所(サントリー)
- 白州蒸留所(サントリー)
特に、海外から評価の高い1本としては、ニッカウィスキーの竹鶴25年ピュアモルトがあります。こちらは、2019年にワールドベスト・ブレンデッド・モルトウィスキー部門で世界最高賞を受賞しました。
スモーキーでありながら、軽やか、繊細な味わいの1本です。
ウィスキーのオークション落札価格とその推移
五大ウィスキーの種類や特徴について説明してきましたが、ここからは、気になるお値段について紹介します。
最近の高級ウィスキーは、オークションに出品される傾向があります。
特に年代物のウィスキーは希少性が高く、驚くような価格で落札されています。
以下は、五大ウィスキーの1つであるスコッチウィスキーの「マッカラン60年」のオークションでの落札履歴を表にしたものです。
オークション | 落札時期 | 価格 | ラベル |
---|---|---|---|
香港ボナムス社 | 2018年5月 | 1億1800万円 | ヴァレリオ・アダミ |
– | 1億900万円 | ピーター・ブレイク | |
イギリスボナムス社 | 2018年10月 | 1億2300万円 | ヴァレリオ・アダミ |
イギリスサザビーズ社 | 2019年12月 | 2億1750万円 | 一般的なラベル |
マッカラン60年は、1926年に蒸留され、その後60年間シェリー樽で熟成され、1986年に瓶詰・発売されました。60年もののレアウィスキーと言えます。
ウィスキーそのものの希少性だけではなく、ラベルにも大きな人気がありました。
現代アーティストである二人、ヴァレリオ・アダミ、ピーターブレイクがデザインしたからです。
結果、ラベルデザインにもプレミアムが付いたため、非常に高値で落札されました。
しかし、2019年に落札されたボトルは2億を超える価格がついたにも関わらず、ラベルは一般的なデザインでした。
ラベル効果がなくても、超高額で落札された「マッカラン60年」の価値がいかに高いかがわかる結果と言えるでしょう。
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本記事では、五大ウィスキーとはどういうもので、どういう種類わけがあるのか、その代表的な銘柄も含めて説明しました。
ここまでお読みいただいて、1番インパクトが強いのは、やはりマッカラン60年のオークション落札価格なのではないでしょうか。
希少性の高いウィスキーは、右肩上がりで価格が上昇している状況です。
ぜひ本記事を、ウィスキー選びの参考にしていただいて、飲んで楽しむだけではなく、投資も検討してみてください。
ウィスキー投資に興味のある方は、下記の記事で詳細を解説しています。