東南ヨーロッパの国・ブルガリアのアンティークコインは絵柄の豊富さや記念通貨の多さなどもありコレクション要素が多彩で投資価値増大の期待性も高まっています。
そんな同国のコインについて、おすすめのものを5つご紹介します。
ブルガリアの歴史と地理的特徴
ブルガリアはギリシャやトルコの北、ルーマニアの南、セルビアや北マケドニアの東に接するバルカン半島南部・東南ヨーロッパの国です。
日本人ならヨーグルトで名前を聞く方も多いでしょう。
実際ブルガリアは畜産業をはじめ、小麦やぶどう、香水の原料となるバラなど古くからさまざまな農産物の生産で知られています。
ブルガリアの住民はチュルク系とスラブ系民族の混血民族であるブルガリア人が大多数を占めていますが、ロマ人やトルコ人など複数の民族が住んでいる土地でもあります。
実際歴史を辿るとスラブ系のブルガリア帝国として成立していた時代もありましたが、スラブ系の東ローマ帝国、トルコ系のオスマン・トルコ帝国に支配されていた時代も数百年にわたって続いていました。
その後オスマン・トルコ帝国の衰退に伴い政治は混乱し、一時は事実上のロシアの影響下に置かれたものの、1909年にブルガリア王国として完全に独立します。
以後は王国の時代が第二次大戦まで続いたものの、1944年にソ連の侵攻を受け、王政は廃止。
ブルガリア人民共和国として東側陣営の一員となり、ソ連の衛生国家として共産党独裁の統治が続きます。
ただ共産党政権も東欧革命の影響を受けて、1989年に崩壊。
現在も続くブルガリア共和国が成立します。
ブルガリアはかつてはソ連を中心とする東側陣営であったものの、2004年にはNATO、2007年にはEUに加盟しており、現在は米国、西欧諸国を中心とする西側陣営に近い国になっています。
ブルガリアのアンティークコインの種類
東ローマ帝国やオスマン・トルコ帝国、ロシア帝国、ソビエト連邦など多くの大国の支配または影響を受けたブルガリアは国としての独立性を保った期間はそれほど多いとは言えません。
ただアンティークコインについては、農業国・ブルガリアの象徴とも言える小麦が描かれた国章や様々な出来事・国内の名所などが描かれた豊富なデザインなど極めて種類が豊富で、コレクションとしてのポテンシャルは高いと言えます。
特に1909年から1944年にかけてのブルガリア王国時代や共産主義政権時代は記念硬貨を含めてデザインが豊富で、市場にも様々なものが出回っているため、以下に詳しく解説します。
なお隣国のアンティークコインに関して、トルコについてはこちらの記事、ルーマニアのものはこちらの記事をそれぞれご参照ください。
ブルガリア王国時代
アンティークコインについて語る前に、20世紀前半に成立したブルガリア王国の歴史を振り返ります。
1887年にブルガリア公主に就任したフェルディナンド1世は、1908年にブルガリア王国を成立させ国王に就任。
野心家だったフェルディナンド1世は、1912年にはオスマン・トルコ帝国との間に仕掛けたバルカン戦争にわずか数週間で勝利を収めるなど、バルカン半島の覇権を握ろうと精力的に活動していました。
結果として第一次大戦で同盟国側として参戦し敗北を喫し、その野心は潰えてしまいます。
その後は息子のボリス3世、孫のシヌオン2世(後のブルガリア共和国首相であるシメオン・サクスコブルグゴツキ)が引き継ぎますが、第二次対戦中の1944年にはソ連に侵略され、その2年後の1946年、ブルガリア王国としての歴史に幕を下ろすことになります。
この時代に生まれたブルガリア王国のコインは表面に国王の肖像が描かれた金貨・銀貨・銅貨です。
3代目のシヌオン2世については幼いうちに退位したため、コインには初代のフェルディナンド1世と二代目のボリス3世が主に描かれています。
国としての歴史が浅いために肖像画になった人物は2人しかいないものの、コインごとに肖像の描き方が異なります。
また裏面は国章が中心ではあるものの小麦の有無など様々なパターンがあり、バラの花輪が描かれた銀貨があるなどデザインは多様です。
このブルガリア王国時代の通貨は発行部数も比較的多く、またデザインの多様性もあることから、近年オークションに出されることも多いアンティークコインになっています。
コイン愛国家からの人気も高く、特に初代のフェルディナント1世時代のものは復刻版が後に造幣局から発行されるほど。
今後の出品数はますます増えることが想定されるため注目のアンティークコインと言えます。
共産主義政権時代
1946年に成立したブルガリア人民共和国は、ソ連の影響を強く受けた共産主義国家でした。
ディミトロフ、チェルヴェンコフ、ジルコフの各書記長に率いられた同国は、東欧諸国の中でも特にソ連に近い考えを持っており、政治思想は硬直。
経済も当初は工業化が進み発展したものの、次第に停滞をみせ、通貨の流通は大幅に停滞してしまいます。
1989年の東欧革命に至るまで続いた長い停滞期にあたるブルガリア人民共和国ですが、共産革命の記念品など限定価値のあるコインは発行されています。
これらのコインは、アンティークコインとしては新しい時代にあたる冷戦期のものではありますが、ブルガリアのみならずソ連に翻弄された東側諸国の歴史を思いうかべられる歴史的な遺産の一つです。
同国の歴史に興味があるなら、是非とも入手しておきたい記念品です。
ブルガリアでおすすめのアンティークコイン
上記を踏まえた上で、ブルガリアの金貨や銀貨の中でも特徴的なデザインや記念品として知られているものを5つ以下にご紹介します。
近年ではオークションでも頻繁に登場するものもあるので、同国のアンティークコインに注目している方は是非ともチェックしてみてください。
ブルガリアのアンティークコイン|フェルディナンド1世 20レヴァ金貨 独立宣言記念
1908年に独立宣言を行ったブルガリア王国。
その4年後に記念となる金貨が発行されました。
表面には初代国王のフェルディナンド1世の肖像、裏面には王冠を配した配した紋章や額面が描かれています。
フェルディナンド1世が描かれた硬貨は初代国王らしく他にも多くの種類があり、肖像の向きが写真のように左向きのものもあれば、右向きのものもあるなどいくつかパターンが存在します。
また裏面も前述したように、国章の小麦が描かれているか否かなど複数のパターンがありデザインは多様です。
そんな王国時代初期のフェルディナンド1世が主に描かれたコインの中でも、この画像で紹介された独立記念のものは、1960年代に復刻されるなど高い人気を誇っています。
復刻版でも人気は高く、アンティークコイン専門店などでもしばしば取り扱われています。
ブルガリアの古いコインに興味のある方は是非とも各店舗での在庫をチェックしておきたい一品です。
ブルガリアのアンティークコイン|ボリス3世皇帝100レヴァ銀貨
表面に2代目国王・ボリス3世の左向きの肖像画、裏面に小麦とバラが描かれたコインです。
表面に描かれたボリス3世は、第一次大戦の敗戦を受けて退陣した初代フェルディナンド1世のあとを受けて1918年に即位し、混乱した政局を親政で乗り切り、第二次対戦中は王妃がイタリア系であったこともあり枢軸国側で参戦しました。
ただボリス3世は周辺地域に侵攻する一方で、ユダヤ人の強制収容所追放などには反発し、1943年にナチス・ドイツのヒトラー総統と会談した直後に急死しています。
このためドイツ側に暗殺されたという説もあります。
またボリス3世は私人としてはオリエント急行を半ば無理やり運転したこともあるほどの鉄道好きとして有名で、この方で紹介されることもしばしばある人物です。
ブルガリア王国時代のアンティークコインは、フェルディナンド1世以外の人物が描かれるケースは少ないため、貴重と言えます。
また裏面に書かれたバラは前述通り今日に至るまでのブルガリアの特産でもあり、同国ならではの絵柄と言えます。
ブルガリアの国土・歴史に関心のある方は、近年ではコイン専門店でも扱われているため、是非とも探して手にとってみてはいかがでしょうか。
ブルガリアのアンティークコイン|5レヴァ銀貨 社会主義革命30周年記念
1944年のソ連の侵攻を受け、1946年に設立したブルガリア人民共和国では共産党独裁のもとで工業化が進められる一方で、言論・表現の自由などが大幅に制限された抑圧的な政治が行われていました。
ただ発行されたコインの種類は豊富で、記念硬貨も多く作られています。
この通貨はソ連の侵攻から30年が経過した1974年「社会主義革命30年」の記念として20万枚発行された通貨です。
表面に描かれた2人の兵士と工場の絵、裏面に描かれた当時の国章からは、ファシズムからの解放や社会主義の実現といった同国の歴史に思いを馳せることができます。
共産主義革命や旧東側国家の歴史に興味のある方は、是非とも手にとってみたい一品です。
ブルガリアのアンティークコイン|5レヴァ銀貨 ラジオ電波鉄塔
表面に電波を放つ鉄塔が描かれているのが特徴の銀貨です。
1979年にブルガリアの通信制度が設立されて100周年となったことを記念して、15,000枚が発行された貴重なコインとなっています。
共産主義政権下のブルガリアのアンティークコインは、他にも国際児童年(1979年)やソビエト・ブルガリア宇宙飛行など記念に作られた硬貨が数多く存在するため、コレクション要素は豊富と言えます。
これらの記念通貨は共産主義政権から年月が経つにつれて貴重になると思われるため、興味のある方は在庫情報を集めてみると面白いと思います。
ブルガリアのアンティークコイン|国立銀行創立120周年記念 20,000レバ金貨
ブルガリア国立銀行は同国の中央銀行(日本でいうところの日本銀行)で、その設立120周年を記念して発行されたコインになります。
設立は1879年と世界の中央銀行の中でも最も古い銀行にあたります。
首都ソフィアにあるブルガリア国立銀行の本店と紋章が描かれたこのコインをとることで、王政・共産主義・共和制と推移したブルガリアの近代史に思いをふせられることでしょう。
3万枚限定で流通され、額面も20,000レバと通常の同国硬貨(2レバが最高額)より非常に高額なコインでもあります。
入手するための負担は大変ですが、新しい年代に発行されただけに状態の良いものもあり、かつ記念品のため今後価値が出てくる可能性も十分ありえます。
ブルガリアのコインコレクションや投資に興味のある方なら是非ともチェックしてみてはいかがでしょうか。
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ブルガリアのアンティークコイン売買方法
多くのアンティークコインの売買と同様、ブルガリアのコインも専門店、ECサイト、オークションといった販路が主体となります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、詳細を以下に説明します。
また前提として、国内だけでなく海外の販路も時には使うことがあるため、語学などもある程度身につけておいた方がいいと言えるでしょう。
なお、コインの購入方法についてはこちらの記事にも詳しいです。
時間に余裕のある方は見ておくことをおすすめします。
コイン専門店
アンティークコインは現在の貨幣にはないデザインや形状が特徴ですが、一方で古いものであるためにサビや汚れなどが気になる方もいることでしょう。
実際、見た目が汚れたものであると値段は大幅にさがってしまいます。
そのため実物をさわって確認したいという方も多いかと思います。
そんな方におすすめなのが街中にあるコイン専門店です。
専門店であれば実物をとってみることが可能な上、商品知識に詳しいスタッフのもとでおすすめの貨幣を探すことができます。
鑑定証明などがついている商品も多く、安心して購入できるのも大きなメリットと言えます。
ただしブルガリアのアンティークコインなど、あまりメジャーとは言えない国を扱っている専門店の数は多いとは言えません。
また手数料もオークションなどと比べると割高となります。
そのため、訪れる前に事前によく調べておくことを忘れないようにしましょう。
ECサイト
アンティークコインは楽天市場などのECサイト、メルカリなどのフリマアプリでも幅広く販売されています。
ブルガリアなどメジャーとは言えない国のコインであっても幅広く扱っており、サイト上にはコインが発行された国・地域の詳しい歴史などが記載されていることが多く、勉強しながら取引に向けた情報を集めることが可能です。
ただ実物をとれるわけではないため、状態の判断や鑑定の状況などについては写真などを細かく分析するしか方法はありません。
時には出品者に連絡を取るなど、慎重に情報を集めるようにしましょう。
特にフリマアプリなどでコインを売買する際には、素人同士での取引になることも多いため、プロの鑑定が行われているかも、取引成立に大きく関わります。
自分一人で独断することのないよう、情報収集・開示を慎重に行うようにしましょう。
オークション
オークションはコインの流通経路の中でも川上に近く、手数料収入が安く済むため、店舗やECサイト上の取引に比べて、有利な条件で売買しやすいというのが魅力です。
実際オークションで購入すると、専門店などを構えるコイン商よりも2〜3割ほど安いことが多く、中には半額で取引できたケースも。
売買コストをかけたくないなら間違いなく最適な方法と言えるでしょう。
ブルガリアのアンティークコインについては、近年デザインの豊富さもあってか人気を集めるようになっており、オークションでの出品も増えているため、チャンスは大きいです。
ただオークションは他の人との競合も激しく、中にはコレクション目的でかなり高い相場を設定してくる投資家も存在します。
入札の最高額を事前に決めておく、現物を見て相場を判断するなど慎重な投資戦略をつけたうえで臨むようにしましょう。
まとめ|多種多様なブルガリアのアンティークコインは投資対象としても期待大
東欧諸国のアンティークコインの中でも、ブルガリア発行のものは年代こそ新しいものが中心ですが、国章をはじめとするデザインの多様さや記念通貨の存在もあってか、コレクション要素が強いものになっています。
そのため好事家による需要の増大、今後の価格高騰が期待できるため、投資のポテンシャルも大きくなる可能性があると言えます。
発行部数もある程度あるため入手しやすいのも魅力と言えるでしょう。
以上のことからブルガリアのアンティークコインは東欧国家の歴史に思いを馳せつつ、投資で結果を出したいと思う方におすすめの通貨です。
今後共産圏の歴史が振り返られる際に記念通貨などは注目される可能性もあるために、是非ともニュースなどを追っておきましょう。
当社でもブルガリアをはじめ、今後期待ができるアンティークコインの種類について詳しい専門家を紹介することができます。
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