アンティークコインを調べていると、それぞれのコインにはグレードが記載されています。このグレードについて、「アルファベットと数字でよく分からない」と感じる方も中にはいるのではないでしょうか。
実はアンティークコインのグレードは、投資を行う上では最も重要なチェックポイントであり、侮ってはいけません。
そこで今回は、アンティークコインのグレードの見方を詳しく解説していきます。NGCやPCGSといった鑑定機関ごとのグレードの違いについても触れています。本記事さえ読めば、グレードについてしっかりと理解できるはずです。
記事の最後では、グレードの高さによってコインの価格が変わる事例も紹介しています。投資を行う上では非常に重要なポイントとなっているため、ぜひ最後まで読んでください。
それでは早速見ていきましょう。
アンティークコインのグレードとは?
アンティークコインにおけるグレードとは、コインの品質を表示したものです。
グレードは国際的な機関が定めるものと、個人や専門店などが独自に定めるものとがあります。中でも世界的な鑑定機関のグレードが付いたコインは信頼性が高いため、コインの価格も高くなる傾向にあります。
アンティークコイン業界で世界的な鑑定機関として知られているのは、NGCとPCGSです。この機関が付けたグレードは、世界で通用する証明書のような役割も果たしています。
両機関は営利目的ではない第三者機関であるため、公平で正確なグレーディングを行っています。一般的に販売されている価値の高いアンティークコインのほとんどは、NGCとPCGSの鑑定を受けたものです。
NGCのグレードを紹介
では早速、アンティークコインの世界的鑑定機関の一つであるNGCのグレードについてご紹介します。
NGCのプロフィールについても解説しているので、この機会にNGCについても理解を深めておきましょう。
NGCとは?

NGCとはNumatic Guaranty Corporation(アンティークコイン鑑定法人)の略称で、1987年に設立されました。
世界的な権威を誇る鑑定機関で、アメリカのスミソニアン博物館や上海のミントミュージアムなどに展示されるコインを鑑定した実績も持つほどの団体です。
鑑定可能なコインの範囲が広いことでも知られており、中世から現代のコインはもちろんのこと、古代コインの等級付けも行っています。
NGCで鑑定されたコインにはNGCの保証マークとグレードが付けられます。鑑定済みのコインは下記の画像のように、専用カプセルで完全に密閉されます。これにより、簡単に開封できなくなるため、偽造品と取り替えることができなくなるのです。

グレード
NGCで定められているコインのグレードの見方は、以下の通りです。非常にシンプルで分かりやすいので、ぜひ押さえておきましょう。
製造方法によるグレード
まずコインの製造方法によって、以下の3種類に分類されます。
- MS(Mint State)
-
日本語では、「ミントステイト」と呼ばれています。ミントステイトは、一般的な流通用に作られたコインのことです。
- PF(Proof)
-
プルーフコインとは、コレクション品のために作られたコインのことです。
NGCでは、PFグレードの中でさらに「Ultra Cameo」「Cameo」の2種類に分類します。こちらはPFコインの状態の詳細を細かくグレーディングしたものです。
Ultra Cameoの方が、コインのデザインのコントラストがはっきりしており、つやも綺麗な状態を指します。
- SP(Specimen)
-
SPとは、ミントステイトとプルーフコインの両方の要素を併せ持ったハイブリットなコインです。
それぞれのコインにもよりますが、SPは他の2つのコインとそう変わらないことが多いです。
状態別グレード
グレードの表示は、コインの状態ごとに以下のアルファベットで表示されます。評価の高さでいえば、MSやPF、SPの下位にこれらのグレードが続くといったイメージです。
グレード表記 | 詳細 |
---|---|
AU(Almost Uncirculated) | ほとんど未使用に近い |
EF(Extremely Fine) | 使用感はあるが、極めて美しい |
VF(Very Fine) | デザインは鮮明、使用感は強い |
VG(Very Good) | 全体的なダメージがあり、文字や数字は薄い |
G(Good) | 文字や数字を読むことはできる |
AG(Almost Good) | 文字や数字がかろうじて読める |
FR(Fair) | コインの形状が部分的に残っている |
P(Poor) | かろうじてコインの判別ができる |
上に記載されているものほど、グレードは高くなります。
1~70までのグレード(シェルドンスケール)
コインは状態によって1~70までのグレードに分けられます。これは1948年に制定された、シェルドンスケールによる等級付けです。
数字が大きくなるほど状態が良く、小さくなるほど状態が悪いことを表しています。
たとえば、最高評価のコインは「MS70」と表示されています。
PCGSのグレードを紹介
次に、PCGSのグレードについて見ていきましょう。
PCGSのグレードの大部分はNGCのものと重複していますが、細かな表現方法が異なります。ここではその相違点を中心に解説していきます。
また、PCGSはコインだけでなく紙幣のグレーディングも行っているのが特徴です。こちらのグレーディング基準も紹介しているので、合わせて確認してみてください。
PCGSとは?

PCGSはアメリカのカリフォルニア州に拠点を置く収集用コインの鑑定機関で、1986年に設立されました。
PCGSの名称は、Professional Coin Grading Serviceを略したものです。NGCと並ぶ世界的な鑑定機関であり、数百万枚のコインを鑑定した記録があります。
世界各国に支店や窓口、公認ディーラーを設けており、日本でもPCGSのこれらのサービスを受けることが可能です。
グレード
PCGSのグレードは、NGCと似た部分も多くあります。
コインの製造方法によって、「MS(ミントステイト)」「PR(プルーフ)」「SP(Specimen)」の3つに分類されることは同じです。
ただ、NGCではプルーフコインを「PF」と表示していましたが、PCGSでは「PR」と表すのがNGCとは異なる点です。
また、コインの状態によって1~70までの数字で表すことや、状態によって「AU」などと表記することも、NGCと同様です。
紙幣のグレーディング
PCGSには紙幣のグレーディング基準が存在しています。
紙幣のグレーディングは、以下の通りです。
グレード表記 | 詳細 |
---|---|
MS67~70 PPQ | 極上の一品、未流通 |
MS65・66 PPQ | 逸品、未流通 |
MS63・64 | 選りすぐり、未流通 |
MS60~62 | 未流通 |
AU50~58 | ほぼ未流通 |
XF40・45 | 極めて上質 |
VF20・25・30・35 | とても上質 |
F12・15 | 上質 |
VG08・10 | とても良い |
G04・06 | 良い |
MS67~70 PPQなどに記載されている「PPQ」とは、Premium Paper Qualityの頭文字を取ったものです。
PPQは特に上質な紙幣に付与される称号であり、VF25以上のグレードの紙幣がPPQを付与される資格を持ちます。それに加えて、MS65以上のグレードの全ての紙幣は、PPQを満たす必要があります。
この称号は、鑑定士が「目に見える復元や調整の形跡がない」と判断した紙幣に与えられる称号です。
古代コインのグレード基準を紹介
古代コインの鑑定は、NGCしか行っていません。そのためもしPGCSが鑑定したという古代コインが販売されていたら、それは偽物ということになります。偽物品を購入しないよう、注意してください。
古代コインとは、古代に発行されたコインのことです。古代の定義は一般的に、紀元前から4世紀末のローマ帝国滅亡までとされています。
古代コインは学術的にも情報が少なく、古代コインをグレーディングするにはかなりの知識が必要とされます。
ここでは、唯一NGCが行う古代コインのグレードについて紹介します。NGCの古代コインのグレード基準は、以下の通りです。
グレード表記 | 詳細 | 1~70の評価 |
---|---|---|
Gem MS | Gem Mint State | 65~70 |
Ch MS | Choice Mint State | 63・64 |
MS | Mint State | 60~62 |
Ch AU | Choice About Uncirculated | 55~58 |
AU | About Uncirculated | 50~53 |
Ch XF | Choice Extremely Fine | 45 |
XF | Extremely Fine | 40 |
Ch VF | Choice Very Fine | 30~35 |
VF | Very Fine | 20~25 |
Ch F | Choice Fine | 15 |
F | Fine | 12 |
VG | Very Good | 8~10 |
G | Good | 4~6 |
AG | About Good | 3 |
FA | Fair | 2 |
PR | Poor | 1 |
古代コインの多くは、一枚一枚手打ちで作られています。そのため一般的なアンティークコインのように、全てのコインが完璧に作られていることはあまりありません。
このような理由から、古代コインは個体差があるコインであるといえます。そのため現代コインほど厳格な鑑定基準があるわけではないのが実情です。
古代コインではある程度の使用感に加えて、見た目のデザインや芸術性が重視されます。
アンティークコイン投資ではグレードが重要
ここまでアンティークコインのグレード基準を紹介してきましたが、アンティークコイン投資ではコインのグレードがかなり重要です。
特に見た目の美しさや現存数に加えて、鑑定機関が付けたグレードが高いことも大切なポイントです。信頼できる機関が付与したグレードによりコインの価値が担保されるためです。
投資の世界では、多くの人から価値が高いと認められた商品に高値が付きます。アンティークコイン投資においては、この価値がグレードの高さで判断されるのです。そのためアンティークコイン投資では、必ず信頼できる鑑定機関が鑑定したグレードのコインを購入するようにしましょう。
なお、当社でも投資用のアンティークコインを販売しております。当社のコインはIAPNの鑑定を受けたコインのみ販売しているため、信頼性が高いことが強みです。
IAPNとはInternational Association of Professional Numismatistsの略称で、国際貨幣専門商協会のことです。1951年にジュネーブで設立され、現在は114を超える金融会社が加盟しています。
当社のアンティークコイン投資に関する詳細は、無料で配布する資料にてご説明いたします。資料の受け取りは、下記のLINE友達登録からお願いします。
【重要】グレードによる価格の違いを徹底比較
では最後に、グレードによるコインの価格の違いを見ていきましょう。
PCGSの公式サイトにアクセスすると、グレードごとのコインの価格推移を調べることができます。サイトは英語表記ですが、分かりやすい表にまとめられているので安心して利用できます。興味のある方はこちらからチェックしてみてください。
下記の表は、1853年に発行されたカリフォルニアの金貨の価格を示しています。

少し文字が小さいので改めて表にまとめたものが、下記の表です。
55 | 58 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コインA | 109.128 | 116,168 | 126,729 | 133,770 | 147,851 | 422,430 | 668,848 | |
コインB | 31,682 | 35,203 | 45,763 | 49,284 | 63,365 | 73,925 | 91,527 | 232,337 |
この表はグレードが55から65に上がるにつれて、価格がどう変化するかを示しています。価格は日本円です。
表をご覧になってわかる通り、グレードが上がるにつれて価格が上昇しています。特にコインAはグレードが62から63になっただけで28万円も上昇。同様にコインBも、グレードが64から65になると14万円も上昇していることがわかります。
それほどコインのグレードが価格に影響を及ぼすのです。何度も繰り返しますが、投資のためのコインであれば、グレードの高いものを入手することが何よりも大切です。
アンティークコイン投資ではコインのグレードが重要
今回は、アンティークコインのグレードの見方やグレードによる価格の変化を紹介しました。
アンティークコインの鑑定は世界最大級の鑑定機関である、NGCとPCGSが主に行っています。コインを購入する際には、ここでご紹介したグレードが記載されているかをしっかりと確認するようにしましょう。
また、グレードの高さによってもコインの価格が大幅に変わることもご紹介しました。入手したコインを将来的になるべく高値で売却できるように、グレードの高いコインを購入することが大切です。
当社ではIAPNの鑑定を受けた信頼できるアンティークコインの販売も行っております。詳細は無料で配布する資料にて解説していますので、ぜひ下記のボタンからLINEの友達登録をお願いします。