チェコのアンティークコインは希少性上昇中！魅力・歴史とおすすめ7選

「チェコ　アンティークコイン」で調べるとモラヴィア・ボヘミア・チェコスロバキアと、さまざまな国名のアンティークコインが検出されます。

不思議に思い、調べていくうちにわかるのが現在のチェコ共和国に至るまでの波乱の歴史です。

すなわち、以前はチェコスロバキアであり、ボヘミア・モラヴィア・シレジアと呼ばれていた時代もありました。

そして、それぞれの時代にクオリティの高いアンティークコインが発行されています。

ここでは、チェコの波乱万丈の歴史を背景としたアンティークコインの魅力について解説します。

おすすめ7選も紹介するので、購入を検討の方はぜひ参考にしてください。

チェコのアンティークコインの特徴

チェコのアンティークコインの特徴は精巧な図柄による美術的価値の高さです。

描かれたモチーフの材質さえ伝わるほど微細に彫られています。

たとえば石造りの建造物の質感、ライオンや鷲の瞳から漲る生命力など、もはやコイン彫金の域を脱し、立派なアート作品となっています。

そのため、コインマニアからの人気が高く、近年発行されたばかりのモダンコインであるに関わらず高価格で取引されているのが現状です。

表面のデザインはリアルな建築物のシリーズが多く、裏面は2つの尾を持つライオンの略式国章、あるいは赤・銀・黒の３頭の鷲による正式な国章が彫られています。

これらの鷲はかつての国名であるボヘミア・モラヴィア・シレジアを表します。

また、コインの種類ごとに国章のレイアウトやデザインが異なる点も特徴のひとつです。

オリジナリティを追求する高い美意識により、アンティークコインとしての希少性も高くなります。

なぜチェコのアンティークコインが精巧で魅力的なのか

成立して間もない国であり、近年発行されたばかりのチェコのアンティークコイン。

モダンコインの部類に入るにもかかわらず、なぜこうも人気が高いのでしょう？

その理由として次の３つが挙げられます。

• 豊富な地下資源
• 波乱の歴史による文化の融合
• 美意識の高い国民性

それぞれについて解説します。

チェコのアンティークコインは豊富な地下資源により発展

現在のチェコのある地域、すなわちヨーロッパ中部のポーランド南西部からチェコ北東部のエリアは古くから交易の要衝地として栄えました。

また、石炭や金属などの地下資源が豊富であり、大規模な穀倉地帯としても知られています。

そのため、これらの資源を巡る大国の介入が尽きることはなく、入れ替わり立ち替わり多くの国の支配下に置かれた歴史があります。

チェコ共和国の前はチェコスロバキアであり、かつてはシレジアと呼ばれ、モラヴィア帝国に帰属したりボヘミア帝国と呼ばれたりしたこともあります。

それぞれの時代において、豊富な地下資源によるアンティークコインが数多く発行されたのはいうまでもありません。

チェコのアンティークコインは波乱の歴史に磨き上げられてきた

チェコの国名が現在のチェコ共和国と呼ばれるようになったのは1993年のことです。

それ以前はチェコスロバキアと呼ばれていましたが革命によりチェコとスロバキアに分裂、大きな争いのなかった穏やかな革命はビロード離婚といわれています。

チェコスロバキア以前はオーストリア・ハンガリー帝国に支配され、また現在のドイツであるプロイセン王国の支配下に置かれた時期もあります。

それ以前のボヘミア王国、中世のモラヴィア王国やシレジアの時代からアンティークコインは発行されてきました。

支配の象徴として尽きることのなかったアンティークコインの発行は、介入したそれぞれの国の文化が融合し磨かれていったのです。

いずれの時代も歴史上の国名であり現在は存在しない国です。

そのため、品質の高さはもちろん、存在しない国のアンティークコインとしての希少性はかなり高いといえるでしょう。

世界一美しい街プラハにみるチェコの美意識の高さ

中世建築の赤い屋根で埋め尽くされたプラハの街並みは「おとぎの国の街並み」「世界一美しい街」ともいわれます。

中央ヨーロッパに位置し交易の拠点であると同時に、さまざまな国の支配を受けてきた歴史から文化の融合が生まれ洗練されてきたからでしょう。

世界遺産に登録されている旧市庁舎やモルダウ川に架かるカレル橋、世界で最も大きいプラハ城など、世界有数の観光スポットが街の日常風景に取り込まれています。

産業分野での革新性も高く、ロボットという言葉発祥の地であり、電子レンジやコンタクトレンズの発明もプラハからです。

チェコのアンティークコインは、世界一美しい街に代表される高い美意識と、革新的な技術の結晶ともいえます。

振り返るチェコ・アンティークコインの歴史①｜シレジアからボヘミアまで

チェコの歴史を振り返るとさまざまな国の介入があるため、国境と時代を明確に区切ることはできません。

同時代に対立した国の支配と分裂が繰り返され、またそれぞれの国への影響力を持つ大国の介入などがあり領土も国名も変化してきました。

ここでは、シレジアから中世のボヘミア王国の時代背景とアンティークコインを紹介します。

シレジアとアンティークコイン

シレジアとは、ポーランド南西部からドイツの一部を含むチェコ北東部にかけての歴史的地名です。

チェコ関連の地域の中でもとりわけ豊富な地下資源に恵まれ、また大規模穀倉地帯として知られていたため、以下のように多くの国による争奪が繰り広げられてきました。

年譜	支配国
9世紀	モラヴィア王国
12世紀	ポーランド王国
14世紀	ボヘミア王国
16世紀	ハプスブルク君主国
17世紀	プロイセン王国
1920年	チェコスロバキア

それぞれの時代において豊富な資源によるアンティークコインが発行されました。

その中で代表的な3種が以下です。

モラヴィア時代とアンティークコイン

モラヴィアは、現在のチェコ共和国の東部ブルノを中心に存在した国名です。

830年にスラブ人によって建国され、モラヴィア王国として一時的に栄えるも10世紀初頭のマジャール人の侵攻によって100年に満たない歴史に幕を閉じます。

領土が現在のチェコとスロバキアにまたがっていたため、チェコ人とスロバキア人の共存の証しの一つとなっています。

ボヘミアに編入された後、下記のようなアンティークコインが発行されました。

ボヘミア時代とアンティークコイン

ボヘミア王国は中世から近世に至る長い期間、現在のチェコの西部〜中部を中心に存在した国です。

神聖ローマ帝国の一部として重要な役割を果たし、14世紀にはカレル4世の下で最盛期を迎えます。

15世紀以降の実効支配はハプスブルク家やハンガリー帝国、ポーランド王国など転々とします。

文化の要衝として栄えた中心都市プラハは現在のチェコの首都、チェコ共和国の前身といえる国です。

期間が長いため多種多様なアンティークコインが発行されています。

代表的な3種を紹介します。

振り返るチェコ・アンティークコインの歴史②｜近世～チェコ共和国誕生まで

ボヘミア王国としての時代が長いチェコですが19世紀後半から20世紀、すなわち2度の世界大戦をまたいで争奪戦が繰り広げられます。

ここでは、ハプスブルク家によるオーストリア・ハンガリー帝国から現在のチェコ共和国に至る経緯とそれぞれの時代のアンティークコインを紹介します。

オーストリア・ハンガリー帝国時代（1867〜1918年）とアンティークコイン

オーストリア・ハンガリー帝国は1867〜1918年までチェコやハンガリーを含む中央ヨーロッパを領土とした多民族国家です。

ゲルマン系ハプスブルク帝国の一つであり、すでにボヘミアを支配下に置いていた背景があります。

首都ウィーンを中心に栄えますが第一次世界大戦の敗北によりチェコやハンガリーが独立し、大戦後はオーストリア共和国として再出発しました。

短い期間ですが以下のようなアンティークコインが発行されています。

チェコスロバキア時代（1918～1992年）とアンティークコイン

1918年のオーストリア・ハンガリー帝国崩壊の後、チェコスロバキア共和国が誕生します。

ボヘミア・モラヴィアとハンガリーの一部であったスロバキアまでを領土としました。

1930年代にナチスドイツの保護国となり一時消滅しますが第二次大戦後に復活、1960年にチェコスロバキア社会主義共和国に改名してスターリン主義の強化を図ります。

ところが、これが国民の反発を招き徐々に民主化運動が高まっていきます。

「プラハの春」と呼ばれる自由化・民主化路線の始まりです。

代表的なコインとして以下のような種類があります。

特に「馬上の聖ヴァーツラフ」はマニア垂涎の希少品として高価格で取引されています。

チェコ共和国の誕生背景

チェコ共和国はビロード革命により1993年に誕生しました。

発端は1989年の11月17日の学生デモを治安部隊が鎮圧したことです。

これによりチェコとスロバキアの連邦制国家に亀裂が入ります。

民主化を求める国民の大規模なデモは1ヵ月以上も続き、総辞職による共産党政権崩壊と非共産党政権への平和的な移行が行われました。

翌年には複数政党制による自由選挙が行われ、1992年6月の選挙で民主スロバキア同盟が勝利しチェコとスロバキアの分離が決定的となります。

そして1993年1月に分離が決定、チェコ共和国とスロバキア共和国の2つの国家として新たなスタートを切ります。

チェコを語るときに欠かせない「プラハの春」と「ビロード革命」

チェコの歴史に必ず出てくる単語が「プラハの春」と「ビロード革命（ビロード離婚）」です。

どちらも革命関連の用語ですが、ネーミングのセンスはさすが美意識の高いチェコと唸らざるを得ません。

それぞれについてわかりやすく解説します。

プラハの春とは

プラハの春とは、1968年にアレクサンデル・ドゥプチェクがチェコ共和国共産党中央委員会第一書記に選出されてから始まった地方分権化と民主化の推進政策です。

国民に自由な権利を与えることを目的として進められました。

それまで制限されていた国民の権利の緩和が進み、報道と言論の自由、旅行の緩和措置などが含まれます。

ビロード革命とは

ビロード革命とは、チェコスロバキアがチェコ共和国とスロバキア共和国に平和的に分離した一連のプロセスを指します。

ビロードとは軽く柔らかな布地のことでベルベットともいい、チェコとスロバキアの革命のすべてのプロセスがビロードのように滑らかに進んだことから呼ばれるようになりました。

協議による平和的な解決は夫婦の離婚にたとえられ「ビロード離婚」ともいわれます。

チェコ共和国のおすすめアンティークコイン7選

波乱万丈の末に辿り着いたチェコ共和国。

歴史が浅いため発行間もないモダンコイン扱いですが、今後も国名が変わらない保証はどこにもありません。

チェコスロバキアやボヘミアのような幻の国のコインとして価値が高まる可能性があります。

精巧な彫金技術とハイセンスな美術的価値、そして希少性が高まりつつあるチェコのアンティークコイン7選をご紹介します。

カール4世プラハ新市街の創設 10,000コルン金貨

チェコを語るうえで欠かせない人物といわれるカール4世。

1347〜1378年にかけての神聖ローマ皇帝とボヘミア王を兼任し、ボヘミア王国の黄金期を築いた人物として知られています。

1348年のプラハ大学の創設はプラハを中央ヨーロッパ屈指の文化都市へと育て、現在は世界一美しい都市と呼ばれるまでになりました。

1356年には「金印勅書」の発布により神聖ローマ帝国の大空位時代を終わらせ皇帝選挙の手続きを定めます。

チェコ国民の信望は厚く、今も「私たちの偉大な王様」と呼ばれています。

時を経るごとに人物像もコインもいっそう価値が高まるでしょう。

発行年	額面	直径	重量	品位
1998年・1999年	10,000コルン	34mm	31.107g	999/1000金

スラヴォニツェのゲーブルハウス 2,000コルン金貨

チェコのアンティークコインの特徴のひとつである精巧な彫金技術を駆使した高品質の金貨です。

ルネッサンス後期の建造物であるスラヴォニツェのゲーブルハウスが石積みの質感も伝わるほど克明に描かれています。

裏面に描かれているのはチェコの国章のライオンと2羽の鷲です。

建築物シリーズとして発行された金貨を代表する名コインです。

発行年	額面	直径	重量	品位
2003年	2,000コルン	20mm	6.22g	999/1000金

国立技術博物館創立100周年 200コルン銀貨

国立技術博物館が創立100年を迎えた2008年に発行された200コルン銀貨です。

100年前といえば短命に終わったオーストリア・ハンガリー帝国の時代、発行枚数27,000枚の一部が破壊されたことと合わせて希少性の高いコインといえるでしょう。

表面のデザインは歯車を背景とした機関車、裏面は時計盤をバックに国立技術博物館が描かれています。

発行年	額面	直径	重量	品位
2008年	200コルン	31mm	13g	900/1000銀

国民評議会創立100周年 500コルン銀貨

こちらもオーストリア・ハンガリー帝国時代に創立された国民評議会、100周年を記念しての銀貨発行です。

振り返ると、オーストリア・ハンガリー帝国の支配下にあった時代がいかにエネルギッシュであったかが想像できます。

表面に描かれているのはリンデン（西洋菩提樹）の枝と葉、そしてチェコスロバキアの国旗です。

裏面にはオーストリア・ハンガリー帝国の鷲の紋章の上にチェコスロバキアの旗が描かれています。

発行年	額面	直径	重量	品位
2016年	500コルン	40mm	25g	925/1000銀

コスト城 5,000コルン金貨

コスト城はフラデツ クラーロヴェ地方チェスキー・ラーイに位置し、神秘的な森の中にあるお城です。

城壁が骨のように硬く難攻不落の城として知られることから、チェコ語で骨を意味するコストの名が付けられたといわれています。

コスト城の全容が描かれ、外壁に彫られたチェコの国章が印象的な金貨です。

建築物シリーズと同様に、城郭を描いた金貨もシリーズ化されています。    

発行年	額面	直径	重量	品位
2016年	5,000コルン	28mm	15.55g	999/1000金

国鉄 498形 アルバトロス蒸気機関車 500コルン銀貨

チェコスロバキア時代の国鉄が1945年に製造した498形のアルバトロス蒸気機関車が描かれた500コルン銀貨です。

表面は蒸気機関車の車輪、裏面にはアルバトロス蒸気機関車の全容が描かれています。

こうした人工物の描写はチェコの得意とするところ、精巧な技術で彫られた蒸気機関車が今にもコインから走り出しそうです。

アンティークコインの魅力のひとつである美術性の高さが際立っています。    

発行年	額面	直径	重量	品位
2021年	500コルン	40mm	25g	925/1000銀

ライオン金貨 1オンス 50ドル

威厳あふれるライオンの顔が迫力たっぷりに描かれている金貨です。

裏面はリンデンの枝と葉、そして鷲がセンス良く配置されたデザインです。

こちらもライオンシリーズとして、100ドル・250ドル・500ドルなど額面もデザインも異なる金貨が幾種類も発行され、すでに高価格で取引されています。

ライオンシリーズの他にイーグルシリーズもあり、いずれも高い描写力で美術性の高さは申し分ありません。

お早目の購入が望ましいでしょう。

発行年	額面	直径	重量	品位
2023年	50ドル	37mm	31.1g	999/1000金

チェコのアンティークコインの価格推移

チェコ共和国になってからのコインはモダンコインの部類に入りますが、すでに価格が上昇傾向にあります。

その根拠となっているのがアンティークコイン市場全体の安定的な上昇、そして世界的な金や銀への投資です。

下記のグラフは、アンティークコインの世界的鑑定機関として知られるPCGSによる価格推移の統計です。

PCGS3000 Indexと呼ばれ、多くのコイン価格専門家の意見を参考に作成されています。

チェコのアンティークコインの価格推移の指標の一つとなるでしょう。

次のグラフは、金の価格推移です。

どちらのグラフもほぼ右肩上がりの順調な伸びを示しています。

特にPCGS3000のコロナ禍以降の伸びは著しく、有事におけるアンティークコインの資産価値の強さを再認識させられます。

株や不動産と異なり、急落の可能性が低い点を考慮すると投資効果は抜群でしょう。

ただし、いずれも指標の一つに過ぎません。

複数の専門店の比較やカタログを取り寄せるなど、より多くの指標を求め多角的な視点から確実性の高い相場を掴んでおきましょう。

チェコのアンティークコインの購入方法と注意点

アンティークコインの市場が広がり手軽に取引できるようになった反面、相場とはかけ離れた価格でのコイン出品が目立つようになりました。

知識を持たない方をターゲットにした投資詐欺も横行しているので注意が必要です。

ここでは、チェコのアンティークコインの購入方法として、実店舗・オンラインショップ・オークションサイトの3つの方法を提示し、注意点を解説します。

実店舗ディーラ―での購入と注意点

チェコのアンティークコイン取引でもっとも安心できる方法が実店舗ディーラーでの売買です。

実際に展示されているコインを見ながら、経験豊富なスタッフと直接やり取りできるメリットは大きいでしょう。

デメリットは他の方法と比べて高くなる点と品揃えが限られる点です。

初めてアンティークコインを購入する方におすすめの取引方法です。

オンラインショップでの購入と注意点

オンラインショップでの購入は店舗運営費や人件費などのコストがかからないため、実店舗より安価になります。

店舗へ出掛ける必要もなく、自宅で自由な時間に購入できます。

反面、現物確認できないデメリット、贋作や状態の悪いコインを買わされてしまう可能性があるため注意が必要です。

贋作などのトラブルに備えた返金保証のあるショップを選びましょう。

オークションサイトでの購入と注意点

価格帯が広く、相場を掴みにくいのがオークションサイトです。

一方で手軽に取引できるメリットがあり、掘り出しものに出会う可能性もあります。

比較的安価で出品されている海外オークションで購入し、国内のオークションサイトに出品する方が少なくありません。

相場を掴んでアンティークコインの取引に慣れてきたら、効率的な運用方法といえます。

購入の際はコインの状態と真贋、そして出品者を徹底的に調べましょう。

チェコのアンティークコイン購入はお早めに！

高い美意識と波乱の歴史に育まれてきたチェコのアンティークコインは、今後ますます価値が高まっていくことが予想されます。

質感のある精巧な彫金技術とデザインのオリジナリティは他国のアンティークコインとは一線を画します。

また、チェコが再び歴史に翻弄される可能性も否定できません。

コインの希少性はいっそう高まるでしょう。

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