会社の倒産や転職先がなかなか決まらない時にお世話になるかもしれない失業手当。
しかし条件はかなり厳しく、正確な知識がないと一切受け取れないという人も珍しくありません。
今回の記事では失業手当を受け取る条件について、対象者や手続き方法、給付金額などの情報を詳しくお伝えいたします。
失業手当の受給条件:まずは失業と認められることが重要
失業手当は、労働者が万が一職を失った際に生活が不安定にならないよう安心して再就職ができるような仕組みです。
何らかの都合で会社を辞めざるを得なくなり、就職先がなかなか決まらない時によく利用する仕組みではありますが、受け取りには細かい条件が課されています。
特に重要なのが、実際に手当を申請する本人が「失業」と認められるかどうかという点です。
まずはその点について、簡単に説明します。
求職の申し込みをハローワークで行う
失業手当を受け取る最低条件としては、ハローワークにて求職を行うことが挙げられます。
ハローワークというと、リストラされたサラリーマンや就活で行き遅れた学生を始めとしたいかにも仕事がなく生活が苦しい人が集まっているイメージが強く、行くだけで家族や自由人に合わせる顔が無い、恥を感じると考える方もいらっしゃるかもしれません。
また紹介される仕事に対してブラック企業が多くあてにならない、という印象を持つ方もいるかと思います。
しかし失業手当を受ける条件としてハローワークで紹介される企業に就職する、という条件はありません。
ためらわずに訪問するようにしましょう。
積極的に転職活動を行っている人:病気や怪我の治療は認められない
失業という状態は、厚生労働省によって以下のように定義されています。
- 仕事がなく、労働力調査の期間中なにもしなかった
- 就業する場があればすぐに開始することができる
- 調査期間中に、求職活動や起業準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)
そのため、結婚や出産などでしばらくは労働しないことが確定している人は、定義に当てはまらず失業手当の対象とはなりません。
また前職を退職後、すでに転職先で仕事を開始している人や起業した人は働いていない期間そのものが存在しないため、当然保険は適用されないです。
特に「仕事があればすぐに就くことができる」という条件もあるため、病気や怪我で仕事を辞めざるを得なかった場合もあてはまらない点には注意が必要です。
その場合は仕事ができる状態に復帰するよう、治療やリハビリを頑張るようにしましょう。
雇用保険の被保険者期間が過去2年間で通算12ヶ月以上ある
通常失業手当は雇用保険料から捻出されます。
そのため、以前の勤務先が雇用保険に加入していて、かつ離職する以前2年間に被保険者期間が12ヶ月通算で続いていることが条件となります。
一般的な転職や懲戒解雇など、多くの状況でこの条件に当てはまります。
短期間で職場を離れた人や以前にも無職の期間があった人は注意しましょう。
会社都合での解雇や親族の介護などの場合は条件は緩和される
雇用保険の被保険者期間の条件はほとんどは上述通りとなりますが、一部例外があります。
まず、倒産や突然の解雇など会社都合で就業先を失ったした場合は、「特定受給離職者」と見なされ、「離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上」と条件が半減します。
また退職した理由が自己都合であっても、以下のように自分の意思に反する正当な理由がある場合は「特定理由離職者」という定義にあてはまり、通常より50%短い被保険者期間で手当対象となることがあります。
- 実家の両親の扶養や介護など、家庭事情の急変により離職した人
- 企業の人員整理により、希望退職者の募集に応じて退職した人
- 契約期間更新を希望したものの、認められなかった契約社員の人
自分に落ち度がなく職場を去らざるを得ない状況に陥ったら、ご自身が条件にあてはまるのか、ハローワークのページなどで調べてみましょう。
失業保険を受け取れる金額について
失業保険(失業手当)を申請するという場合、実際どの程度受け取れるのか気になる方もいらっしゃるかもしれません。
以下に簡単な調べ方をお伝えします。
ただ、実際に正確な給付額を出そうとするとかなり複雑な計算が必要になるため、詳しく知りたい方は最寄りのハローワークにお尋ねください。
①賃金日額を計算する
まず求めるのは、離職者の賃金日額です。
賃金日額は、離職する直前の6ヶ月間に毎月支払われた金額を日割りにしたもので、以下の計算式で求められます。
賃金日額 = 退職前6ヶ月間の賃金合計 ÷ 180
②基本手当日額を計算する
賃金日額を計算し終えたら、続いて求めるのが基本手当日額です。
これは失業手当の1日あたりの支給額で、以下の計算式で求めます。
基本手当日額 = 賃金日額×給付率(50~80%)
なお、基本手当日額と賃金日額には上限値・下限値がそれぞれ設定されています。
変更されることもあるため、厚生労働省のページなどで最新情報をご確認ください。
③支給総額を計算する
基本手当日額が決まったら、実際に給付される日数を掛け合わせることで支給総額が決まります。
およそ給付率に該当する、5割から8割ほどの金額になることが多いです。
手当受給のスケジュール感:長いと3ヶ月以上かかることも
失業手当はハローワークに申請すればすぐに受け取れるというものではありません。
一般的にイメージしやすいのが前職から受け取る離職票の他にもさまざまなやりとりがあり、1日で完結するものにはなっていません。
また何日か待つものもあり、実際に受け取るまでには数ヶ月かかることもあります。
手当受給のフローについて、以下簡単にではありますがお伝えします。
必要な書類を準備する
失業保険(失業手当)の手続きにはいくつか必要な書類が存在します。
以下の書類を、事前に準備しておきましょう。
- 雇用保険被保険者離職票:前の職場から送付され、情報を記入してください
- マイナンバーカード
- 証明写真2枚:大きさは縦3cm、横2.4cm
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- (船員の場合は)船員保険失業保険証と船員手帳
マイナンバーカードがない場合は、以下の書類で代替可能です。
- 通知カードまたは個人番号の記載がある住民票
- 身分証明書:運転免許証、官公署が発行した身分証明書、写真付き資格証明書のうち1種類。もしそれらがない場合は公的保険の被保険証明と児童扶養手当書などのなかから2種類
また預金通帳については、雇用保険被保険者離職票に金融機関の確認証があれば不要となりますが、金融機関によっては受取口座の対象とならないことに注意してください。
ハローワークにて書類提出と手続きを行う
続いてハローワークに出向き、必要書類を提出します。
その後再就職の意思を示すため、求職申し込みを行って下さい。
その後、雇用保険受給説明会の日時について担当する職員と相談の上で決めてください。
手続きを円滑に進めるためにも、メモの用意を忘れないようにしましょう。
これらの手続きを行った日が失業手当の受給資格決定日となります。
以降7日間は待機期間となり、給付対象とはならない期間になるため、金銭管理には注意するようにしてください。
雇用保険受給説明会に出席し、求職活動を開始する
ハローワークの担当者と相談して決めた雇用保険受給説明会に出席してください。
この日に次のステップである失業認定日が決まります。
その日までには、月2回以上の求職活動が必要になります。
求人募集へのエントリーや面接日の決定などを積極的に行い、実績を作るようにしましょう。
失業認定日にハローワークに出向く
指定された失業認定日になったら、ハローワークに再び出向いてください。
その際にこの日までに求職活動の実績を失業認定申告書に記載し、提出します。
これにより失業手当が開始されるための書類手続きは完了します。
口座振込と仕事探しの継続
失業手当は失業認定日から5営業日後(給付制限がある場合は2~3ヶ月後)に、書類手続きの際に指定した口座に振り込まれます。
ここまで至るには申し込みから少なくとも数週間を要していることでしょう。
失業手当を受け取るまでには離職からかなり長期間を要するので、生活費も事前に考慮するようにお願いします。
また、これ以降給付金を定期的に受け取るには、4週間に1度は失業の認定をハローワークにて受ける必要があります。
ただでさえ収入が少なくなっている中で毎月通い続けるのは手間がかかるものであり、後述するように失業手当の期間も無限にあるわけではありません。
そのため失業手当はあくまでつなぎととらえ、求職活動に力を入れて一刻も早く失業状態を脱するようにしましょう。
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給付開始日の条件:会社を辞めた都合により条件が異なる
失業手当は手続き終了後すぐに受け取れる仕組みにはなっていません。
また失業した理由によっても受給開始される時期は異なり、長いと失業から3〜4ヶ月以上かかることもあります。
少々複雑な話になりますが、以下に説明いたします。
特定受給資格者や特定理由離職者の場合
失業した理由が倒産や解雇などの会社都合である「特定受給資格者」である場合や、自己都合ではあるものの家族の介護などやむをえない事情である「特定理由離職者」の場合は、失業保険受給の条件は他の労働者に比べ有利になっており、これは給付日数においても例外ではありません。
「特定受給資格者」や「特定理由離職者」の場合、ハローワークに離職票提出と求職の申込を行った日(受給資格決定日)から7日間の待機期間が経過し、前述した手続きを経て決定した失業認定日から5営業日経過した後に振り込まれます。
それ以降は4週間に1回の認定日に失業認定を受け、その後手当が振り込まれる形になります。
受給対象とならない7日間の待機期間はどんな理由であれ設けられていることには、注意してください。
自己都合でやめた場合や懲戒解雇の場合
上記の理由以外であっても、7日間の待機期間が設けられ、さらにその後に失業認定日が決まってから受給対象になるまでは同じです。
ただし一般的な自己都合退職の場合や懲戒解雇の場合は、実際に失業手当が振り込まれるまでに給付制限が設けられており、振込が始まるまで2〜3ヶ月ほど待つことになります。
その後4週間ごとに失業認定を受けてから入金されることになります。
待機期間などを考慮すると、失業してから手当を受け取るまでには4ヶ月近く待つこともあるという点には、気をつけるようにしましょう。
給付日数の条件:勤務期間と年齢に依存する
失業保険は収入の補填として助かるものではあるものの、あくまでも次の就業先までのつなぎとして使われるもので、一定の年齢になれば定期的に支給される年金のようなものではありません。
そのため、給付される日数には制限があり、雇用保険の被保険者であった期間や年齢、退職時によって変動があります。
一般的に3ヶ月〜9ヶ月ということが多いですが、場合によっては1年以上申し込める場合もあります。
以下ハローワークの情報をもとにお伝えいたします。
特定受給資格者や一部の特定理由離職者(契約終了)など
解雇などで止むを得ず失業となった「特定受給資格者」や、「特定理由離職者」のうち労働契約期間が終了して更新がないことによって失業となった人については、上図の給付日数となります。
就職困難者の場合
失業保険などの雇用保険においては、以下のような人々が「就職困難者」として指定されています。
- 「障害者の雇用の促進等に関する法律」の基づいて定義される身体障害者や知的障害者、精神障害者
- 刑法や更生保護法などに基づく保護観察中の者
- アイヌ地区住民
- 中高年齢失業者等求職手帳を所持する者
- 就職時に45歳以上の者
当てはまる場合は、上図の条件が失業保険の給付日数となります。
自己都合退職の場合
前項までに述べた2つの条件に当てはまらない場合(自己都合退職などの場合)は、上図の日数分だけ給付されます。
失業手当を受け取っている場合のアルバイトの3つの条件
前章までに説明したように、失業手当を受け取るには各手続きに何日もかかり、自己都合退職だと数ヶ月間要する可能性もあります。
その間に貯金の切り崩しだけでは難しいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、失業保険を申し込んでいる間条件は厳しくなるもののアルバイトは可能となります。
以下に受給の減額や先送りにならない、3つの条件をお伝えします。
待機期間7日間はできない
ハローワークにて求職申込を行った受給資格決定日から7日間の待機期間中は、原則的に手当の対象とはなりません。
この期間に働いてしまうと、失業保険の受給が遅れる可能性もあるため、アルバイトや副業はできないものであると考えるようにしましょう。
1週間の勤務時間は20時間未満、31日以上は見込まない
アルバイトであってもあまりに長時間働いていると、ハローワーク側から「就業している」と見なされ、失業手当の対象から外されてしまうことがあります。
一般的に「1週間の勤務時間が20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる」場合は正社員でなくとも雇用保険の対象となります。
そのため、この条件を満たさないようにアルバイトの計画をたてるようにしましょう
ハローワークには求職活動の状況と合わせて必ず状況を報告する
アルバイトの状況については求職活動同様、手当を受給するタイミングでハローワークに報告する必要があります。
報告を行わないと手当の不正受給となり、罰則が適用されかねません。
収入額にかかわらず、アルバイトの状況についても忘れずに申告するようにしましょう。
失業に備えた生活費確保:3~4ヶ月分の生活費を確保できる現金を維持する
お伝えしたように、失業手当の受給条件は厳しく、実際に申請してから受け取れるまでに4ヶ月近くかかることも珍しくありません。
またアルバイトも容易にできるものでないため、受け取ることができないまま貯金を切り崩すだけ、という事態になることも十分にあり得ます。
万が一の失業に備え、待機期間や給付制限を含め、口座の振り込みまでにかかる3〜4ヶ月程度の生活費が確保できる現金は常に維持できるようにしましょう。
またスキルアップに励むなど、失業しないように勤務先で成果を出していくことも重要です。
失業に備えて安定収入を確保できる投資手段2選
受給時期や幾度もあるハローワークへの申告、アルバイトの労働制限と非常に厳しい失業手当の条件。
このことを考えると、仕事を失った時に備えて失業保険以外にも安定した収入を確保したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
そこで当社では少々初期費用がかかるものであるものの、定期的な収入が見込める投資の手段を2つご紹介。
失業手当だけでない収入源の一つとして参考にしてみてください。
不動産投資
安定収入を見込める強力な手段となるのが不動産投資です。
特にアパート経営などでは月額で家賃収入が入ってくるため、立地条件のよい物件を手に入れれば失業手当とは関係なく、生活費としては十分すぎるほどの金額を得られるかもしれません。
また利率の高い海外不動産やREITを購入する場合でも、高い利回りの配当収入を得ることがでる可能性があり、うまくいけば一財産を築くことも可能です。
ただし不動産屋を始め、物件管理を行うサブリース会社など関係者は多く、トラブルも多い投資方法でもあります。
当社マネートレンドナビの不動産に関する記事一覧を始め、事前にメディアなどで十分な知識を得てから行うようにしましょう。
コインパーキング投資
続いてご紹介するのは、コインパーキング投資です。
空きを減らせば月額で収入が安定的に入るという意味では不動産投資と同じですが、コインパーキングの場合はマンションやアパート、オフィスビルなどには使用できない狭い土地でも使えることから初期費用が安くすみます。
そのため会社員の副業としても人気があり、不動産投資の入門編としても向く現物投資と言えるでしょう。
専門業者に管理を依頼する一括借上げ方式などを行えば、清掃や機器のメンテナンスなどの手間も省けるのも魅力です。
ただ税制負担が大きいなどのデメリットも阻むことには気をつけなければなりません。
コインパーキングの経営については、こちらの記事に簡単にまとめられているので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
まとめ:失業保険は受け取れる条件に気をつけて申請を!
失業保険は万が一仕事を失っても生活に必要な一定額を保証してくれるという点で魅力的な一方、手続きに要する日数や書類準備の手間は相当なものとなります。
アルバイトや副業にも条件があるため、スキル向上や労働感覚の維持という点でも厳しいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
スキルアップで転職を有利に進める、この記事の終盤で伝えた不動産投資やコインパーキング投資のような安定収入を望める投資を行うなど、万が一今の仕事を失っても金銭的に困らない状況を日頃から作るようにしましょう。
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