アパート経営に興味があって、情報サイトで物件探しをしているけれど、どれくらいの利回りの物件を選べばよいかわからず、悩んでいませんか?そもそも利回りとは何で、どのように計算してよいのか分からない人も多いはずです。
本記事では、そんな方のために、利回りの基本、計算方法を具体例を盛り込んでわかりやすく説明しています。また、気になるアパート経営における利回りの相場、理想の数値、最低ラインについてもわかりやすく解説しました。
ぜひ最後までお読みいただき、物件選びの際に重要ポイントとなる利回りについて学んでいただければ幸いです。
アパート経営における利回りとは
アパート経営における利回りとは、投資額に対して得られる収入の割合です。
具体的には、アパート購入にかかる投資額に対して、年間どれくらいの家賃収入などの利益があるかの割合を計算した数値です。
アパート経営(投資)を行う場合、物件探しから始めることになりますが、その際に家賃をいくらに設定すればどれくらいの利益が出るのか知る必要があります。
その際に役立つのが利回り計算です。
利回りにはいくつか種類があり、それぞれの特性を把握せずに物件選びを行うと、大きな誤算を招くこともあります。後々に後悔しないためにも、ここでは、アパート経営の利回りの種類と計算方法をわかりやすく解説します。
アパート経営の利回りの種類と計算方法
アパート経営の利回りには、大きく分けて3つの種類があります。
- 表面利回り
- 想定利回り
- 実質利回り
順番に説明していきます。
表面利回り
表面利回りとは、アパートの購入価格に対して、年間の家賃収入の割合がいくらかを示したものです。
- 表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100(%)
例えば、8,000万円でアパートを購入し、その物件の年間家賃収入が800万円だとすると、800万円÷8,000万円×100(%)となるため、表面利回りは10%となります。
表面利回りの特徴は、経費等が考慮されていない点です。不動産広告や、物件情報サイトで提示されているのは、一般的にこの表面利回りです。
想定利回り
想定利回りとは、アパートの購入価格に対して、空室なしと仮定して、年間家賃収入の割合がいくらかを示したものです。
- 想定利回り = 空室0の年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100(%)
ポイントは、空室なしで、家賃が問題なく支払われている状態であると仮定した計算である点です。アパート経営をした場合に、最大でどれくらいの利益を得られるか知りたい場合に役立つのが想定利回りです。
広告などには、この想定利回りが用いられる傾向が大きいようです。広告で魅力的な利回りの数値を目にしても、それが想定利回りである可能性を踏まえておくべきでしょう。
実質利回り
実質利回りは、アパート購入価格に購入時の諸経費を足した額に対する、年間の家賃収入から諸経費を差し引いた額の割合です。
- 実質利回り = ( 年間満室家賃収入 – 年間経費 ) ÷ ( 物件購入価格 + 購入時諸経費 ) × 100(%)
実質利回りの特徴は、諸経費を考慮している点です。
実質利回りは、現実的に発生する金額を元に計算するため、アパート経営におけるリアルなキャッシュフローを知ることができます。
例えば、6,000万円の物件取得の際に600万円の経費が発生し、年間の家賃収入が600万円、年間の経費は100万円だとします。その場合の実質利回りは以下のとおりです。
- (600万円–100万円)÷(6,000万円+600万円)×100(%)=約9.2%
実質利回りは物件選びの際にも重要となります。後ほど経費を仮計算するときの目安を「利回りを見るときの注意点」の箇所で詳しく説明します。
相場から考える理想の利回り
次に、相場から考える理想の利回りはどれくらいの数値となるのかを見ていきましょう。
アパート経営の利回りの相場
以下は、一般財団法人日本不動産研究所が行っている2022年10月の不動産投資家調査から抜粋した「期待利回り」です。
期待利回りは、「購入後に期待される家賃年収÷不動産価格×100」で求められます。期待利回りであるため、経費等は考慮していませんが、その地域での相場として見ることができます。
地区 | ワンルーム | ファミリー向け |
---|---|---|
札幌 | 5.0% | 5.2% |
仙台 | 5.1% | 5.2% |
さいたま | 4.8% | 4.8% |
千葉 | 4.8% | 4.8% |
東京都(目黒区、世田谷区) | 3.9% | 4.0% |
東京都(墨田区、江東区) | 4.1% | 4.2% |
横浜 | 4.5% | 4.5% |
名古屋 | 4.7% | 4.8% |
京都 | 4.8% | 4.9% |
大阪 | 4.5% | 4.5% |
神戸 | 4.8% | 5.0% |
広島 | 5.2% | 5.5% |
福岡 | 4.7% | 4.8% |
ワンルームは、以下を目安にしています。
- 交通アクセス:最寄り駅から徒歩10分以内
- 築年数:5年未満
- 平均専用面積:25~30㎡
- 総戸数:50戸程度
ファミリー向けは以下を目安としています。
- 交通アクセス:最寄り駅から徒歩10分以内
- 築年数:5年未満平均
- 専用面積:50~80㎡
- 総戸数:50戸程度
上記の結果から、都心よりも地方のほうが利回りは高いことがわかります。理由としては、都心部に比べ、地方は物価が安いことが挙げられます。つまり、アパート取得費そのものが地方では都心に比べ安い傾向にあるのです。
物件購入価格が安くなると、利回りを求める式の分母が小さくなります。結果として、利回りは高くなります。
- 表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100(%)
また、地方の物件は都心に比べて空室リスクが高いため、想定利回りを大きく下回ってしまう可能性があることも留意しておきましょう。
築一棟アパートの理想の利回り・最低ライン
新築一棟アパートを購入して経営(投資)する場合の理想の実質利回りと最低ラインは、以下の通りです。
- 理想実質利回り…5%
- 最低ライン実質利回り…3%
新築アパートはその新しさから、購入価格が高くなるため、利回りは低くなります。
近年新築アパートでは、耐火耐震構造が進化したり、以前はアパートにはなかった共用部分が導入されたりしています。その影響で全体的に価格が上昇傾向にあります。その結果、利回り計算の分母である購入価格が高めとなり、利回りが低くなるのです。
中古一棟アパートの理想の利回り・最低ライン
首都圏の中古アパートを購入して経営(投資)する場合の最低ライン(目安)の表面利回りは以下です。
理想利回り | 8% | |
目安利回り | 築10年以下 | 5~6& |
築10年から20年 | 7~8% | |
築20年以上 | 10%程度 |
上記の表のとおり、中古一棟アパートの場合、利回りは築年数によって大きく異なります。築年数が長ければ長いほど、物件購入費が下がるため、利回りが大きくなる傾向にあります。
中古アパートは新築アパートと異なり、修繕費やリフォーム費が大きくかかります。それゆえ、築年数が古ければ古いほど、表面利回りと実質利回りの差が大きくなるので注意しましょう。
【参考】昨今の首都圏とその他エリアの一棟アパート平均利回り
以下は首都圏の2022年10月から12月までの一棟アパートの利回りの平均です。物件の購入予定地域と照らし合わせて、参考にしてみると良いでしょう。
地区 | 築年数 | 利回り |
---|---|---|
東京都23区 | 築10年未満 | 5.8% |
築10年~ | 6.12% | |
築20年~ | 6.75% | |
東京市部 | 築10年未満 | 6.23% |
築10年~ | 7.83% | |
築20年~ | 8.21% |
築10年未満 | 築10年~ | 築20年~ | |
---|---|---|---|
札幌 | 7.23% | 8.18% | 9.71% |
仙台 | 6.58% | 8.24% | 12.39% |
名古屋 | 6.86% | 7.22% | 8.05% |
京都 | 5.90% | 5.82% | 8.96% |
大阪 | 6.40% | 7.17% | 10.52% |
神戸 | 6.48% | 6.23% | 11.65% |
広島 | 6.09% | 8.24% | 8.76% |
福岡 | 6.09% | 6.51% | 7.54% |
アパート経営の利回りをシュミレーション
ここからは、実際のアパート経営の利回りを以下3パターンで計算して、シュミレーションしてみましょう。
アパート一棟の購入費が1億円 8室で家賃8万円の場合
ここでは、アパート一棟の購入費が1億円で、8室あり、家賃が8万円の場合をシュミレーションします。
アパートの年間収入は、満室の場合は8室×8万円×12ヶ月となるため、合計768万円となります。
表面利回り・想定利回りの計算
満室の場合と仮定して、諸経費を考慮せずに計算します。
表面利回り・想定利回り
=年間家賃収入÷物件価格
=768万円÷1億円
=0.0768(7.68%)
表面・想定利回りは、7.68%となりました。
実質利回りの計算
8室中2室は空室、年間諸経費を200万、購入時諸費用を500万円と考えます。
実質利回り
=(年間の家賃収入-年間経費)÷物件価格×100
=(768万円ー200万円)÷1億円×100
=568万円÷1億円
=0.0568(5.68%)
実質利回りは、5.68%となりました。
以上のように、表面・想定利回りと実質利回りは、大きくずれることがあります。後から現実に発生する諸費用・諸経費に悩まないように、利回りは実質利回りを考慮するようにしましょう。
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利回りを見るときの注意点
次に、利回りを見る際に注意すべき5つのポイントについて紹介します。
- 実質利回りで計算する
- 空室を考慮して計算する
- 金利が上がった場合も想定して計算する
- 家賃下落リスクを考慮する
- 修繕費を考慮する
実質利回りで計算する
前述したように、利回りには大きく分けて3つの種類があります。その中で、広告や情報サイトで見かける利回りは、表面利回りや想定利回りです。
表面利回りは、シンプルに、アパートの購入価格に対して、年間の家賃収入の割合がいくらかを示したものです。よって、必要となる諸経費は一切含まれていません。
実質利回りで計算したいけれど、諸経費がどれくらいかかるかわからないとき、年間経費を年間家賃収入の20%、購入時諸経費を物件価格の10%として実質利回りの計算をしてみましょう。
- 実質利回り = ( 年間満室家賃収入 – 年間経費 ) ÷ ( 物件購入価格 + 購入時諸経費 ) × 100(%)
- 年間経費…年間家賃収入の20%
- 購入時諸経費…物件価格の10%
年間経費は、アパートを経営する中で発生する費用です。管理費、修繕費、固定資産税などが含まれます。
購入時諸経費は、アパートを購入する際に発生する費用です。印紙代、火災保険料、登録免許税、不動産取得税、司法書士報酬などが含まれます。
空室を考慮して計算する
アパート経営の利回りを計算する際の重要なポイントは空室率を考慮して計算することです。
空室率とは、アパート全体の部屋数に対し、空室が占める割合のことを指します。
表面利回りや想定利回りは、満室を想定して計算されていますので、空室率を考慮して計算してみる必要があります。すると、よりリアルな実質利回りの数値を知ることができます。
例)全10室あるアパートで、5室が埋まるまでに5か月かかった場合
その場合の計算は以下の通りです。
- 空室率=(空室数×空室期間)÷(全体の室数×365日)×100
空室率
=(空室部屋数5×平均空室月数4ヶ月)÷(総部屋数10室×12ヶ月)×100
=16.66%
次に、空室率を考慮して実質利回りを計算します。
- 実質利回り(%)= (年間収入-年間必要経費) ÷ (物件価格+購入時諸経費) × (100-空室率)
例)
- 物件購入費…6,000万円
- 購入時諸経費…600万円
- 年間収入…600万円
- 年間必要経費…100万円
実質利回り
=(600万円–100万円 ) ÷ (6,000万円+600万円) ×(100ー16.66)%
=約6.31%
空室率を考慮すると、利回りは下がります。
物件のエリアによって、入居者が決まるまでの期間は異なります。必ずしも、物件を購入し、アパート経営を開始したらすぐに全室の入居者が決まるとは限らないため、空室率を考慮したシュミレーションも行っておくと良いでしょう。
金利が上がった場合も想定して計算する
アパート投資で金融機関から融資を受ける場合、借り入れ期間が長くなることがほとんどです。その場合、途中で金利が上昇する可能性もあります。
変動金利を選んだ場合は、金利が上昇して毎月の支払額が大きくなった場合も想定して利回り計算をすることをおすすめします。
なお、融資を受ける場合の金利は、固定金利と変動金利の2種類があります。
固定金利は、完済時まで同じ利率で利息が発生します。
変動金利は経済状況や金融市場の影響で半年ごとに金利の見直しが行われます。つまり、定期的に金利が変わります。
変動金利でローンを組んだ場合に金利が高くなってしまった場合の対処は3つあります。
1つ目は、自己資金が潤沢にあれば、不動産ローンの残債を一括返済してしまうことです。それによって金利を支払う必要がなくなります。
2つ目は、固定金利でアパートローンの融資を受けることができる金融機関に借り換えを行うことです。
一般に固定金利は、変動金利よりも金利が高く設定されています。しかし、金利上昇が長期的に続く見通しの場合は、いずれ変動金利が固定金利を上回る可能性が高いため、長期的には総支払額が低くなることもあります。
3つ目は、手元に残しておいた資金を使って、繰り上げ返済をすることです。繰り上げ返済には、返済期間短縮型と返済額軽減型の3種類があります。金利上昇によって返済額が上がってしまった場合は、返済額軽減型がおすすめです。
変動金利を選ぶ場合は、金利が上がることも視野に入れて、資金に余裕を持たせておくことが必要となります。
家賃下落リスクを考慮する
アパート経営を行っていると、様々な事情で家賃を下げざるを得なくなる局面に直面します。たとえば、建物の経年などが理由で、入居者が見つからない場合などです。
空室が多い状態が続くときは、なんらかの施策を打つ必要があります。収益が減ってしまい、利回りも低くなってしまうからです。
対策の1つは、家賃の値下げを行うことです。一時的に家賃収入が減ってしまいますが、空室が減ればキャッシュフローがよくなります。
物件選びをするときは、家賃を当初よりも下げた場合のシミュレーションも行った上で、最終的な決定を下すようにしましょう。
修繕費を考慮する
アパート経営では、建物の経年劣化や老朽化による修繕費がかかります。よって、年間経費は、たびたび発生する修繕費を見込んでおく必要があります。
修繕が必要となった場合を想定した上で、複数パターンの利回り計算をしておくと良いでしょう。
修繕が必要になるケースは、大きく分けて以下となります。
- 原状回復
- 補修
- 予防修繕
- 大規模修繕
原状回復とは、入居者が退去したタイミングで、部屋を入居時の状態に戻すことをいいます。ハウスクリーニングなども含め、この費用は、入居者が負担するので、経費の中へ盛り込む必要はほぼないと言えます。
補修は、オーナーが負担する修繕費で、設備の不具合や、事故や災害などが原因の故障や破損に対して行います。事故や災害はいつ何時起きるか予測が難しいため、修繕費用分の余剰金を別途用意しておくことをおすすめします。
予防修繕は、古い設備を入れ替えたり、室内のリフォームを行ったりしておくことです。設備を新しいものへ入れ替えることや、リフォームを行っておくことは空室対策に繋がります。
大規模修繕では、外壁や屋根、ベランダ等を数年から数十年に1度補修します。
これらは、建物の規模により数万円から数百万円、大規模修繕だと数千万円となります。アパート経営では上記のような定期的な修繕も想定しておく必要があります。
アパート経営の基礎知識
ここからは、アパート経営を行う上で、知っておくべき基礎知識について説明します。
アパート経営の収入の内訳
一般的にアパート経営の収入は以下のようなもので構成されています。
- 家賃(共益費・管理費)
- 礼金
- 更新料
- 駐車場代金
アパート経営の収入のメインは家賃収入となります。
礼金は、入居時の賃貸契約を交わす際に、入居者から払われるオーナーへの謝礼金です。一般的に、家賃の1、2か月分が相場と言われています。
更新料は、賃貸契約書を更新する際に、入居者からオーナーへ支払われる費用です。一般的に更新時期は2年ごとの場合が多く、賃料の1、2か月分が相場と言われています。
敷地内に駐車場を用意できる余裕があれば、駐車料金を家賃と別に集金することも可能です。
共益費、管理費は、入居者らが共同で利用する設備や施設を維持したりするために必要な費用です。たとえば、アパートの入口から各部屋の玄関までの通路やゴミ置き場の清掃費用、電球の交換費用、水道や電気代などです。
共益費管理費を家賃と分けて徴収すると、礼金や更新料がその分減るため、注意が必要です。なお、共益費と管理費の間には、明確な違いはありません。
アパート経営の初期費用
では、次にアパート経営を行う際の初期費用(購入時諸経費)を紹介します。
初期費用には大まかに以下のようなものがあります。
- 土地・アパート取得費
- 不動産取得税
- 印紙税
- 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
- ローン保証料
- ローン事務手数料
- 火災保険料
土地・アパート取得費
アパートの取得費用は、坪単価×延べ床面積で決まります。坪単価は、以下のように金額が上がっていきます。
- 鉄筋コンクリート>鉄骨造>木造
建物の種類 | 1坪あたりの金額 |
---|---|
木造アパート | 40~60万円前後 |
鉄骨造アパート | 50~70万円前後 |
鉄筋コンクリートアパート | 70万~100万円前後 |
不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物を購入する際にかかる税金です。固定資産税とは違い、不動産取得時に1度だけ課される税金で、各都道府県に納税します。
注意すべきは、購入後半年から1年半後に請求される点です。
- 固定資産税評価額×税率(3%)=不動産取得税
固定資産税評価額は、国が定めた固定資産評価基準にもとづいて市町村が決定します。
固定資産税の納税通知書には、課税明細書が添付されており、その中に固定資産税評価額の記載があります。
評価額は、国の定めた「固定資産評価基準」に基づき、各市町村の担当者が個別に決定しています。目安は、土地は時価の70%、建物なら時価の50%〜70%が多いようです。
なお、不動産取得税率は、基本は4%なのですが、2024年までは特例で税率が3%に軽減されています。
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書や領収書など、特定の文書に課税される税金です。たとえば、5,000万円の物件を購入した場合の契約書に課される印紙税は3万円となります。
契約金額 | 税額 |
---|---|
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
登記費用
不動産を購入した場合には、不動産が自分のものであることを示すための登記が必要となります。
土地や建物に対して、その所在地、所有者の住所氏名などを登記簿に記載し、権利を明確にすることを登記といいます。
登記費用は、登録免許税と司法書士報酬の2つに分かれます。
アパート物件を購入するときには、複数の不動産登記が必要となりますが、そのうちの不動産登記にかかるのが登録免許税です。
不動産登記は、新築物件と中古物件の2種類に分けられます。新築の場合は、所有権保存登記、中古の場合は所有権移転登記となります。
登記免許税は、下記の計算から求められます。
- 固定資産税評価額×税率=登録免許税額
新築物件所有権保存登記の場合は、4%の税率、中古の場合の所有権移転登記の場合は2%の税率となります。
前述したように、評価額の目安は、土地の場合、時価の70%、建物なら時価の50%〜70%となるのが一般的です。それらを参考に計算してみると良いでしょう。
ローン保証料
不動産投資ローンを組む際は、ローンの保証会社と契約するのが通常です。
具体的には、ローンを組んで物件を購入する際に、借入額の2%程度の保証料を保証会社へ支払います。
この保証料は、一括で支払う方法と金利に上乗せして分割して支払う方法がありますが、一括で支払う方法のほうが低額です。可能であれば、初期費用に含めて支払うと良いでしょう。
ローン事務手数料
さらに、融資を受ける金融機関へ事務手数料も支払います。事務手数料は定額制か、定率制の2種類があります。定率制では、借入額の1〜3%が多いようです。
借入が多いと当然、事務手数料も高くなります。ローンを組む際は、金融機関に事務手数料がどちらの方式なのか確認しておくと安心でしょう。
火災保険料
アパート投資を目的としてローンを組む場合、火災保険への加入が必須です。
火災保険料は、アパートの規模や構造、立地、保証内容などによって金額が変わります。
一般的に、マンションの場合は10年の保険期間で10万円前後です。アパートが木造などの場合は、マンションよりも壊れやすいため、火災保険料はマンションより高くなると考えられます。
アパート経営のランニングコスト
では、次にアパート経営のランニングコストはどのようなものがあり、どれくらいの金額がかかるかを見ていきましょう。
ランニングコストは、大きく毎月かかる経費と、必要なときだけかかる経費に分かれます。
毎月かかる経費
毎月かかる経費は以下の通りです。
- 水道・光熱費
- 管理費(管理会社に依頼する場合)
- ローンの利息
- 保険料
光熱費は、共用部分の電気代や水道代です。
管理費は、アパートの管理を管理会社に依頼する場合に発生します。管理費用は、一般的に毎月の家賃の5%程度が多いとされています。
管理会社の業務は、清掃や電球交換などの物件管理と、空室が出た場合の入居者募集と家賃の集金といった家賃管理です。
アパートを購入する際に、ローンを組んだ場合は、利息が毎月の経費として発生します。保険料を一括ではなく、毎月支払う形にした場合も月々かかる費用となります。
随時かかる経費
毎月ではなく、必要なときに随時かかる費用は以下となります。
- 修繕費
- リフォーム費
- 仲介手数料
修繕費は、建物の経年劣化や災害などによる突発的な事故や故障によって必要となる修理費用・工事費用を指します。特に経年劣化は、築年数が経過するにつれて、高額な修繕費がかかるようになるため、注意しましょう。
リフォーム代は、主に入居者の退去後に行う室内メンテナンスにかかる費用が該当します。カーペットや壁の張替え、水回りのメンテナンスなどを行うことで、次の入居者が決まりやすくなる傾向があります。
仲介手数料は、過去は入居者を紹介した不動産会社に対して、オーナーと入居者が0.5ヶ月分ずつ負担するのが一般的でしたが、現在はオーナーが家賃1ヶ月分を管理会社に支払うことが多いようです。
アパート物件の選び方
ここからは、アパート一棟を選ぶ際のポイントについて説明します。
- 利回りで選ぶ
- 築年数で選ぶ
- 立地場所で選ぶ
利回りで選ぶ
アパート物件を選ぶときに大切なのは、利回りを重視し、購入の目安とすることです。
再三述べていますが、利回りは表面利回りではなく、実質利回りで計算してください。実質利回りとは、家賃収入から年間経費(ランニングコスト)を引き、物件購入価格に購入時諸経費(初期費用)を足したものです。
情報サイトを検索して物件の候補を割り出し利回り計算するときは、以下のように年間経費を年間家賃収入の20%、購入時諸経費を物件価格の10%として計算してみましょう。
- 実質利回り = ( 年間満室家賃収入 – 年間経費 ) ÷ ( 物件購入価格 + 購入時諸経費 ) × 100(%)
- 年間経費…年間家賃収入の20%
- 購入時諸経費…物件価格の10%
なお、新築の一棟アパートであれば、稼働率(入居率)は見込みでしか計算できませんが、中古一棟であれば、これまでの情報を参考にすることができます。
年間満室家賃収入に、稼働率をかけて計算してみるのも、リアルなキャッシュフローを把握するための良い手段です。
築年数で選ぶ
一棟アパートを選ぶ際に重要な要素の2つ目は、物件の築年数です。築年数によっては、修繕やリフォームなどが必要となる可能性があるためです。
一般的に、投資物件として適しているのは築年数10年から20年の物件と言われています。新築と比べてある程度、価値が下げ止まっており、さらにその後10年程度は経営を続けていけるからです。
築年数30年以上のものは、主に2つのリスクがあります。
1つは、投資物件としての寿命が少ないことです。老朽化により入居者が見つからないばかりか、場合によっては建物を処分する費用まで負担しなければならない状況に陥る可能性があります。
2つ目は、老朽化により、入居者が決まりにくく、既存の入居者が退去を決めやすい傾向にあることです。つまり、空室率が高くなりやすいということです。
新築の場合は、入居者の入退去に比例して、価格が落ちていく傾向があります。しかし、物件購入価格は新築故に割高であるため、利回りが低くなりがちです。
よって、築年数は、10年から20年のアパートを選ぶのがおすすめです。
立地場所で選ぶ
アパート投資は利便性が命です。立地の重要ポイントとしては、以下が挙げられます。
- 最寄り駅から10分以内
- 近くに大学などの教育施設がある
- 周辺に大型施設がある(役所、総合病院や工場、大型商業施設など)
- 再開発予定エリア
アパートが単身者向けなのか、ファミリー向けなのかによって、近隣に求められる施設は変わってくるため注意が必要です。
単身者向けであれば、24時間営業のコンビニが近いかどうかがポイントとなります。ファミリー向けであれば、学校や公園が近いこと、便利さよりも治安の良さなどが重視されます。
物件選びは、アパート投資をはじめとする不動産投資における一番の悩みどころでしょう。
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物件選びに迷ったら、当社にご相談ください。
本記事では、アパート経営の利回りを中心に、基礎知識、利回りの相場や理想の数値、計算方法・シュミレーション、気を付けるポイントを紹介しました。
合わせて利回り計算の中に出てくる購入時諸経費や、年間費用の内訳となる項目についても解説を行いました。
アパート投資において、最も重要なのは、いかに空室を発生させないようにするかです。せっかく利回りの良い物件でも、入居者が減り空室になると収益が減るため、キャッシュフローが回らなくなるからです。
空室率を少なくするためにも、物件を選ぶ際は、アパートの過去の稼働率、土地の特性などの情報を入念に下調べする必要があります。しかし、全くの初心者がこれらの情報を集めるのは難しいので、プロに相談することも視野に入れるとよいでしょう。
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