不労所得は税金の支払いが必要？確定申告が必要なケースを解説

生活を安定させるのに効果的な「不労所得」。

働かずに収入を得られるため、本業と並行して稼ぎを増やしたり、スローライフの実現に役立てたりと、誰もが一度は憧れるのではないでしょうか。

そんな魅力的な不労所得ですが、一定額以上稼ぎが発生した場合は会社給与などと同様に税金が発生するため、サラリーマンの方でも年末に確定申告をしなければなりません。

不労所得にかかる税金とその計算方法、理解しにくい確定申告の基本的な知識について解説していきます。

既に不労所得を得ている方はもちろん、今後不労所得を稼ぎたいと考えている方もぜひご覧ください。

不労所得ってどんな稼ぎ方なの？

働かずに得られるお金の形を「不労所得」と呼びます。

一般的なのは株式投資の配当金や不動産投資の家賃収入などですが、昨今はブログや動画サイトの広告収入なども不労所得の一つとして数えられるようになりました。

実際に身体を動かさなくともお金が発生するため、本業に集中しつつ別の収入源も確保したい方にとっては非常に魅力的な稼ぎ方と言えるでしょう。

不労所得を発生させるまでの勉強、仕組み作りやその維持を行うことは決して簡単ではありませんが、成功すれば生活の安定や将来の資産作りに絶大な効果を発揮します。

価値が暴落しにくい現物資産への投資で資産防衛しつつ、自動的にお金を増やすための取り組みができれば、お金の不安を抑えることによる心の安定も手に入るでしょう。

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不労所得と副業収入の違いは？

不労所得と副業収入は同じカテゴリの言葉に聞こえますが、実際は違う特性を持っています。

不労所得はお金が発生するまでの仕組み作りが必要ではありますが、基本的に労力は要さずに発生する収入の形です。

それに対し副業収入は、個人のスキルや本業以外の時間を使って行った仕事に対する報酬を指します。

不動産や株式、記事や動画など、一度作った物が継続的に生み出してくれるお金が不労所得で、副業収入はあくまでも自身が働き続けることで得られるお金です。

どちらもお金に関する不安を軽減するのに効果的ですが、より効率的かつ健康的に稼ぎたい場合は不労所得のほうが有利と言えるでしょう。

ちなみに、働き方だけではなく所得の区分も変わる可能性があり、それに伴って税率や控除も変動する可能性があるので確定申告の際には注意が必要です。

不労所得を得た場合は確定申告で納税を行う

不労所得を一定額以上得た場合は、課税所得額に対して「所得税」と「住民税」の二つが発生します。

住民税は基本的に自治体から税額が通知されますが、所得税は自身で計算して納税額を算出しなければなりません。

確定申告は、支払う税額を税務署に報告する手続きとして必要になります。

会社収入のように源泉徴収や年末調整を通して会社などが納税を代替わりしてくれないので、不労所得を得た場合は忘れずに納税しましょう。

所得税は累進課税制度によって税額が大きく変動する

所得税には、所得金額によって税率も高くなる「累進課税制度」が採用されています。

税率は5％から45％の間で変動し、所得金額が少なければ低い税率が適用され、反対に所得金額が多ければ高い税率が適用されます。

以下が累進課税制度の所得金額と、その税率をまとめた表です。

課税される所得金額	税率	控除額
1,000円から1,949,000円まで	5%	0円
1,950,000円から3,299,000円まで	10%	97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで	20%	427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで	23%	636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで	33%	1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで	40%	2,796,000円
40,000,000円以上	45%	4,796,000円

なお、所得金額は基本的に以下の式で求めることができます。

【所得金額=収入金額-必要経費】

よく混同して考えられる収入と所得ですが、収入はあくまでも事業などで得たすべてのお金を指し、所得は収入から必要経費を引いた金額を指します。

さらに、所得から各種控除を差し引いた額は「課税所得」と呼ばれ、この課税所得を元に税率が変わり、最終的に納める所得税が決定されます。

年間の不労所得が20万円を超えたら確定申告が必要

本業がサラリーマンの場合、会社から支払われる給与所得および退職所得以外の所得合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。

給与所得と退職所得に発生する税金は会社が代わりに納めてくれますが、それ以外で得た所得分の税金は当たり前ですが支払ってもらえません。

そのため、不労所得分の確定申告は自身で期限内に行わないと、無申告加算税や延滞税が課され、本来よりも多い金額を納税する事態となります。

1月1日から12月31日の間に得た所得分の税金は、翌年2月16日から3月16日の間に確定申告のうえ納めることが所得税法で決まっています。

会社勤めだと納税の意識も薄くなりがちなので、不労所得を得ている、もしくは今後得たい方は必ず税金に関する知識を身に着け、未納によるペナルティを受けないようにしましょう。

年間20万円以下の所得でも確定申告を行うほうが良い理由

所得税が発生しない範囲で不労所得を得ている場合でも、確定申告を行ったほうが良いケースがあります。

それが医療費控除や住宅ローン控除といった「所得控除」を受ける場合です。

医療費控除とは、年間で支払った医療費が一定額を超えた際、確定申告を行うことで既に納めた所得税の一部が還付される制度のことです。

1年間で10万円以上、もしくは総所得額が200万円未満の方はその5％に値する医療費を支払った場合、確定申告をすれば医療費控除によって課税所得額が減り、納税額も軽減されます。

住宅ローン控除でも同じように、住宅ローンを活用して新たに家を建てたり、増改築などをした際、年末時点の住宅ローン残額0.7%が所得税や住民税から控除されます。

入居時点から最大13年間受けられる魅力的な控除ですが、適用を希望する場合は原則入居年の確定申告が必要です。

仮に手続きを忘れても5年以内に申告すれば還付を受けられますが、年々存在を忘れていく可能性を考えると早めに実施するほうが良いでしょう。

基本的に自身で確定申告をしないと受けられない控除なので、少しでも効果的に節税したい方は確定申告の時期が来る前から準備しておくとスムーズに手続きできますよ。

確定申告が不要でも住民税申告は必要

不労所得が20万円以下に抑えられており、確定申告が不要だとしても住民税の支払いは必要です。

所得税と違って、住民税は都道府県ごとに定められた形で申告しなければなりません。

「所得割」の場合は基本的に所得の10％、「均等割」の場合は自治体が決めた額がその年の負担額です。

累進課税のように所得に応じて税率が上がることはないため、所得税ほど大きな負担とはならないでしょう。

前年に所得がなくても申告が必要なので、滞納による延滞税を取られないためにも早めの申告がおすすめです。

不労所得を得るメリット

不労所得が生活にもたらすメリットは様々。

事業や投資が軌道に乗れば、以下のような大きな見返りを得ることもできます。

収入源増加によって生活の安定を図れる

不労所得を得る仕組み作りができれば、本業以外の収入が増えることで生活の安定度もグッと高くなります。

大きな労力を要さずに毎月の収入を得られるため、家計の圧迫を解消し、ローンの支払いなども楽にしてくれる効果に期待できるでしょう。

長期的に必要な子どもの教育費や、急に必要になるかもしれない多額の医療費への不安なども解消し、金銭的な安心感を感じながら生活ができます。

自由に使える時間が増える

不労所得が生活をカバーしてくれれば、夜遅くまでの残業がある仕事やフルタイムのパートを選ぶ必要がなくなります。

自身や家族に充てられる時間が増加することで生活の質が高まり、好きなことや、やりたかったことに集中できる環境作りも可能となります。

また、新たに手にした時間を不労所得をさらに増やすために活用すれば、さらに収入が増えて資産も雪だるま式に増やせるようになるかもしれません。

会社勤めによるリスクを軽減できる

会社勤めをしていれば、基本的には安定した収入源を確保できます。

しかし、どんな会社でもリストラや給与カットの可能性は十分考えられるため、会社収入に依存しすぎると突発的に経済的安定を失う可能性もあります。

こういった事態を回避するには、不労所得なども含めた複数の収入源同士がそれぞれの弱みをカバーできる仕組み作りを行うことが効果的です。

一つの収入源に依存するリスクを不労所得によって下げられるという話で、決して会社勤めが悪いというわけではありません。

不労所得を得る際の注意点

生活の安定感を高め、金銭的な自由が手に入る不労所得ですが、稼ぐための土台を作るのは決して簡単ではありません。

不労所得を稼ぐなかで、損失を生んでしまう可能性は十分存在するため、事前に注意点も把握しておくことが大切です。

投資したお金を失う可能性がある

不労所得を得る方法として特にメジャーなのが、株式投資や不動産投資です。

株式や不動産を買うには相応の資産が必要ですが、これらを手に入れたからといって必ず利益が出る訳ではありません。

日々情報収集を行いつつ適切に運用しないと損失が発生し、最悪の場合は多額の借金を背負ったり、物件を手放す事態に陥ることも考えられます。

不労所得を発生させる仕組み作りに時間と労力を要する

投資した資金を増やすには膨大な努力も必要で、不労所得といえど実際は学習と準備に膨大な時間を要します。

特に最初のうちは不労所得に関する勉強と仕事・学業を並行する生活に対し、大きなストレスを感じるかもしれません。

不労所得を得るための生活を送るにあたり、特に最初のうちは強い負担を感じやすく、心身共に疲弊する日々を過ごすことになるでしょう。

生活に多くのメリットを及ぼす収入源を手に入れたい場合は、時に努力するための覚悟も必要です。

不労所得の種類と所得額計算・それぞれにかかる税金を解説

代表的な不労所得の形とその所得額を計算する方法、それぞれにかかる税金について解説します。

所得の種類は10種類ありますが、今回は不労所得にあたるものに限定して紹介します。

不動産所得

不動産所得とは、賃貸物件などを貸し出すことで得られる家賃収入などを指します。

また、土地をコインパーキングや駐車場にして貸し出すことで得られる賃料も不動産所得の一つです。

利用者に継続して入居してもらうための管理は必須ですが、一定の手数料を支払えば管理会社に委託できるため、本業とも並行しやすくなっています。

また、他の不労所得と比較すると経費が多く、節税も行いやすいのが特徴です。

【不動産所得の主な経費】

【不動産所得の計算式】

不動産所得=不動産投資などの収入-各種経費

配当所得

株式投資や投資信託による配当金収入を配当所得と呼びます。

上場株式によって得た配当所得は「申告分離課税」となっており、証券会社によって20.315%の税金が源泉徴収されます（所得税15％,復興特別所得税0.315%,住民税5%）。

事前に税金が天引きされるので、原則確定申告しなくても良いのが嬉しいポイントです。

証券口座を解説する場合は「特定口座」を選択すると、確定申告の手間を省くことが可能となっています。

【配当所得の計算式】

配当所得=株式投資などによる収入-各種経費

利子所得

主に預貯金や公社債の収益分配金のことを、利子所得と呼びます。

なお、利子を受け取るのに経費として認められる出費は存在しないので、収入がすべて所得となります。

【利子所得の計算式】

利子所得=収益分配金などによる収入

広告収入は事業所得か雑所得に区分される

新たな不労所得の形として人気を集めている広告収入。

ブログや動画に広告を貼り付けることで得られる収入で、別名「アフィリエイト」とも呼びますが、これらは事業所得か雑所得のどちらかに区分されます。

開業届を提出し、広告収入で生計を立てる本業としてなら「事業所得」、本業の傍らでお小遣い稼ぎで行う場合は「雑所得」として区分されるケースが多いです。

【事業所得の計算式】

事業所得=各事業による収入-各種経費

【雑所得の計算式】

雑所得=収入-各種経費

不労所得の確定申告を行う一連の流れを解説

不労所得の確定申告を行うための一連の流れを解説します。

青色申告と白色申告のどちらで確定申告するか決める

確定申告は「青色申告」と「白色申告」のどちらかを選んで行います。

「青色申告」とは複式簿記での記帳が必要な申告方法で、資産や負債など、資本に影響を与えるすべての取引を明確に記載する必要があります。

複雑な作業が必要になる分、控除額は最大65万円と非常に節税効果の高い申告方法です。

「不動産所得」と「事業所得」、「山林所得」のどれかを得ている方が選べる申告方法なので、将来的にこれらの所得を得る可能性がある場合は準備を進めておくと良いでしょう。

一方、白色申告は簡易的な単式簿記で記帳を行います。

シンプルで手続きが行いやすい分、控除額はすべての納税者に適用される38万円の基礎控除のみです。

節税効果は薄いですが、会計に関して知識がなくてもスムーズに申告することができます。

現在得ている所得の種類や自身の知識など、様々な要素からどちらを選ぶか決定しましょう。

4つの方法から確定申告書を作成する

確定申告書は主に4つの方法で作ることができます。

1つずつ解説します。

• 国税庁Webサイト「確定申告書等作成コーナー」で作成

必要事項をサイト内ツールに入力して確定申告書を作成できます。

画面案内に沿って入力するだけなので初めてでも不安がありません。

国税庁が運営する「e-Tax」ならスマホでも利用可能です。

• 確定申告ソフトなどで作成

計算やフォームへの記入を自動化し、エラーチェックによってミスを最大限減らせるのが嬉しい点です。

• 税務署にて手書き作成

税務署で確定申告書を貰うことも可能です。

ツールやソフトでの作成より手間はかかりますが、税務署で相談しながら作成を進められるため、確定申告についてしっかり学べる機会になります。

• 税理士などに代行してもらう

時間を節約しつつ、正確に手続きを行うなら税理士への依頼が効果的です。

会計のプロに依頼すれば節税に関する相談などもでき、今後の事業展開に有利な知識を身につけられます。

実は様々な方法で作成できる確定申告。

自身のスケジュールなどを考慮して、ベストな選択を行いましょう。

確定申告に必要な書類を用意する

希望する控除や確定申告の方法が決まったら、必要な書類の準備を始めましょう。

申告方法や控除額によって準備する物が変わるので注意してください。

今回は主に必要になる書類をピックアップして紹介します。

他にも、医療費控除を受ける場合は医療費通知書、住宅ローン控除の場合は登記事項証明書や売買契約書が必要になります。

不労所得の税金対策としておすすめの方法は？

大変な苦労をして得た不労所得。

できれば税金を抑え、手元に残せるお金を増やしたいですよね。

節税の方法として効果的かつメジャーな方法を解説するので、ぜひご覧ください。

適切な経費計上

不労所得の税金対策として、適切な経費計上の仕方を覚えておくことは重要です。

経費計上とは、収入を得るために必要だった経費を収入から差し引くことを意味します。

たとえば、不動産投資では修繕費や管理費が経費になるため、家賃として得た収入から経費分を引くことで、課税所得を減少させることができます。

課税所得が減れば累進課税による税率も下がり、結果的に税金による負担を抑えることが可能です。

不労所得を得る際は、何を経費として計上できるか、また確定申告するにあたってどのように経費計上するかしっかり理解しておきましょう。

法人化の検討

法人化すると、個人で事業を行う時と比べて経費として考えられるお金が増えるため、節税効果に期待できるようになります。

たとえば、法人化して会社の社長になると、収入が会社からの給料（役員報酬）に変わります。

自身も含め、社員に対する給料はすべて経費として計上できるため、給料で課税所得を減らすことができるのです。

他にも家族への給料も経費にできたり、赤字分を10年間まで繰越控除できるなど、会社ならではの税金対策が豊富に存在します。

収入が一定額を超えたら法人化を検討し、より効果的な税金対策が行えると手元に多くのお金を残せるようになりますよ。

青色申告の活用

記帳が複雑な青色申告なら、最大65万円分の控除を受けることができます。

単式簿記の記帳で済む白色申告と比べて大きな手間はかかりますが、控除額が増やせることで結果的に手取りも増やすことが可能です。

また、3年間は赤字分を繰越控除できるため、事業などが軌道に乗った後も一定の節税効果に期待できます。

「事業」「不動産」「山林」、これらの所得を得ている方は、難しくても青色申告を活用したほうが断然お得です。

税金のプロへの相談

働き方やお金の稼ぎ方によっては毎年必要になる確定申告。

自分で申告方法を完全に覚えたいと思いつつ、たくさんの専門用語を前にすると勉強が億劫になってしまう方は多いでしょう。

勉強時間を捻出できない時や、自分一人では理解しきれない時は税理士や国税庁といった税金のプロに相談することをおすすめします。

国税庁なら確定申告の書き方を、税理士ならより効果的な節税方法を提案してくれるでしょう。

一人で悩みながら学習するより、プロに相談したほうがスピーディーかつ深い理解が可能なので、悩みがある場合はぜひ足を運んでみてください。

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まとめ｜不労所得にも税金は発生する！忘れずに確定申告しよう

豊かな生活の実現に役立つ不労所得ですが、一定額以上の稼ぎが発生した場合は納税の義務が発生します。

会社勤めの場合は20万円以上の不労所得が発生すると税金を支払う必要があるので、どれだけ忙しくても確定申告をして期間内に納められるようにしましょう。

確定申告は複雑な内容で構成されており、いきなり知識を身につけられるものではありません。

確定申告の申請期間である毎年2月16日から3月16日の間は、確定申告を後回しにしていた人々が焦りながら税務署に駆け込む時期です。

余裕を持って税金を納め、ペナルティを受けないためにも、既に不労所得を得ている、もしくは今後得る予定がある方は、事前に税金に関する勉強を進めておきましょう。

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