ETFにはさまざまな種類があり、目的や嗜好によって自由な選択が可能です。
しかしながら、あまりの種類の多さに理解が追い付かず、迷われている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、ETFの種類を地域別・資産別の観点から順を追ってわかりやすく解説していきます。
口座開設と運用まで言及しているため、ETF投資に迷われている方にとっては絶好の入門記事となっています。
ぜひ、ご一読ください。
ETFとは上場されている投資信託
ETFとは「Exchange Traded Funds」の3つの単語の頭文字の略であり、上場されている投資信託をいいます。
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金を資金として、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。
その運用成果が投資額に応じて分配されます。
少額からの投資が可能なため、手軽な資産運用の方法として広く普及してきました。
投資信託の場合、基準価額の発表は1日1回のみですが、ETFは上場されているため値動きをリアルタイムで把握できます。
ETFは地域別に大きく分けて2種類
ETFの種類を地域別に大別すると下記2種類になります。
- 国内籍ETF
- 外国籍ETF
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
国内籍ETF
国内で組成され、東京証券取引所や大阪証券取引所に上場しているETFを国内籍ETFと呼びます。
全国の証券会社で取引可能であり、日本時間のリアルタイムに、円で取引できる点は国内在住のユーザーにとって大きなメリットです。
商品の多様性という点で外国籍ETFに劣るものの、日本株関連については豊富です。
東京証券取引所では、資産別・規模別・業種別の指数が多数あり、一部がETFにも採用されています。
また、指数の多様化だけでなく、分配頻度も年1回から年2回、隔月、毎月など、多彩な商品が開発されています。
外国籍ETF
外国籍ETFとは、外国の取引所に上場している外国で組成されたETFです。
外国籍ETFのうちのいくつかは日本国内の取引所にも上場し、特定の証券会社で取引できます。
種類が豊富で多彩なため、選択肢が多くリスク分散できるメリットがあります。
しかしながら、それぞれの国の通貨を用いて現地時間に合わせての取引となる点は考慮しておきましょう。
現地通貨との為替リスク、分配金に対する現地での源泉税徴収などデメリットも決して少なくはありません。
国内籍ETFと外国籍ETF、それぞれ投資目的に応じて使い分けるのも一つの方法でしょう。
ETFは資産別に分けると6種類
ETFを資産の種類によって分けると以下の6種類になります。
- 日本株(市場別、規模別、業種別、テーマ別)
- 外国株
- 債券
- 不動産
- コモディティ(商品)
- レバレッジ型・インバース型
それぞれについて解説していきます。
日本株
国内の証券取引所に上場している株を対象としたETFです。
市場別・規模別・業種別・テーマ別の4種類に分類されています。
以下表をご参照ください。
分類 | 特徴 |
---|---|
市場別 | 日経平均株価や東証TOPIX、JASDAQ・東証マザーズなど、国内市場の指数別のETF知名度の高いTOPIXと日経平均株価は、同じ指数を対象とするETFが数多く上場して人気も高い |
規模別 | 企業規模によってカテゴライズされた株価指数成長力のある中小企業に絞って投資をしたい場合などに有効 |
業種別 | 業種別の分類応援したい業種や成長の見込まれる業種だけを選べる個別銘柄が経営破綻した場合のリスクを避けられる |
テーマ別 | 特定のテーマの銘柄を集めた株価指数を対象としたETF高配当や中国関連株などを組み入れた指数を対象指標としているため、多様なパフォーマンスが期待できる |
国内ならではの細やかさ、投資の目的や嗜好がはっきりしている方に適したETFです。
外国株
世界各国の株価指数と連動するETFです。
欧米はもちろん、中国やインド、ブラジルなどの新興国、さらに複数国の株式市場の指数と連動するETFもあります。
それぞれの国の市場にアクセスしての取引となりますが、東証に上場している外国株ETFもあり、国内での投資も可能です。
支援したい国、期待する国がある方に適しています。
債券
各国の国債と連動するETFです。
債権ETFは、日本の国債はもちろん、日本を除く世界の債券・世界全体の債券価格・アジア諸国の債券価格など、多彩な商品が用意されています。
利回りは低くなりますが信頼性の高い商品です。
リスク回避して、安全な運用を目指す方に適しています。
不動産
不動産に特化したETFであり、別名「REIT(リート)」とも呼ばれています。
「REIT(リート)」は「Real Estate Investment Trust」の頭文字からの略称です。
投資信託の商品名として用いられ、利回りの高さと少額からの手軽な不動産投資として人気を集めています。
とはいえ、元本割れがまったくないわけではありません。
リスクにも留意したうえで、大きな利回りを期待したい方に適しています。
コモディティ(商品)
コモディティ(商品)とは、金や銀、プラチナなどの貴金属、原油などのエネルギー、小麦・トウモロコシ・牛肉などの農畜産物をいいます。
コモディティETFとは、これらの商品先物市場への投資です。
コモディティの特徴は、株式のような配当がなく売買差益による利益(キャピタルゲイン)のみという点です。
株式のような配当のない点はデメリットとも捉えられますが、商品それぞれの需給バランスや変動要因が異なるためコモディティへの分散投資がリスク低減のメリットともなります。
なぜなら、インフレの場合、お金の価値は下がりますがコモディティはまったく異なる値動きを示し、価値が変わらないどころか上昇することさえあるからです。
将来的なリスクに備えたい方に適したETFといえます。
レバレッジ型・インバース型
レバレッジ型・インバース型とは、ETFの価格変動の特性を示しての名称です。
レバレッジ型は実際の値動きよりも大きく価格が動くETF、インバース型は相場の値動きと逆に動くETFです。
例えば「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」というレバレッジ型商品は、2倍の値動きになるように運用されています。
利益が高くなる半面、リスクも大きくなります。
また、「TOPIXベア上場投信(1569)」というインバータ型商品はTOPIXの上昇で価格が下がり、TOPIXの下落によって価格が上昇します。
市場全体が下落トレンドになると見込まれる場合に有効な運用です。
レバレッジ型・インバース型ETF共に、比較的短期間の運用に適しています。
\ ここでお知らせ /
資産運用をしたい方必見!
インフレ時代を乗り切る強い味方とも言える「アンティークコインでの資産運用」について、
アンティークコインの魅力や市場価値・過去10年間の価格推移などについて詳しく解説しております。
ETFの種類を地域と資産で分類|適性と特徴
ETFの種類を地域別・資産別の観点から表にまとめると以下のようになります。
資産/地域 | 国内籍ETF | 外国籍ETF | |
先進国 | 新興国 | ||
日本株 | ①日本株・市場別②日本株・大型株③日本株・高配当④日本株・ESG ⑤日本株・業種別➅日本株・レバレッジ型・インバース型 | ||
外国株 | ⑦先進国株(グローバル株)⑧欧州株⑨米国株⑩米国株ESG | ⑪新興国株 ⑫新興国株・単一国株 | |
債権 | ⑬国内債⑭国内債・インバ―ス型 | ⑮先進国債⑯米国債⑰欧州債 | ⑱新興国債 |
不動産(REIT) | ⑲REIT | ||
コモディティ(商品) | ⑳コモディティ |
それぞれの特徴と適性について解説します。
①日本株・市場別ETF
日本株・市場別ETFは、TOPIX(東京証券取引所の株価指数)や日経平均株価などの日本の代表的な株価指数に連動します。
毎日ニュースで発表される指数のため、値動きのチェックが容易です。
また、日本の市場に上場されている株にまとめて分散投資できます。
比較的オーソドックスな資産運用の方法として、初心者の方に人気です。
②日本株・大型株ETF
日本株のうち、時価総額と流動性の高い企業で構成された指数によるETFです。
大手の有名企業が多いため情報を得やすいメリットがあります。
また、経営状態も安定しているので安心して投資できます。
無難なETFとして、初心者も投資しやすいでしょう。
③日本株・高配当ETF
日本株・高配当ETFは、日本国内の株式市場に上場している企業のうち、高配当の銘柄の組成によるETFです。
株式銘柄は、成績に応じて定期的に入れ替えが行われます。
そのため、投資家自身が調べたり、銘柄を選んだりする必要はありません。
安定的な高配当を望む方に適しています。
④日本株・ESG ETF
ESG投資とは、環境 (Environment)・社会 (Social)・ガバナンス(Governance) を考慮した投資です。
E(環境)は、地球温暖化対策や水資源保護などの環境問題への取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)とあわせた考え方もあります。
S(社会)は労働環境の改善、G(ガバナンス)は情報開示や法令の順守です。
SDGsは世界の潮流となっているため、中長期的な投資として高いパフォーマンスを期待できます。
社会への関心の高い方に適した資産運用の方法です。
⑤日本株・業種別ETF
日本株・業種別ETFは、主にTOPIX構成銘柄を17業種に分けた「TOPIX-17」を指標とするETFです。
ご自分が興味や関心を持つ業界や、今後成長が見込まれるであろう業界へ、少額から投資できます。
業界全体への分散投資となるため、個別銘柄によるリスクを回避できるメリットがあります。
すでに着目している業界や関与する職業があるなら、業種別から始めてみてはいかがでしょう。
➅日本株・レバレッジ型インバース型ETF
日本株・レバレッジ型は日経平均株価などの約2倍の値動きを示し、インバース型ETFは株価指数の-1倍として計算されます。
したがって、相場の上昇局面で大きなリターンを得たい方にはレバレッジ型、下落時のリターンを狙いたい方にはインバース型が適しています。
株の値動きには反動があるため、どちらも短期間での運用が望ましいでしょう。
⑦先進国株(グローバル株)ETF
先進国株ETFは、日本を除く先進国の株式に投資します。
米国を中心とした先進国に限られるため、リスクは極めて低いといえるでしょう。
安定的な配当が期待できます。
また、東京証券取引所に上場しているETFなら、日本円で日本時間に投資できます。
世界中の株式に、手軽に投資したい方に適した運用方法です。
⑧欧州株ETF
欧州株ETFは、欧州の著名な企業や欧州経済をけん引する企業にまとめて投資するETFです。
同様に、ドイツの代表的な企業に特化したドイツ株ETFがあります。
日本からは遠いという印象の欧州ですが、ETFなら距離は関係ありません。
米国、中国に次ぐ経済圏としての欧州株式市場、あるいはドイツの代表的な企業に分散投資できる点は大きな魅力でしょう。
⑨米国株ETF
米国株ETFは、世界の先進国のトップをいく米国株のみを扱うETFです。
世界経済のリーダーともいえる米国市場全体への投資となるため、安心して投資できます。
日本国内で上場しているETFなら、生活スタイルを変えることなく日中の空いた時間に円での投資が可能です。
また、為替ヘッジの有無も選択できます。
米国への関心の強い方、低コストで米国企業に投資したい方に適しています。
⑩米国株ESG ETF
米国株ESG ETFは、米国株と、環境 (Environment)・社会 (Social)・ガバナンス(Governance) に配慮したESG指数に連動するETFです。
米国株の高いパフォーマンスと、企業の持続的な成長を享受するESG投資の両方の恩恵を受けられます。
世界的にESG投資への注目が集まっている中、より高いパフォーマンスを求める方に向いているでしょう。
⑪新興国株ETF
新興国株ETFとは、インドや中国、韓国・タイ・ブラジルといった新興国と呼ばれる国の株式に投資するETFです。
新興国市場に上場する銘柄は約900にも上り、個別で投資するのはプロでさえ難しいといわれています。
その千差万別の約900銘柄を1商品としたのが新興国ETFです。
経済停滞期には先進国株が堅調ですが、成長期には新興国株が優位といえます。
新興国や新興国企業の長期的な成長に期待したい方に適しています。
⑫新興国株・単一国株ETF
新興国株・単一国株ETFは、新興国株のうち、個別の国の株式市場全体に投資できるETFです。
日本市場に上場するETFであれば、新興国の特定の国の株式にも、日本時間に日本円で投資できます。
特定の国への思い入れがあったり、その国の成長に期待したりする場合、新興国株・単一国株が適しています。
⑬国内債ETF
国内債ETFとは、少額で日本国内のさまざまな債権にまとめて投資できるETFです。
一般的に債権は株式市場と逆の値動きを示します。
そのため、株式と並行運用する方が少なくありません。
株式運用のリスク低減に有効です。
⑭国内債・インバース型ETF
国内債・インバース型ETFとは、長期国債先物指数の価格変動率に対して逆の値動きをする指数によるETFです。
すなわち、円金利が上昇すると長期的な国債価格が下落し、リターンを狙えます。
金利上昇への予測ができる方、リターンを狙う方に適しているでしょう。
⑮先進国債ETF
先進国債ETFとは先進国債によるETFです。
先進国債は国内債より利回りが高いため、ポートフォリオのリスク軽減には最適といえます。
為替変動のリスク許容度に合わせて、為替ヘッジの有無を選択できます。
リスクを考慮したグローバル投資をしたい方に向いているでしょう。
⑯米国債ETF
米国債ETFは、先進国の中でもっとも利回りの高い米国の債券に投資するETFです。
世界最大の取引量と発行残高の米国債は、世界でもっとも信用性の高い債権といえます。
一般的に投資金額が大きくなりがちな債権を、少額でまとめて分散投資できるのはETFならではです。
低コストで米国債の売買を考えている方に適しています。
⑰欧州債ETF
欧州債ETFとは、その名の通り欧州債に投資するETFです。
欧州経済をけん引する双璧ともいえるのがドイツとフランスです。
それぞれに特化したドイツ国債ETF、フランス国債ETFがあります。
先進国の中でも比較的安全性が高いといわれ人気を集めています。
安定した配当を期待する方に適した資産運用です。
⑱新興国債ETF
新興国債ETFは新興国債への投資です。
先進国債よりも利回りが高い特徴があります。
その分、リスクも高い点には留意しておきましょう。
支援したい国、あるいは成長に確信のある方、高い配当を狙いたい方に適したETFです。
⑲REIT ETF
REIT ETFとは、投資家から集めた資金を不動産で運用するETFです。
REIT ETFの場合、不動産の賃貸収入等による利益の大部分を投資家に分配すると法人税が免除されるため分配金は高くなる傾向にあります。
海外のREITにも日本の時間に合わせた日本円での投資が可能です。
手軽に大家さん気分を味わいたい方に適しているでしょう。
⑳コモディティETF
コモディティETFとは、商品へ投資するETFです。
金や銀、エネルギー・農産物など実物資産への投資ですが、ETFなら実物を保有せずに手軽に投資できます。
株や債券の補完的な投資やインフレ時のリスク回避策として有効です。
ETFの購入・運用の手引き
まずはETF口座開設の手順を列記します。
- 自分の投資スタイルに合った金融機関を選ぶ
- 申込書を取り寄せ記入し、身分証明書のコピーとともに提出する
- 提出後、問題がなければ7~10日ほどで口座開設の連絡がくる
- 口座に入金し、金融機関が入金を確認したら取引開始できる
次に購入・運用の手引き・注意点を挙げます。
- 最低売買金額は銘柄によって異なるが1~4万円が相場
- 売買金額の他に売買委託手数料が必要
- 金融機関によって売買委託手数料が異なる
- 国内市場なら平日9:00~11:30、12:30~15:00に取引可能
- 米国市場の場合、23:30~06:00(サマータイムは22:30~05:00)に取引可能
ETFは相場を見ながらリアルタイムで売買できるため、指値や成行での注文が可能です。
しかしながら、一日に何回も売買すると売買委託手数料が多くかかる場合もあるので注意しましょう。
自分に合ったETFの種類を選び賢く資産運用
多種多様なETFですが、順を追うと概要がつかめてきます。
ご自分に合ったETFの種類がおぼろながらも掴めたのではないでしょうか。
とはいえ、投資にリスクは付き物です。
常にリスクを考慮し、無理せず資産運用を楽しみましょう。
マネートレンドnaviでは、ETFについてのより詳しい情報を配信しています。
ETFの種類・運用方法・テクニックなど、深く知りたい方はぜひ、マネートレンドnaviの公式LINEもご参照ください。