アメリカでは記録的な水準のインフレが続いています。また、円安も続いており、日本でのインフレの懸念が強まっています。
そんな中、ダイヤモンドの価格は今後どうなっていくのでしょうか。
そもそも近年のダイヤモンドの価格はどう推移してきたのかも含めて、気になるところですよね。
本記事では、ダイヤモンド価格の決まり方、過去のダイヤモンド価格の推移、新型コロナウィルスやロシアのウクライナ侵攻によるダイヤモンド価格への影響について解説します。
ダイヤモンドの価格推移の特徴
ダイヤモンド価格の今後を解説する前に、まずはそもそもダイヤモンド価格がどのように決まるかを説明します。
ダイヤモンドの品質評価基準「4C」
ダイヤモンドの価格は、世界的な鑑定機関であるGIAが考案した品質評価の国際基準である「4C」で決まります。
主に以下の指標から成ります。
- Carat(カラット)…重量
- Cut(カット)…輝き
- Color(カラー)…色
- Clarity(クラリティ)…透明度
カラットは、ダイヤモンドの重さを定義します。ダイヤモンドに限らず、宝石全般がこのカラットが単位となっています。
カットは、ダイヤモンドの形と、対称性・研磨の状態のことです。
カラーは、ダイヤモンドの色の指標で、無色であればあるほど、希少性が高く、価値も上昇します。
クラリティは、ダイヤモンドの透明度を示す指標です。その他の鉱物などの異物が入らず、純度が高いほど、透明度が高く、価値が上がります。
上記のそれぞれの指標で高い評価のものほど価値が高く、高値で取引されます。ダイヤモンド投資を検討している方は、最低限この4Cの指標を憶えておくとよいです。同指標は商品を比較するときにとても役立ちます。
需要と供給のバランス
4C以外にダイヤモンドの価格を決めるのは、そのときの需要と供給のバランスです。以下の表を御覧いただくとわかるように、ダイヤモンドの価格はゆるやかに右肩上がりです。
過去60年間の間、リーマンショックの時に少し下落があった程度で、基本的には順調に価格が上がり続けています。
なぜこのように安定した上昇を続けているのか。その理由はデビアス社の存在にあると言われています。
デビアス社が需給コントロール
デビアス社とは、1881年に南アフリカで設立され、現在はイギリスロンドンに本拠地を置く会社です。同社は、ダイヤモンドの原石市場を独占し、供給を調整する仕組みを作り上げました。ダイヤモンドの価値が下がらないように、生産・供給をコントロールしてきたのです。
デビアス社は、第二次世界大戦後、アメリカで反トラスト法違反容疑でたびたび起訴されています。独占禁止法に違反していると訴えられ、1975年には4万ドルの罰金も払いました。2000年には、公式にカルテル(独占目的で行われる協定)を終結すると宣言しています。
しかし、市場シェアが低くなっただけで、今も原石支配の仕組みは変わらないと言われています。デビアス社のダイヤモンド価格推移への影響力は依然として大きいのが実状です。
そのため、ダイヤモンドの需要と供給のバランスは、今後も比較的堅調に推移していくことが考えられます。
外国為替相場による影響
日本のマーケットにおけるダイヤモンド価格は、外国為替相場の影響も強く受けます。
日本人にとって、ダイヤモンドは輸入商品です。基準はUSドルであるため、円安になればダイヤモンドの価格は上がり、円高になれば価格は下がります。
今後、ダイヤモンドを購入する人は、為替の状況を考慮して、ダイヤモンドを購入したり売却したりする時期を判断するとよいでしょう。
流通経路による影響
ダイヤモンドの価格相場は、流通経路からも影響を受けます。
最初にダイヤモンド鉱山で発掘されると、カッティングセンターで加工がされ、その後ダイヤモンド取引所へ送られます。そこから、商社が輸出し、輸入を行います。その後は、メーカー、卸売業者、小売店へ経て、お客様の元に渡るのです。
その間の輸送コストやマージン、広告宣伝費、小売店維持費、人件費などがダイヤモンド価格に反映されます。
過去のダイヤモンド価格の状況
ここからは、過去にダイヤモンドの価格がどのように推移したかを解説します。
産出量減で供給が減っている
ダイヤモンドの価格は基本的には右肩上がりに推移しています。例外もあり、2001年にはデビアス社がカルテルの終結を宣言したため、少し影響が出て下落しました。
しかし、上記の期間を除くと、ダイヤモンド価格は堅調に伸び続けています。
理由の一つとして、ダイヤモンド鉱山の生産量が減少している点が考えられます。近年ダイヤモンド鉱山が相次いで閉山しており、ダイヤモンドの希少性が高くなっているのです。
たとえば、ロシアのミールヌイ鉱山が2004年に閉鎖、オーストラリアのアーガイル鉱山は2021年に閉鎖しました。カナダのダイアヴィック鉱山は2025年に生産を停止すると発表しています。
ちなみに、以下はコンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニーの2030年までのダイヤモンドの生産予測です。
左は楽観的な予測を示し、右は現在の基本データを元にした予測です。
今後、新しい鉱山が発見されない場合は、ダイヤモンドの産出量は徐々に減っていくことが考えられます。その結果、ダイヤモンドの希少性は今後さらに高まっていきます。
以上のことから、ダイヤモンドは今後も堅調に右肩上がりの価格推移を続ける可能性が高いでしょう。
リーマンショックではわずかな下落しかしなかった
ダイヤモンドの価格は、まったく株価などの市場の影響を受けないわけではありません。
リーマンショックが起きた2008 年9月から2009年10月までの間、ダイヤモンド価格の平均は約16.5%下落しました。
しかし、リーマンショックの後、すぐ金融緩和がなされたため、富裕層の資金がダイヤモンド市場へ流入しました。その結果、5カラットの大粒ダイヤの価格は2000年末比で2.5~3倍ほどに跳ね上がっています。
以上のことから、金融危機のタイミングで小さな影響は受けつつも、大きな下落にはならないことがわかります。
現在のダイヤモンド価格の状況
ここからは、近年のダイヤモンド価格の状況について解説します。
2020年はコロナの影響を受けて需要減
2020年は、3月より新型コロナウィルスが猛威を振るい、世界中の人の移動が制限されました。この混乱による影響はダイヤモンド産業にも波及し、各国の鉱山は操業を停止、取引や流通は滞り、オークションも中止となりました。
全体的な自粛ムードの影響で、需要が激減し、ダイヤモンドの価格は一時、下落します。
以下のチャートをみると、2020年は7月までダイヤモンド価格が下降しているのがわかります。
2021年はテレワークやワクチンの普及で消費が回復
2021年、ダイヤモンド価格はパンデミックの打撃から徐々に回復します。要因として、コロナによって浸透したテレワーク生活に人々が慣れ、落ち着きを取り戻したこと、また、依然として外出自粛の中、オンラインショッピングで消費が活発となったことが挙げられます。
また、コロナ渦で、アメリカを始め、日本でも金融緩和を行ったことも一因として考えられます。その他にも、ワクチン接種率が上がり、行動制限も緩和されたことで、少しずつ消費が増えたことも理由の一つになるでしょう。
富裕層がインフレへのリスクヘッジを検討し始めたのもこの時期です。金融緩和により市場にお金が多大に流れましたが、コロナウィルス流行に起因した人手不足もあり、供給が需要に追いつかない状況が起こり始めました。
結果として、物やサービスの値段が上昇、インフレと言える状況が始まったのです。
ロシアへの経済制裁の影響でダイヤモンド価格が高騰
2022年は、ロシアへの経済制裁の影響で、ダイヤモンド価格が高騰しています。理由は、世界のダイヤモンド原石の30%がロシア産である点にあります。
バイデン政権は、制裁のために、ロシアのダイヤモンドの輸入を禁止し、同国のダイヤモンド採掘企業アルロサ鉱山に対して、債権と株式の取り引きを禁止しました。
また、企業や消費者もロシア産のダイヤモンドに抗議を行い、ロシアで採掘されたダイヤモンドの不買運動へと繋がりました。
結果、全体としてダイヤモンド不足が起こり、価格高騰へと繋がったのです。
また、2つ目の理由として、有事の安全資産としてダイヤモンドが選ばれていることも挙げられます。
昨今、コロナ渦による金融緩和も影響し、全世界的にインフレへの懸念が高まっています。また、利上げが続くアメリカと金融緩和を継続する日本の間で金利差が拡大し、円安ドル高が進んでいます。さらに、依然として目途が立たないウクライナ問題により、小麦やエネルギー価格が上昇しています。
その中で、さらにインフレが進むとなると、現金の価値が目減りしてしまいます。そこで、富裕層を中心に、資産防衛のために実物資産であるダイヤモンドを買い求める人が増えているのです。
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【今後予測】インフレでダイヤモンド価格は上昇する可能性
インフレの時代には、ダイヤモンド価格は上昇を続けることが考えられます。なぜなら、実物資産としてのダイヤモンドの需要が高まるからです。
インフレが起きる中では、現金の価値は目減りしてしまいます。たとえば1000万円を銀行の普通預金口座に預けた場合、数年後に物の値段が今の倍になると、銀行口座内の100万円の価値は実質半減します。
一方、ダイヤモンドの場合は、安定した需要と供給のコントロールが歴史的に行われています。加えて、実物資産であることから、インフレ下においては需要が高まりやすく、価値が目減りするどころか高まる可能性さえあります。
つまり、インフレ時代の今、ダイヤモンド投資は資産防衛として大変優秀な方法と考えられます。
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