南米の国・アルゼンチンは地理上日本の反対にあるため、あまり身近には感じられない方も多いかもしれません。
しかし同国は旧スペイン領で、かつては世界屈指の先進国だった時代もあるなど歴史の多様性に富んでいます。
そんなアルゼンチンのおすすめのアンティークコインと売買の方法をお伝えします。
アルゼンチンの歴史
アルゼンチンのアンティークコインについて触れる前に、同国の歴史を振り返ります。
アルゼンチンは元々はインカ帝国やスペインの領土でしたが、1862年に独立しました。
以降は穀物や牛肉輸出で栄え世界屈指の先進国だった時代もありましたが、一方で内戦や独裁政権、デフォルトなどの危機に見舞われた波瀾万丈な歴史を持つ国でもあります。
そんなアルゼンチンの歴史を以下に詳述します。
元々はインカ帝国やスペインの領土
アルゼンチンは古代からグアラニー族やチャルーア族などの先住民族が各地域に居住し、狩猟、農業、漁業などさまざまな生活を営んでいました。
その後15世紀から16世紀にかけて現在のペルーにあたる位置からインカ帝国が侵攻して、東の一部地域が支配下に置かれました。
1492年にコロンブスがアメリカ大陸を「発見」した後には、スペインから多くの征服者が押し寄せ、1536年には最初の植民地がつくられました。
以後は北部の草原地帯・パンパを中心に家畜の放牧、内陸部では現在のボリビアに相当する地域のポトシ銀山に向けたワインや消費財の生産により、経済が発展して行くことになります。
サン=マルティンらによる独立と内戦
18世紀から19世紀になると、アメリカ独立革命やフランス革命、スペインのボルボン朝崩壊などの変動により、南米の植民地各地では独立運動が活発になります。
現在のアルゼンチンにあたる地域であるスペイン領リオ・デ・ラ・プラタ副王領でも、特にクリオーリョと呼ばれる現地生まれの白人層を中心に、スペインへの反発が高まります。
その中で台頭したのがスペインから帰国した軍人であるホセ・デ・サン=マルティンでした。
サン=マルティンはマヌエル・ペルベラーノ、フアン・ホセ・カステッリとともにアルゼンチン独立主義者軍を率いて1810年よりアルゼンチン独立戦争を引き起こしてリオ・デ・ラ・プラタ副王領からスペイン勢力を次々と打ち破り、1816年にタクマンでスペインからの独立宣言を出しリオ・デ・ラ・プラタ副王領はスペインの植民地から解放されました。
その後1925年に国名をデ・ラ・プラタからアルヘンティーナ(アルゼンチン)に改名しました。
しかし独立後の政治運営を含めて諸派の間に深刻な対立が生まれてしまい、ブラジルとの戦争などの影響もあり内戦状態に突入してしまいます。
この中からフアン・マヌエル・デ・ロサスが指導権を握るようになります。
ロサスは独裁的な政治で多くの自由主義者や反対勢力を弾圧する一方、アルゼンチンをイギリスやフランス、パラグアイなどとの対立や戦争からアルゼンチンの独立を守り抜きます。
ただ相次ぐ戦争によって疲弊した地域からの反発が強く、最終的にロサスは敗れて失脚します。
近代化と民主化による黄金期の到来
ロサス失脚以降は自由主義思想の知識人の意向により西欧化・自由化・民主化が進み、また独立以降常に各地域間で争っていた首都の位置についても、1880年にブエノスアイレスを首都とするように定められました。
これにより社会が安定化し、外国資本や移民が流入しアルゼンチンの経済は一気に発展します。首都ブエノスアイレスは都市改造により「南米のパリ」と呼ばれるほど西欧の文化が流入した近代的な都市となり、現在でもこの時代に建てられた建物が多く残されています。
二度の世界大戦を中立国として過ごしたアルゼンチンは戦争被害を受けることもなく、農畜産物の輸出、特に冷凍船の普及で生産量が増えた食肉の輸出などで利益を得て、一時は世界5位の富裕国となるほどに栄えました。
ペロン政権とその弊害
しかし繁栄の一方で1929年の世界恐慌以降は民主政府の座が揺らぎ、軍事クーデターやファシズム体制の台頭などにより政治は大きく揺らいでしまいました。
そのような中で台頭したのがフアン・ペロンです。
フアン・ペロンは第二次大戦で稼いだ外貨を元に工業化や鉄道などの国有化、労働者保護などの福祉政策を打ち出し、当初は国民からの指示を集めました。
しかしそれらの政策に係る費用は莫大で外貨はすぐに使い果たしてしまって財政は急速に悪化してしまい、ペロンの支持者と官僚主義的な統制政策をとる軍部との対立、クーデターの頻発などの影響で治安も大幅に悪化してしまいました。
これらの要素から外国からの投資もしにくくなり、アルゼンチンは農畜産物を中心としたモノカルチャー経済から工業中心への産業構造の転換にも失敗してしまいました。
そのため、1950年代から1960年代になるとその間に高度経済成長を遂げた日本などに経済規模を抜かれることになります。
フォークランド紛争とデフォルト
1982年に就任した軍事政権であるガルディエリ大統領は、1833年以降イギリスの実効支配化にあったマルビナス諸島を奪還しようと軍を派遣し占領しましたが、最終的にマルビナス戦争やフォークランド紛争とも呼ばれる大規模な戦闘に突入してしまいます。
結果イギリスの反撃にあって敗北し軍事政権は崩壊し、民主主義の政治に移管されました。
この民主政権下で他の南米諸国との関係改善や軍部の権力制限が図られ治安の安定化が進むことになります。
ただ経済についてはペロン政権以来続いた累積債務の影響により財政が大幅に悪化し、1989年には対外債務のデフォルトを宣言するまでになってしまいました。この間1988年から89年にかけては5,000%という記録的なインフレに見舞われてしまいました。
その後新自由主義経済の元で一時は持ち直していたものの、1999年のブラジルのレアル切り下げによりアルゼンチンペソの価値が上がって輸出競争力を失い、2001年に再び国債を含めた債務のデフォルトを宣言することになってしまいました。
2度のデフォルトは国民の窮乏化を進め、1980年代に国民の60%を占めた中間層は2005年には国民の20%となる一方で、貧困率は2002年に53%までになってしまいました。
職を求めた国民のイタリアやスペインなどへの流出も進み、アルゼンチンの没落は決定的なものになってしまいました。
現代のアルゼンチン
現代のアルゼンチンでは南米諸国との経済交流の活性化などにより経済の復活をかけて動いています。
実際アルゼンチンの経済成長は著しい年もあり、LEMsやVISTAといった新興国の枠組みの一員としてみなされることも少なくありません。
ただ貧困層の多さや産業構造の転換、累積債務などの課題はなおも残されており、アルゼンチンはかつて世界屈指の富裕国だった時代の繁栄を取り戻せるか、難しい舵取りを強いられています。
アルゼンチンのアンティークコインの特徴
アルゼンチンのアンティークコインはスペイン統治時代のものから、独立直後のリオ・デ・ラ・プラタ州連合の時代、経済発展の黄金期に至るまで同国の歴史を辿っていくかのように多くのデザインが描かれているのが特徴です。
またスペイン統治時代や独立初期の頃はスペインのレアル・エスクードが使用されていました。
スペイン統治時代のアンティークコインは近年コインの愛好家の間で人気が高まっているため、投資用としても注目されています。
おすすめのアルゼンチンアンティークコイン
上述した歴史並びに特徴を踏まえて、アルゼンチンのアンティークコインの中でおすすめのコインを3つご紹介します。
いずれも金貨で、独立後から民主化に至るまでの同国の歴史の過程がよくわかる逸品になっています。
近年南米諸国のコインについては注目度が高くなっているため、興味ある方はチェックしてみてください。
アルゼンチン リオ・デ・ラ・プラタ州連合 8エスクード金貨
アルゼンチンがスペインとの独立戦争を戦った頃に鋳造され、タクマンでの独立宣言の際に南アメリカ地域の名称として用いたリオ・デ・ラ・プラタ連合州のものとして見なされる金貨です。
アルゼンチンの国旗にも描かれた顔のある太陽が彫られたこの金貨は、アルゼンチンのアンティークコインの中でも希少性が高く、いい状態のものだと10万ドル以上で落札されたこともあります。
アルゼンチン ロサス将軍 8エスクード金貨
アルゼンチンの歴史の中で述べられた、恐怖政治で悪名高いものの外国の干渉から国を守ったことで知られるフアン・マヌエル・デ・ロサスの肖像画が描かれた金貨です。
同国の歴史を振り返りたい方には持っておきたいアンティークコインではありますが、オークションでもあまり見ない貴重なコインでもあります。
オンライン・オフラインとも扱っている店を探すのに苦労するコインであるため、稀少性は高いです。
アルゼンチン 5ペソ金貨
アルゼンチンの政治体制が安定し、農畜産の発展による経済の成長が始まっていた年代の金貨です。
コインの片側には自由の女神・リベルタードが描かれており、それには解放を意味する帽子・フリジア帽が載せられています。
先ほども述べたように、アルゼンチンはスペインからの独立後も長い間不安定な政治や独裁政権が続き、自由主義や民主主義の体制に移るのに長い年月がかかってしまいました。
髪を風にたなびかせた美しい姿で描かれた自由の女神が描かれたアンティークコインは、長年の抗争の上でようやく手に入れた自由、というアルゼンチンの歴史に思いをはせるにぴったりな商品になっています。
発行枚数は多いため、比較的入手しやすいのも特徴です。
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アルゼンチンのアンティークコインを購入する方法
アルゼンチンに限らず、アンティークコインを購入する方法としては以下3つの方法が一般的です。
- オンラインショップで購入する
- 店頭販売で購入する
- オークションで購入する
特にオンラインショップやオークションに関しては国内だけではなく海外のサイトにも視野を広げると多くの選択肢が生まれます。
それぞれについて説明いたします。
オンラインショップで購入する
海外のアンティークコイン購入として有力な方法の一つが、専門のオンラインショップでの購入です。
インターネット上にあるショップなので多くの店からさまざまな商品を選ぶことができ、世界各地から購入できるため、アルゼンチンのような日本から遠く離れた国のものであっても見つけることができるのが特徴です。
また、コイン専門店のため偽造品購入や詐欺に遭遇しにくいのもメリットです。
ただ高額な送料がかかる点には注意が必要です。
特に海外からの発送の場合はコインの値段によっては送料の方が高くつく可能性もあることを考慮してください。
海外からの購入の場合は英語やスペイン語など語学に通じていることも、商品選びの際には重要なポイントとなります。
店頭販売で購入する
アンティークコインを購入する方法としては、インターネット上ではなく街のコイン専門店の店頭販売も挙げられます。
実際に対象のアンティークコインを見て価値を判断できる点やスタッフも専門知識があり前提となる知識やアンティークコインの対象国の語学(アルゼンチンならスペイン語)がなくても対応できるという点は他の商流にはない店頭販売のメリットになります。
ただ高額な商品を扱っているために店舗に入るのをためらいやすいという心理的なデメリットもあります。
またアルゼンチンのアンティークコインは前述したように非常にマニアックかつ流通量が少ないうえ、日本から遠く離れているために身近さがなく価値を判断しにくいため、扱っている店舗はかなり限られた数になることを覚悟する必要もあります。
オークションで購入する
アルゼンチンのアンティークコインを購入する方法としてはオークションを活用する手もあります。
オークションはコインの販売の源流に近いため、店頭販売やオンラインショップなどの販売に比べて手数料などの負担が軽減されるため、20〜30%以上安く購入することができます。
また海外のオークションにも参加することができるため、日本ではあまり身近とは言えないアルゼンチンのアンティークコインのように日本ではあまり一般的とは言えないコインでもスペイン語や英語圏のサイトにアクセスすればより多くの種類を選ぶことができます。
ただしどの程度の金額をどのコインにあてるかなどの明確な投資戦略が必要になり、また語学力も必須となります。
また偽物や詐欺まがいのものが出回る可能性もあるため、出展した相手が信頼に値する組織・人物であるかを確認する必要もあります。
アルゼンチンのものに限らずアンティークコインの購入方法については、こちらの記事に詳しいのでより知りたい方は参考にしてみてください。
アルゼンチンのアンティークコインを売却する方法
アンティークコインの売却方法としては、以下の3つの方法が主な手法として取られることが多いです。
- 専門家にまかせる
- コイン専門店に売却する
- オークションサイトで売却する
アルゼンチンのアンティークコインでも例外ではなく、国内だけでなく海外のものを視野にして捉えるとそれぞれに多くの選択肢がございます。
それぞれについて説明いたします。
専門家にまかせる
アルゼンチンに限らず、海外のアンティークコインの売却方法としておすすめされるのが専門家に依頼してまかせることです。
高額な手数料が必要となることがネックですが、専門家の方に依頼した後は出品先の検討や商品写真の撮影、価格交渉、発送などのご自身が実施すると手間がかかる事項を全て実施してくれます。
コインの売却に関する明確な投資戦略や語学力などを持ち合わせていない上、かつ時間のない方であれば専門家におまかせしたほうがいいかと思います。
特にアルゼンチンのアンティークコインの場合、地理的に遠く離れているゆえにあまり身近な国とは言いにくい日本国内だと売り先も限られ、またスペイン語の語学を学ぶ時間を捻出することも難しいと考えられるため、専門家におまかせする方法が最良になる場合が多いと思われます。
コイン専門店に売却する
アンティークコインの売却方法としてはコイン専門店に売却する手もあります。
コイン専門店は買取も行っている場合も多いため、商品写真の撮影、送付などの準備を必要なく手軽に売却することが可能です。
ただコイン専門店の場合はオークションに直接出品するよりは手数料の関係で売却費用が安くなりがちになる点や、コインではなく貴金属として分類されてしまいかなり低い値段で売却されてしまうケースもあります。
特にアルゼンチンのアンティークコインの場合、日本では非常にマイナーなテーマであるためにコインとして高く価値を出してくれる店舗も限られるため、注意が必要です。
オークションサイトに出品する
オークションサイトに出品するのも、アンティークコインの売却方法としては一般的です。
出品時の写真撮影や説明文の作成、会員登録など手間はかなりかかるものの、仲介者がいない分高額で取引される可能性もあるのがオークションサイトのメリットです。
日本では身近とは言えないアルゼンチンのアンティークコインであっても海外、特にアルゼンチンと関わりの深いスペイン語圏や英語圏のサイトに登録すれば、翻訳などの手間が加わるものの、売り手を見つけやすく、日本人に売る場合と比べてさらに高い金額で売却できるかもしれません。
購入と同様明確な戦略が必要になるのが難点ではありますが、アンティークコインを最も高く売れる手段として検討する価値はあります。
特にアルゼンチンのように日本から身近とは言えない国の場合は海外オークションサイトへの出品を考慮に入れて取引する必要があります。
アンティークコインの売却方法についてはこちらの記事にも詳しく記載されているので、興味のある方はご覧になってください。
まとめ:マニアックでも希少価値と歴史的価値のあるアルゼンチンのアンティークコイン
アルゼンチンのアンティークコインは、日本からみると地球のほぼ反対側と遠く離れているために身近なテーマとは言えず、欧州や米国など他の国々と比べると、どうしてもマニアックな印象を受けてしまいます。
しかしそんな同国のアンティークコインは、一時は世界屈指の先進国であったアルゼンチンの歴史に思いを伏せるにはいい逸品です。
世界史、とりわけスペインや南米圏の歴史に興味のある方は検討してみることをおすすめします。
またラテンアメリカ諸国のコインは近年コイン愛好家からの注目も集まっているため、今後新たな情報が出てくるかもしれません。
スペイン語圏や英語圏のサイトであればより情報が集まりやすいため、興味があり語学に自信のある方はアクセスしてみることもおすすめします。
※近年注目を集めているラテンアメリカ諸国の一つであるメキシコのアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

