最近では、人気のある旧車を購入して、将来価値が上昇したタイミングで売却する「クラシックカー投資」が注目されています。
クラシックカー投資には、世界中の人気のあるクラシックカーが向いているため、需要のある車や価値のある車を探すことが重要です。
そこで今回は、数あるクラシックカーの中から「フィアット(FIAT)」について詳しく紹介します。フィアットはイタリア製の車ですが、外国車にはあまりない見た目の可愛らしさが一番の魅力。
見た目以外にも、高性能なエンジンや安全装置も大きな強みとなっているので、ぜひ本記事を最後まで読んで、フィアットの理解を深めてください。
フィアットとは
日本でも人気のフィアット。実はフィアットの歴史は古く、創業の歴史は第一次世界大戦よりも前にさかのぼります。
ここではそんな伝統あるフィアットの歴史や背景を以下のポイントに沿ってご紹介します。
- フィアット設立の歴史
- 戦時中のフィアット~イタリア最大の自動車会社になる~
- 戦後のフィアット~海外進出~
- 2000年以降のフィアット
では早速、順番に見ていきましょう。
フィアット設立の歴史
フィアットとは1899年に創立されたイタリアの大手自動車メーカーです。日本でも多くの人々から愛されている車種が数多くあり、今ではイタリアを代表する自動車メーカーへと成長を遂げました。日本だと、国民的アニメの「ルパン三世」が乗っている車として馴染みがある人も多いのではないでしょうか?
ちなみにフィアットが誕生した明治32年(1899年)は、日本では日本電気(現在のNEC)が設立された年でもあります。
フィアットが自動車製造を始めた時の初期メンバーは、なんと9名。9名全員が実業家で、中でも一番熱心に取り組んでいたのがジョバンニ・アニエッリでした。誰よりも情熱を持ってフィアットの創業に力を注いでいたことから、アニエッリが社長に就任することとなりました。
社名の「FIAT(フィアット)」は、「トリノのイタリア自動車製造所」を意味するイタリア語「Fabbrica Italiana Automobili Torino」の頭文字をとって名付けられました。
戦時中のフィアット~イタリア最大の自動車会社になる~
二度の戦争を耐え抜いた歴史あるフィアットは、その時の社会情勢によって事業内容も大きな変化を見せます。
1914年に第一次世界大戦が始まると、フィアットは自動車に加えて以下のような軍事用品も手掛けるようになりました。
- 軍用自動車
- 兵器
- 船舶
- 飛行機
軍需品の生産・供給で潤沢な利益を得たフィアットは、以下のような様々な方面に事業を展開します。
- 鉄道
- 電気
- 保険
- 銀行
これにより、フィアットはイタリア最大の自動車メーカーに成長しました。
ちなみに1914年はイタリア車のマセラティが創業された年でもあります。戦前はモータースポーツを積極的に行い、戦後は高級GTカーを生産していました。
戦後のフィアット~海外進出~
1918年に第一次世界大戦が終わると、フィアットの事業内容はがらりと変わります。戦時中は軍事用品の生産をメインに行っていましたが、再び自動車製造にシフトチェンジしたのです。自動車製造に力を入れたことにより、現在でも人気の「トッポリーノ」と呼ばれる初代500のモデルなどが世界的に大流行。これをきっかけに、高級車路線の仲間入りを果たすようになりました。
しかしフィアットの勢いはここではとどまりません。戦後のフィアットはイタリア国内に加えて、アメリカや日本といった諸外国へも積極的に進出していきます。海外進出の先駆けとして、1932年にドイツの自動車メーカーである「NSU」の自動車部門を買収。これにより、「NSUフィアット」が誕生することとなりました。
同じ頃、他社でも買収に関して動きがありました。人気自動車メーカーのアルファロメオとマセラティは経営危機に陥っていたことから、実業家のアドルフ・オルシが経営を担うことに。他にも、高級車として知られるロールスロイス社は1932年にベントレー社を吸収。この年は世界各地で自動車メーカーが買収された年になりました。
そして第二次世界大戦直後の1945年、フィアットに自らの人生を捧げてきたアニエッリは残念ながら帰らぬ人となります。その後社長に就任したのは、アニエッリの右腕でもあったヴィットリオ・ヴァレッタ。それまでは、アニエッリの実の孫であるジャンニが後を継ぐのだと誰もが思っていました。しかしアニエッリは生前、孫であるジャンニに「もっと遊んでから会社を継ぐと良い」と助言していたのです。ジャンニはそれを忠実に守り、ヴァレッタに会社の全ての決定権を託しました。
アニエッリから会社を託されたヴァレッタは、まずは海外進出にエネルギーを注ぎます。海外進出に先立ち、はじめにイタリア国内の制覇を目指します。たちまち国内の自動車メーカーを買収し、イタリアの中でも代表的な大企業へと成長を遂げました。さすがアニエッリの右腕ともいわれる人物なだけあって、戦争で経営が悪化していたフィアットをものの見事に復活させたのです。
国内の代表的な自動車メーカーに上りつめたフィアットは、いよいよ海外へと版図を広げます。まずはフランスやドイツ、ポーランドといった近隣のヨーロッパ諸国に進出。順調にヨーロッパ圏内での勢力を強めていきます。
ヨーロッパの中では、以下の国に合弁会社を設立しました。
- 1950年:スペインに「セアト」(現在はフォルクスワーゲンの傘下)
- 1968年:トルコに「トファシュ」
見事ヨーロッパをものにしたフィアットはアルゼンチンやブラジル、ロシアにも進出します。国内からヨーロッパ、そして世界各国へと勢力を拡大したフィアット。これはまるでお手本のような海外進出だといえるのではないでしょうか。
また、フィアットが世界中に勢力を拡大した1960年代は、他の自動車メーカーにとっても激動の時代でした。
- 1960年:イギリスの高級車であるジャガーがデイムラー社を吸収(これ以降ジャガーは高級車を数多く生産している)
- 1963年:大人気スポーツカーとして知られるランボルギーニが誕生
フィアット以外にも他社の吸収を行ったり、新自動車メーカーの誕生があったりと、自動車業界は目まぐるしく変化していたことがうかがえます。
そして来たる1968年、フィアットの社長はヴァレッタから、アニエッリの孫であるジャンニ・アニエッリに代替わりします。海外進出を成功させたヴァレッタの時代は幕を閉じ、ジャンニの代では本格的に高級車メーカーの買収が始まりました。
以下は、ジャンニが凄まじい勢いで買収した企業です。
- 1968年:アウトビアンキ
- 1969年:フェラーリとランチア
- 1971年:アバルト
- 1986年:販売不振で経営難に陥っていたアルファロメオ
名立たる自動車メーカーを続々と買収したフィアットは、イタリアの自動車業界を実際的に独占する状態にまで上りつめました。
2000年以降のフィアット
創業から順調に歩みを進めていたフィアットですが、1970年代以降は石油ショックなどにより経営が不安定になります。石油を扱う自動車業界としては、石油ショックは大打撃でした。1974年から1978年にかけてフィアットは、新モデルを1台もリリースできませんでした。
ちなみにフィアットが経営不振に陥っていた1978年は、イギリスの高級自動車メーカーであるランドローバーがブリティッシュレイランドの子会社になり、法人化した年でもあります。
フィアットの先行き不透明な苦しい経営は2000年代に入っても続いていました。しかし「このままではいけない」と心機一転、ゼネラルモーターズとの契約解除による違約金で、立て直しを図ります。
これまでのフィアットの基本の経営スタイルは、同族経営でした。しかしこの状況を打破するためには抜本的な経営の見直しが必要であると考え、経営スタイルの改革から実行したのです。
そのためにフィアットの経営陣として、フェラーリおよびマセラティの経営立て直しで偉業を成し遂げた、ルカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロと、セルジオ・マルキオンネを招き入れました。そして彼らの指揮のもとに経営改革を行うと、なんとフィアットは無事経営を立て直すことに成功しました。
経営立て直しのポイントは、フィアットの昔のロゴマークを復活させてロゴ入りのアパレルを展開したこと。ロゴをプリントしたスウェットを販売すると、プレミア価格が付くほどの人気ぶりで、世界的な大ヒットにつながったのです。
フィアットは数あるブランドの中でも、社名ロゴやエンブレムの変更が多いことで知られています。そのため古いロゴの復活はファンにとっても特別なものであり、結果的にそれが功を奏したのです。
フィアットのクラシックカーとしての特徴
イタリア車であるフィアットですが、日本でも人気があるので街中でも時折見かけることも。そんなフィアットの特徴や魅力を、解説していきます。
- コンパクトで乗りやすい
- 丸みを帯びたデザイン性
いずれも他の外国車にはあまり見られない特徴です。それぞれ解説していきます。
コンパクトで乗りやすい
フィアットの代表モデルであるコンパクトカー「500」を中心に、小回りが利くので乗りやすいことが大きな魅力。細い道路で対向車とすれ違う際や、細かいカーブなどでも安定感のある走りを見せてくれます。
それにプラスして、国産車に引けを取らない安全性の高さも人気の秘けつです。横滑りを制御するESCや、車輪をロックすることで滑走を制御するABSといった安全性能を備えているため、運転が得意でない方も安心してドライブを楽しめます。
丸みを帯びたデザイン性
ワイルドでスタイリッシュなデザインが多い外国車ですが、丸みを帯びた可愛らしい外観はフィアットが持つチャームポイントといえるでしょう。
外装だけでなく内装の注目度も高く、立体感のあるデザインや滑りにくい素材のシートが好評を得ています。
フィアットの代表&人気車種をピックアップ
では早速、フィアットのおすすめの車種を7つ紹介します。
- フィアット nuova 500
- フィアット 850 スパイダー
- フィアット Dino
- フィアット X1/9
- フィアット600 ムルティプラ
- フィアット アバルト 750 レコルトモンツァ
- フィアット アバルト 850 TC
それぞれ可愛らしい見た目ですが走りはピカイチで、レースで大活躍しているモデルも多数あります。一つずつチェックしていきましょう。
フィアット nuova 500
フィアットを代表するモデルといっても過言ではないのが、こちらの「フィアット nuova 500」。第二次世界大戦後に生産された、通称「トッポリーノ」と呼ばれた初代フィアット500の後継として登場しました。
フィアット nuova 500は「新しい」を意味するイタリア語「nuova」を付けて、1957年に販売されました。最新のフィアット500はこのモデルをモチーフにしています。
発売当初、スクーターを移動手段としていた人々に四輪車の強みをアピールして販売台数を増やしていました。価格が手ごろだったこともあり、フィアット nuova 500は瞬く間にヨーロッパ全体に販路を拡大します。その後はバリエーションを増やしながら1975年まで生産され続け、総生産台数は367万8000台に達しているほどです。
フィアット 850 スパイダー
こちらは1965年に登場した、オープンカータイプのフィアットです。コンパクトで乗りやすい快適さと丸みを帯びたデザインはそのままに、オープンカーが持つクールさも兼ね備えたモデルとなっています。
フォルクスワーゲンゴルフなどをデザインした、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が手掛けたことでも人気のモデルです。
ちなみにヘッドライトは、ランボルギーニミウラと同じパーツが使用されていることでも知られています。
フィアット Dino
1966年のジュネーブ・モーターショーで発表された「フィアット Dino」。同車はフェラーリが開発したV型6気筒エンジンを搭載していることでも有名です。
フェラーリにも搭載されているエンジンのおかけで、Dinoはフィアットの中でも比較的高値で取引されているとか。イタリア最大の自動車メーカーであるフィアットと、人気輸入車のフェラーリのコラボ品というだけで特別感があります。
フィアット X1/9
「フィアット X1/9」は1972年に販売された、ミッドシップスポーツカー。フィアットで初めて、エンジンを車体の中央に配置しているのが特徴です。
また同車は、ランボルギーニカウンタックやランチアストラトスをデザインした、ヌンチェロ・ガンディーニ氏が設計しました。
スポーツカーであるため、ゼロカウンターでドリフトができるほどの回転性もX1/9の大きな強みとされています。カウンターを少しあててアクセルを踏むだけでスピードが出るため、「楽に走れる車」として人気です。
フィアット600 ムルティプラ
ころんとした外観が特徴的な「フィアット 600 ムルティプラ」。1956年にフィアット 600から派生して販売されて以来、今でも世界中で愛されているフィアットのうちの一つです。
全長は3.5mほどしかない小柄なボディですが、実は最大6人の乗車が可能。他の車にはない珍しい形なので、街中で注目を浴びること間違いなしです。
ちなみにムルティプラは、大の旧車好きとして知られる芸人の千原ジュニアが自身のYouTube内で購入したことでも有名です。身長180cmの千原にとっては窮屈に感じそうですが、身をかがめて運転席に乗り込むと「めちゃくちゃええな」と絶賛しているほど。
さらに実際に運転した際にも、「クセがなく乗りやすい」と高評価していました。
フィアット アバルト 750 レコルトモンツァ
1958年にパリのモーターショーで発表された「フィアット アバルト 750 レコルトモンツァ」。フィアットの歴史の項目でもご紹介しましたが、フィアットは1971年にアバルトを買収しています。
アバルトはレーシングカーやスポーツカーを主に設計するメーカーで、モータースポーツにも積極的に参加。小さな車体でありながらも好成績を残しています。
フィアット アバルト 750 レコルトモンツァは、丸みのある可愛らしいデザインと、スピード感満載の走りの両方を叶えてくれる車です。
フィアット アバルト 850 TC
「フィアット アバルト 850 TC」は1961年に発売されました。フィアット 600をベースとして、アバルトがエンジン回りから外装パーツまで全て手を加えて製造されました。レースでも大活躍したモデルです。
車名の「TC」は、「Turismo Competizione」の頭文字をとったもので、「Turismoは」は「観光」、「Competizione」は「競争」を意味します。つまりフィアット アバルト 850 TCは長距離レースのための車、と解釈できます。
小さくて小柄なデザインとは裏腹に、攻めたコンセプトと高性能なギャップが魅力的です。
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旧車のフィアットを購入できる専門店
では最後に、フィアットを購入するのにおすすめの専門店を3つ紹介します。
- ネクステージ
- チンクエチェント博物館
- カーセンサー
いずれも旧車のフィアットを購入するのにうってつけの販売店です。車は決して安くはない買い物になるので、近くに店舗がある専門店を探して、実際に足を運んでみることをおすすめします。
ネクステージ
ネクステージは旧車のフィアットの取り扱いも豊富で、購入するならかなりおすすめです。
専門のバイヤーが事故車や水害車、その他トラブルが起きる可能性のある車を徹底的に排除して仕入れているため、安心して利用することができます。
さらにネクステージで販売する全ての車には、無料保証が付いていることも大きなメリット。万が一購入後にトラブルが発生しても、手厚い保証を受けることが可能です。
ネクステージ公式サイトはこちらから
チンクエチェント博物館
チンクエチェント博物館は、愛知県名古屋市に店舗を構えるフィアット500専門の私設博物館です。2001年に開館してから現在に至るまで、数多くのフィアット500を所蔵・展示しています。
同博物館はフィアット500を文化的な遺産であるとし、後世に残す保護・保存活動に取り組んでいます。展示している車は、イタリアに現存するものをカロッツェリアで修復、もしくはリフレッシュ整備・点検を行い、日本に迎え入れているとのこと。
フィアットの販売も行っているので、フィアットの購入を検討している方はぜひ訪れてみてください。博物館というだけあり、豊富なラインナップから選ぶことが可能です。
チンクエチェント博物館公式サイトはこちらから
カーセンサー
カーセンサーは中古車専門販売店です。国産車、輸入者ともに多くの車両を取り扱っており、フィアットも取り揃えています。
「古い車であっても綺麗に磨いてくれて助かった」「初めての中古車だったが熱心に説明してくれた」といった、スタッフの対応が丁寧であるという口コミが多数あるので安心して利用できます。
カーセンサー公式サイトはこちらから
【まとめ】フィアットでクラシックカー投資を始めてみては
今回は、イタリア車のフィアットについて詳しく解説しました。
フィアットはイタリア最大の自動車メーカーで、スポーツカーメーカーのアバルトも買収しているほどの勢力を誇っています。
輸入車でありながらも、可愛らしいフォルムと快適な走りを両立させており、普段使いとしてもおすすめのメーカーです。
人気モデルは高値で取引されているので、クラシックカー投資のために検討している方は、ぜひ紹介した専門店などに赴いて実際に調べてみてください。
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