美しさはもちろんのこと、手に取ることで発行当時の歴史的背景に思いを馳せることができるのが金貨です。
昔から世界各国で発行されていますが、なかには1枚で数千万円以上の価値を持つものも存在します。
また、すでに発行が終了した金貨は時間と共に価値が高くなります。ゆえに、単なるコレクションだけではなく、投資資産としても手に入れたいと考える人々が増えているのです。
今回は金貨を用いた資産運用術「金貨投資」の基本をお伝えします。
金貨のなかでも特に有名なものを集めた「金貨ランキング」も紹介するので、ぜひご覧ください。
金貨とは?3つの種類を解説
金貨とは、金(ゴールド)を材料として製造された貨幣のことを指します。
歴史を通じて、金貨は貨幣としてだけでなく、富の象徴や投資の対象としても扱われてきました。
金貨には大きく分けて「地金金貨」「収集型金貨」「通貨型金貨」の3つの種類があり、それぞれ別の目的で作られます。
ここでは各金貨が作られる目的や利用方法などを解説するので、ぜひご覧ください。
- 地金金貨
- 収集型金貨
- 通貨型金貨
地金金貨
地金金貨(じがねきんか)は投資用に作られた金貨で、世界中の造幣局で作られています。
品位(金の純度)が造幣局によって保証されているため、特に安全な金投資をしやすい金貨です。
カナダの「メイプルリーフ金貨」や、オーストリアの「ウィーン金貨ハーモニー」などは純金99.99%で作られているので、投資家から特に人気を集めています。
地金金貨には鋳造費や流通費などのプレミアムが上乗せされるため、取引価格は金そのものより高くなるのが特徴です。
それでも投資したり、収集したりする人がいるのは、金貨やコインを手に取ることで美しいデザインや1枚1枚の背景に思いを馳せられるからでしょう。
ちなみに、地金金貨と混同されがちな「金地金(きんじがね)」は金を保管しやすくするために形状を変化させたコインを指します。
「ゴールドバー」や「インゴッド」と呼ばれ、地金金貨と同様に投資目的で取引されることが多いです。
日本では「田中貴金属工業」や「徳力本店」、「三菱マテリアル」などが認定ブランドとして金地金を製造しており、世界中でも取り扱われています。
金地金を取り扱う企業はコインも取り扱っていることが多いので、入手先として知っておくと安全な投資が可能です。
収集型金貨
収集型金貨とはコレクションを目的として扱われる金貨です。
国家や王室の重要な行事、またはオリンピックやワールドカップといった国際的なイベントの記念に製造されます。
収集型金貨は金の含有量は低い傾向にありますが、希少性の高さや歴史的背景からコインの価値自体が高騰することが多いです。
たとえば、中国の「中国十二支金貨」や日本の「天皇陛下御即位記念10万円金貨」などは、アジアでは特にに代表的なコインです。
これらの金貨は限定された数量しか発行されないため、時間が経つにつれてその価値も上昇しています。
特に製造された時期が古い金貨ほど価値が高まりやすく、先ほど挙げた「天皇陛下御即位記念10万円金貨」は、2024年現在で額面価格の3倍となる30万円以上で取引されている濃いんです。
収集型金貨の価値は、単に金の市場価格に左右されるのではなく、発行された意味合いや数量の少なさなど、希少性に大きく影響されます。
それゆえにコレクションとして集める人々が多いため、「収集型金貨」とも呼ばれるのです。
通貨型金貨
通貨型金貨は我々が使う貨幣として流通させることを目的に作られる金貨です。
これらのコインは発行国によってその額面価値が保証されており、金の市場価格がどのように変動しても、額面通りの通貨として役割を果たします。
先ほど収集型金貨として紹介した「天皇陛下御即位記念10万円金貨」も、本来は通貨型金貨として10万円分の支払いに使用できます。
しかし、このような記念金貨は発行枚数が限定されているうえに、特別なデザインや背景を持つため、市場では額面を大きく上回る価値で取引されることが一般的です。
実際に貨幣として利用されることは少なく、むしろ収集家や投資家によって高い価値を見出される「収集型金貨」としての側面が強調されます。
金の市場価格に左右されにくく、さらには発行時の時代背景が価値を担保するため、収集型金貨と同様に価値が下がりにくいコインです。
なぜ?金貨が高値で取引される理由
金貨の価値は、その素材や発行時の歴史的背景だけが理由で高いわけではありません。
金の希少性や世界中の収集家による高い需要が金貨の取引価格を高め、さらに手に入りにくいものにしています。
ここでは、これらの理由について詳しく掘り下げていくので、金貨の基礎知識を身につけるためにもぜひご覧ください。
- 希少性のある金で作られているから
- 収集家による高い需要があるから
希少性のある金で作られているから
金貨が高値で取引される一つ目の理由は、「素材が高いから」です。
金貨の主要素材となる金は地球上に存在する量が限られています。
さまざまな国で採掘されてはいるものの、量の少なさが希少価値を高め、需要も多いことから常に高い価格で取引されているのです。
また、これらの理由は、金をインフレに強い現物資産としての側面も強めています。
株式のように価値が急激に下落することが少なく、長期的に見て資産価値を保持しやすい特性を持っているため、資産防衛のための投資先としても効果的なのです。
希少性が高く、人々から信頼されている金から作られている金貨だからこそ、高値で取引されています。
マネートレンドNaviでは金貨やダイヤモンドなど、価値が下がりにくく資産防衛に適した投資先に関する情報を発信しています。
投資初心者の方に知ってほしい基礎知識をわかりやすく解説しているのでぜひご覧ください。
収集家による高い需要があるから
収集家からの高い需要によっても金貨の取引価格は上がります。
特に古いうえに状態の良い金貨は価格が上がりやすく、1839年にイギリスで発行された「ウナとライオン」のように、現代でも1億5千万円以上で落札される金貨もあるほどです。
金貨収集家たちが特に重視しているのは、金貨の持つ歴史的背景や限定された発行数といった部分。
つまり、単に金そのものの価値だけではなく、過去の文化や歴史を今に伝えるアイテムとして魅力的な金貨だと需要が高くなり、取引価格もグンとアップします。
金貨とアンティークコインに違いはある?
金貨は金を材料とした貨幣を指す一方で、アンティークコインはおおよそ100年以上前に製造されたコインの総称です。
そのため、歴史のある金貨は別名としてアンティークコインと言えます。
また、アンティークコインには銀貨や銅貨も含まれており、なかには銀貨や銅貨の方が価値が高い場合もあります。
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【2024】金貨の人気ランキング
ここでは金貨の人気ランキングを1位から10位まで紹介します。
金貨を語るのに欠かせない10枚をピックアップしたので、ぜひご覧ください。
- 1位:ウナとライオン5ポンド金貨
- 2位:モハール金貨
- 3位:ジョージ4世5ポンド金貨
- 4位:ジョージ6世5ポンド金貨
- 5位:ナポレオン1世20フラン金貨
- 6位:ソブリン金貨
- 7位:ウィーン金貨
- 8位:メイプルリーフ金貨
- 9位:カンガルー金貨
- 10位:クルーガーランド金貨
1位:ウナとライオン5ポンド金貨
1839年にビクトリア女王の即位を記念して、400枚のみ発行されたのが「ウナとライオン」です。
数ある金貨のなかで最も有名で、2022年に開催されたヘリテージオークションでは「約1億5,840万円」という額で落札されたこともあります。
2位:モハール金貨
19世紀に英領インドで発行されたモハール金貨は、ウナとライオンを手掛けた「ウィリアム・ワイオン」によってデザインされました。
同じモハール金貨でもデザインが異なるものが多く発見されており、収集家から特に人気のある金貨です。
3位:ジョージ4世5ポンド金貨
「ジョージ4世5ポンド金貨」は1826年にたった150枚のみ発行されました。
現在まで残存しているものは少なく、状態の良いものは2,000万円以上で落札されるほどの価値を持っています。
裏側に彫刻された「クラウンシールド・マント」のデザインは、さまざまな金貨のなかでもトップクラスの技術が用いられていると言えるでしょう。
4位:ジョージ6世5ポンド金貨
この金貨に描かれているジョージ6世は、2022年9月に崩御したエリザベス2世の父親にあたります。
イギリス国王即位を記念して、1937年の1年間で約5,000枚が発行されました。
映画「英国王のスピーチ」をきっかけに現代でも名の知れた存在となり、金貨としても人気が上昇しています。
5位:ナポレオン1世20フラン金貨
かのナポレオン1世が彫刻された金貨です。
1803年から1815年までの12年間で500万枚以上が発行されており、他のコインと比べると希少性自体は高くありません。
しかし、フランスのカリスマ皇帝が描かれていることもあって、常に高い人気をキープしています。
安価で取引されているものの、人気が相まってなかなか手に入らない1枚となっています。
6位:ソブリン金貨
ソブリン金貨はイギリスの法定通貨です。
1817年から現在まで絶えず発行され続けています。
アンティークコインとしては集めやすい部類ですが、発行年によっては希少性が高くなり、高価で取引されるものもあります。
7位:ウィーン金貨
オーストラリア造幣局によって1989年から毎年発行されている地金金貨です。
金の純度は「99.99%」なので、金の市場価格によっても価値が高まります。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を連想させるさまざまな楽器が彫刻されています。
8位:メイプルリーフ金貨
1979年以降、カナダ王室造幣局によって毎年発行されています。
こちらも地金金貨の一つで、金の純度は「99.99%以上」です。
カナダの法定通貨として利用でき、金貨の裏にはカナダのモチーフでもある「カエデの葉」が描かれています。
9位:カンガルー金貨
西オーストラリア州のパース造幣局によって発行されている金貨です。
1986年から発行が続く地金型金貨で、デザインが毎年変わるという特徴があります。
それにより古いものほど収集家に好まれ、価値も高くなるため収集型金貨としての側面も持っているのです。
10位:クルーガーランド金貨
クルーガーランド金貨は、南アフリカ共和国造幣局が発行している地金金貨です。
1967年から発行は続いているものの、人種差別問題により国内にはほとんど入ってこなくなった金貨です。
発行当初は地金金貨のトップを走る存在で、現在地金金貨を代表する「ウィーン金貨」や「カンガルー金貨」もクルーガーランド金貨の後に発行されました。
金貨投資のメリット3選
ここでは、金貨投資がなぜ魅力的なのか、そのメリットを3つご紹介します。
価値の安定性、少額からの投資可能性、そして保管しやすさなど、金貨投資をする利点は多岐にわたります。
投資先に金貨を加えると投資や資産防衛の幅を広げられ、より安全かつ効果的にお金を守れるようになるでしょう。
- 価値がなかなか下がらない
- 少額投資ができる
- 保管しやすい
価値がなかなか下がらない
金貨の魅力の一つは、その価値が安定している点にあります。
特にアンティークコインに分類される金貨の背景には、各国の歴史や文化的な意味も含まれています。
一つの時代を彩ってきた各金貨は歴史を証明するピースとして重要な存在なので、著しい劣化がない限り価値が大きく下がる可能性は少ないでしょう。
また、金の市場価格が緩やかながら上昇し続けているのも価値が維持されやすい要因の一つです。
これらの理由から、金貨は他の投資対象と比べて価値を保ちやすい資産と言えます。
少額投資ができる
金貨に対して、高価な投資資産というイメージを持っている方は多いかもしれません。
しかし、実際は投資初心者やまだ金貨投資の経験がない方でも手軽に始めることもできるのです。
金貨は同じ種類でも1/10オンスから1オンスといったように、さまざまなサイズで発行されている場合があります。
特に1/10オンスのような小さなサイズの金貨は比較的手頃な価格で市場に出回っているため、大きな金額を投じることなく投資することも可能です。
保管しやすい
他の現物資産と比べて、金貨は保管しやすいと言えるでしょう。
通常の金貨はそれほど大きな保管スペースを必要としません。
金庫や専用ケースを利用すれば、自宅でも安全に保管することが可能です。
ただし、価値が高い金貨であればあるほど、自宅で保管する人は少なくなります。
数百万円から数千万円といった価値がある金貨を所有する場合、購入先に保管を依頼したり、銀行の貸金庫を利用したりするケースが多いです。
金貨の保管方法は、その価値の高さによって適切な方法を選ぶのが良いでしょう。
金貨投資のデメリット3選
金貨投資には多くの魅力がありますが、その一方で注意すべきデメリットも存在します。
これから金貨への投資を考えている方はしっかりリスクを理解し、適切な投資方法を考えていくことが重要です。
ここでは金貨投資の3つの主要なデメリットについて詳しく解説します。
一つずつ見ていきましょう。
- 流動性が低い
- 偽物が存在する
- キャピタルゲインしか得られない
流動性が低い
金貨の大きなデメリットの一つは、流動性の低さです。
金貨は株式や債券のように頻繁に取引されるわけではなく、購入した金貨を売却したい時に、すぐに買い手を見つけることが難しい場合があります。
金貨を現金化する際に時間を要することも多いので、できるだけ余裕資金で投資するのが重要です。
偽物が存在する
金貨はサイズの小さな現物資産なので、他の資産と比べて偽物が作られるケースが少なくありません。
高度な技術で製造された偽物が市場に流通していることもあり、これらを見分けるのは専門的な知識が必要になります。
信頼できない業者や流通経路がわかりにくいオンラインサイトを購入先として選ぶと、偽物を手にするリスクも高まります。
「いざ手放そうと思ったら実は偽物で売却できなかった」という事態を防ぐためにも、金貨投資の際は購入先の吟味から慎重に行うようにしましょう。
キャピタルゲインしか得られない
金貨投資では売却した時の「キャピタルゲイン」でしか利益を得られません。
株式投資や債券投資のように配当や利息で定期的にお金を得るチャンスがないので、金貨に投資をしても価格が上がらなかったら結局損をする可能性もあります。
金貨投資で利益を得るには「価格上昇をじっくり待つ」ことが欠かせません。
金貨を選ぶ時の2つの注意点
金貨投資を始める方に向けて、金貨を選ぶ時の2つの注意点を紹介します。
株式や債券で慎重に銘柄を選択するように、金貨投資でも投資先を吟味しないと利益を生む可能性は大幅に下がります。
以下の2点に留意し、効果的に資産を守れる金貨を入手できるようにしましょう。
- 常に需要がある金貨を選ぶ
- 状態が良いものを選ぶ
常に需要がある金貨を選ぶ
金貨は、株や債券のように頻繁に取引されるわけではありません。
いわゆる「流動性」があまり高くない資産なので、将来的に売却することを考えている方は、需要があって現金化しやすい金貨を選ぶと良いでしょう。
需要がある金貨は比較的市場での売買が活発なので、急にお金が必要になった時でもある程度容易に現金化できます。
しかし、歴史的背景が価値に直結しやすい収集型金貨の場合、他の投資家から不人気な金貨はなかなか買い手が現れない可能性があります。
地金金貨は金の純度が高い傾向にあり、「金」としての価値が認められやすいですが、収集型金貨は発行から時間が経過しないと価値が高くなりにくいのです。
投資用の金貨を買うなら、その金貨の認知度や歴史的価値などを把握し、一定の需要が見込めるものに絞った方が安全な投資に繋がりますよ。
状態が良いものを選ぶ
金貨を選ぶ際、もう一つ重要な点は金貨の状態です。
金貨の価値は、その歴史的背景や希少性だけでなく、状態によっても大きく変わります。
金貨特有の美しさや細部に施された彫刻が保たれているくらい状態が良いものは、投資家だけじゃなくオークションに参加する収集家などからも高い評価を受けられます。
特に投資資産としての価値を考慮する場合、保存状態は価格に直接影響する重要な要素です。
綺麗に扱われてきた金貨の方が将来的に価値が上昇する可能性も高まるため、投資目的で金貨を選ぶ際は、その状態にも細心の注意を払い、長期的な価値を見極めるようにしましょう。
「NGC」や「PCGS」といったアメリカの鑑定機関から高い評価を得た金貨は価値が上がりやすい傾向にあります。
まとめ|金貨は投資とコレクションの両面で楽しめる資産
金貨は、その小さなサイズからは想像もつかないほど、大きな魅力と価値を秘めています。
それぞれの金貨が持つ独特のデザインや、その背後にある発行国の歴史、そしてかつてこの金貨を手にしてきた人々の物語が、それぞれの金貨に含まれているのです。
また、金貨収集はただの趣味やコレクションだけではなく、資産防衛を行うための投資先としても非常に魅力的です。
長い時間を経て高まった価値はなかなか下がりにくいため、安全な投資を実現するのにも役立ちます。
マネートレンドNaviでも金貨に関する情報を定期的に発信しているので、金貨投資に興味のある方はぜひチェックしてみてください。
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