昨今注目され始めた中古車への投資。
特に製造から数十年が経過した「クラシックカー」は高値で取引されることも多く、資産を防衛するための投資対象として人気を集めています。
そんなクラシックカーでも、売却タイミングと売却方法を誤ると適正価格で売れず、損をしてしまうことも少なくありません。
今回は一般的な中古車の売却事情も含めた、中古車売買に関して解説していきます。
人気の中古車は大幅に値上がりする可能性がある
一度誰かの手に渡った中古車でも、種類や製造年代によっては大幅に値上がりする可能性があります。
古い車の総称である「クラシックカー」の多くは製造されて数十年経過した現在でも高値で売れるケースがあり、マニアや投資家から人気です。
また、一般的な車でも売却タイミングや売却方法に工夫を凝らすことで高く売れる可能性があるため、慎重を期すべきだと言えるでしょう。
コロナ禍では中古車を実物資産として注目する人々が増加
コロナ禍に入って一時的に経済は停滞したものの、ワクチン接種が加速したことで経済活動は回復傾向となりました。
しかし、インフレ進行が株価や為替の値動きを激しくしたため、さらなるリスクヘッジのために資産防衛の手段を改める投資家が増えたのも事実です。
そこで注目されたのが「実物資産」であり、中古車も実物資産の一つとして知れ渡るようになりました。
これらの資産は資産そのものに価値があり、金融商品のようにボラティリティが大きくありません。
比較的価格が安定する傾向にあるため、より堅実にお金を守る方法として効果を発揮します。
ちなみに投資対象となるのは一部のクラシックカーといったニーズの高い中古車のみなので、闇雲に中古車を所持することが資産防衛に繋がるわけではありません。
中古車を売却するタイミングについて
中古車を購入時よりも高い価格で売却、もしくは損失を最小限に抑えるには売りに出すタイミングが重要です。
中古車市場や投資家・マニアたちのニーズについて理解していないと、価値ある車でも安値でしか売却できないケースもあります。
いくつかある売却タイミングを知り、売り時を正しく把握することで期待値の高い投資を行えるようにしましょう。
中古車を売却すべきタイミングは以下のとおりです。
- 所持している中古車の価値・ニーズが高まったタイミング
- 車が故障したタイミング
- 一般的な中古車であれば新モデル発売前の売却もおすすめ
1つずつ解説します。
所持している中古車の価値・ニーズが高まったタイミング
より高い売買差益を狙うなら、中古車の価値やニーズが高まったタイミングでの売却が効果的です。
基本的に車は時間経過と共に価値が下落するものですが、高く売れる可能性のある中古車は、逆に経過した時間の分だけ価値が高くなっていきます。
そのような特殊な背景を持った車を探して購入するには、中古車や投資に関する理解が欠かせません。
すでに価格上昇を見せている車種はもちろんのこと、将来的な価格上昇に期待できる車に目星をつけるためにも、事前に車に対して関心を寄せておくことが大切です。
車が故障したタイミング
車が故障したタイミングも売却タイミングの一つとなります。
例えば、クラシックカーのように製造されてから数十年経過したような車は、修理を行うだけでも高いコストが発生するケースも少なくありません。
中古車を高く売却するには所有者自らランニングコストを算出し、車の状態を維持する必要があります。
ランニングコストの回収が見込めるなら所有し続けられますが、仮にサンクコストが発生しそうな場合は早めの損切り決断が重要です。
車が大破でもしない限り金融商品のように価格が暴落することは少ないですが、改善が見込めない場合は狼狽する前に手放すことも必要になります。
一般的な中古車であれば新モデル発売前の売却もおすすめ
新しいモデルが発売される前の売却も効果的な売却タイミングと言えるでしょう。
この方法はここ数年で発売された一般的な中古車を少しでも高く売る方法としておすすめです。
モデルチェンジが発表されると、新型モデルへの買い替えを行うために多くの人達が現行モデルの売却を始めます。
現行モデルが市場へ多く出回るようになるとその車種の価値も低くなるため、高く売ることが難しくなります。
このようなケースを回避するには、モデルチェンジが発表される時期を予測して多くの人が現行モデルを手放す前に売却を始めることが重要です。
車のモデルチェンジは多くの場合、4年〜6年周期で繰り返されることが多いため、時期を見計らって査定に出すと高額買取を行ってもらえる可能性があります。
\ ここでお知らせ /
資産運用をしたい方必見!
インフレ時代を乗り切る強い味方とも言える「アンティークコインでの資産運用」について、
アンティークコインの魅力や市場価値・過去10年間の価格推移などについて詳しく解説しております。
中古車の売却方法
売却タイミングと同様に重要なのが、売却の方法です。
一般的な中古車であれば中古車買取店やメーカーの正規ディーラーの利用でも問題ありません。
しかし、クラシックカーとなると売却先を選定しないと適切な査定を受けられない場合があります。
中古車の売却方法として有効な2つの方法を解説するので、売却時の参考としてください。
中古車買取店に依頼する
一般的な中古車を売却するのであれば、中古車買取店への依頼が効果的です。
ここで大切なのは、できるだけ「下取り」を利用しないことです。
下取りは、引き取ってもらった車の価格を新たな車の購入費用に充てることを指します。
多くの場合、車の下取り価格は売却価格を下回るため、中古車を少しでも高く売る方法としておすすめはできません。
また、下取りでは車がどのくらいの価値で評価されたかわかりづらく、基本的に市場価格なども考慮されないのがデメリットです。
少しでも高い価格で車を売却するなら、タイミングを見計らったうえで中古買取り業者などへ査定を出すことをおすすめします。
中古車の個人売買サポート業者などを利用する
クラシックカーのようなさらに価値の高い中古車を売却するなら、個人売買サポート業者の利用がおすすめです。
一般的な中古車市場で手に入りにくい車は中古車買取店などで査定を行うことが難しく、本来の価値より低い査定額を提示されることがあります。
レアなクラシックカーなどを適切な価格で売却するには、専門の知識を持っているうえにその車を必要としている人々を相手に売却しなければなりません。
買い手が少ないクラシックカー市場で取引相手を探すのは難しいですが、個人売買サポート業者を通せばニーズが合致した人々と繋がることができます。
クラシックカー市場への理解が深い人や、高い価格でも車を購入したい人達が集まっているので、中古車買取店よりも高く・適切な価格での売却が期待可能です。
個人売買では買い手が現れるタイミングがわからず、現金化に時間を要することもありますが、安値での売却を避けたい場合はこのようなサービスの活用も選択肢に入れてみてください。
投資目的で中古車を売却するときの注意点
投資目的で中古車を売却して利益を発生させるには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
一般的な中古車と同じように売却を進めてしまうと損失を発生させてしまう可能性もあるので、資産を守る目的で中古車売買を行うときには検討を重ねて取引を行うようにしましょう。
投資目的で中古車を売却する際の注意点は以下のとおりです。
- クラシックカーを一般的な中古車買取店で売却しない
- クラシックカーと一般的な中古車の高く売れる時期は違う
- 流動性が低く現金化に時間を要する可能性あり
- 利益が出れば所得税が発生する
クラシックカーを一般的な中古車買取店で売却しない
投資目的で中古車売却を行うときの1つ目の注意点は、クラシックカーを一般的な中古車販売店で売却しないことです。
クラシックカーに適切な価格を設定するには、それぞれの車体が持つ時代背景などについて理解する必要があります。
しかし、多くの中古車買取店ではそれらのノウハウがないこともあり、本来の価値より低い査定が行われることも少なくありません。
クラシックカーを価値付ける以下のような理由まで理解を深めることは難しいため、レアな車を売買する際には専門知識を持った業者に依頼することが必要不可欠です。
- 生産数が少ない
- 生産年数が短い
- 残り台数が少ない
- 数十年前の生産とは思えないほど状態が良い
マニアや投資家であれば時代背景や市場価格等も加味した適切な価格設定が可能なので、資産運用を目的とした中古車売却先探しはより注意深く行いましょう。
一般的な中古車販売店が知識不足なのではなく、担当する領域が違うと捉えるようにしてください。
クラシックカーと一般的な中古車の高く売れる時期は違う
投資目的で中古車売却を行うときの2つ目の注意点は、クラシックカーと一般的な中古車の高く売れる時期の違いを理解することです。
一般的な中古車は一度価格が下がるとその後価格が戻ることが少なく、一度売り時を逃すと高く売るチャンスを失ってしまう可能性があります。
反対にクラシックカーの場合は時間経過と共にゆっくり価値が高まる性質を持っています(実物資産の多くはこのような性質を持ちます)。
比較的価格変動が小さいことから売却するチャンスも多く、一般的な中古車のように焦って売却する必要性が少ないのです。
市場ニーズの把握と車体メンテナンスの継続、専門業者探しを行っていれば売買のチャンスが複数回やってくることも考えられます。
それぞれが持つ資産の性質を理解し、売り時を見極められるようにしておきましょう。
流動性が低く現金化に時間を要する可能性有り
投資目的で中古車売却を行うときの3つ目の注意点は、流動性が低く現金化に時間を要する可能性があることです。
流動性とは市場に出回る資産の量のことを指します。
「流動性が高い」とされる株式投資や為替は常に世界中で取引されており、売買もしやすいため資産を現金化しやすい特徴を持っています。
反対にクラシックカーを含めた実物資産は「流動性が低く」、特にレアリティの高い資産はなかなか市場に出回らないことから売買しにくいため現金化も困難です。
また、一定のニーズはあるものの一般的な中古車のように市場が確立されていないことや、資産自体が高価であるため買い手が付きづらいといった理由も換金性が悪い理由として挙げられます。
クラシックカーは価値が急落しにくいため、換金性が悪く買い手が付かないことから損失が一気に膨らんでいくことはそう多くありません。
しかし、現金化しにくいことからキャッシュフローの改善等に役立てることは難しいため、前もって計画立てて投資することをおすすめします。
利益が出れば所得税が発生する
投資目的で中古車売却を行うときの4つ目の注意点は、利益が出れば所得税が発生することです。
一般的な中古車売却で利益が発生することは少ないため、自動車売却時に税金を支払う必要はないと考えている人も多いかもしれません。
しかし、投資目的で中古車を売却し、さらに利益が発生した場合は「所得税」を支払う必要があります。
中古車を売却して利益が発生した場合は「譲渡所得」から税金が引かれます。
計算式は以下の通りです。
【譲渡収入金額ー(取得費+譲渡費用)ー特別控除50万円】
この計算式から導き出された「譲渡所得」から所得税が引かれます。
総合課税の対象である車の利益には累進課税が適用され、5%〜45%の税金が発生します。
住民税・復興特別所得税なども加味すると最大55%の税金となるため、確定申告時は特に注意が必要です。
中古車を個人で売却する際の流れ
中古車と一概に言っても、製造年によって売却時の流れは異なります。
例えば、10年ほど前に製造された車はよっぽどレアリティが高くなければクラシックカーのように高額で売ることは難しいです。
そのため、一般的な中古車買取店で査定してもらうのがベーシックな売却方法になります。
必要であれば複数の買取店で査定に出し、より高額で買い取ってもらえる店舗を探すのもおすすめです。
ただし、同じ中古車買取店だからといって安易にお店を選ぶことはおすすめできません。
安心して査定を進めるためには、「一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)」へ加盟している買取店を選ぶことが重要です。
JPUCには複数の条件を満たした優良業者しか加盟できないため、この協会に認定されている店舗を選べば安心して買取査定に出せるでしょう。
クラシックカー売却の流れ
クラシックカーを適正価格で売却するには、クラシックカー専門店もしくは個人売買がおすすめです。
個人で売買を行う場合、まずは車の状態を双方・もしくは仲介者なども入れて確認を行ったあと、契約に進みます。
契約に問題がなければ売却代金を買い手から受け取り、車両の引き渡しを行ったあと保険等の名義変更を行います。
車の売買時には以下の手続きが必要です。
- 車両の名義変更
- 自賠責保険の名義変更
- 車庫証明の取得
これらの手続きは買い手側が行うのが一般的ですが、場合によっては売り手側が担うものもあるため、トラブルの発生を防ぐためにも事前によく話し合っておくようにしましょう。
中古車を個人で売却する際に必要なもの
中古車を個人で売買する際には、さまざまな準備を行う必要があります。
売り手側が用意すべき物も少なくないので、抜け落ちがないよう確認を行ってください。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車保険証明書
- 自動車納税証明書
- 委任状
- 譲渡証明書
- 印鑑証明書
- リサイクル券
自動車検査証(車検証)
中古車の個人売買時に必要な1つ目の書類は、自動車検査証です。
いわゆる車検証と呼ばれる書類で、基本的に車内で保管している方が多いと思います。同書類は各種保険の名義変更時に必要となるので、原本を用意しておきましょう。
自動車保険証明書
中古車の個人売買時に必要な2つ目の書類は、自賠責保険証明です。
保険期間内に車を譲渡・売買した際などには、契約者の名義変更を行う必要があります。
車本体が譲渡されただけでは契約の権利が移動しないため、書類を通して名義の変更を行わなければなりません。
仮に名義を変更しないまま買い手が事故を起こした場合、保険金を支払うのは元の売り手側となってしまうので、必ず忘れないようにしてください。
自動車納税証明書
中古車の個人売買時に必要な3つ目の書類は、自動車納税証明書です。自動車税を納めているか証明する書類で、自動車税納付時に発行されます。
自動車税が未納のままだと車検を受けられず、車に乗ることができなくなります。後々買い手側がスムーズに車検を受けられるよう、こちらの書類で納税済みであることを証明できるようにしておきましょう。
委任状
中古車の個人売買時に必要な4つ目の書類は、委任状です。
各種手続きを代行してもらう場合は委任状にて正式に依頼したことを証明する必要があります。
記入フォーマットは特に決まっていませんが、国土交通省にテンプレートなどがあるためそちらを利用するのも良いでしょう。
譲渡証明書
中古車の個人売買時に必要な5つ目の書類は、譲渡証明書です。
車の所有者が変わる際に必要となります。
譲渡証明書のテンプレートも国土交通省のサイトよりダウンロードして利用することをおすすめします。
印鑑証明書
中古車の個人売買時に必要な6つ目の書類は、印鑑証明書です。
車の個人売買時に用意する書類には実印が必要で、実印が本人のものか証明するために印鑑証明書も用意しなければなりません。
なお、印鑑証明書には期限があり、期限まで近い場合は受付が不可になるケースもあるため注意しましょう。
リサイクル券
中古車の個人売買時に必要な7つ目の書類は、リサイクル券です。
リサイクル料金を納めたことを証明する書類で、リサイクル料は廃車時の費用として活用されます。
リサイクル料金は買い手側も納付する必要があり、売り手側は返金を受けることが可能です。
高く売却できる中古車(クラシックカー)が多いメーカー4選
次に高く売却できる中古車が多いメーカーを4つ紹介します。
どのメーカーも歴史があり、多くの名車を生産してきました。以下の6メーカーは特に高く売れる中古車が多いので、購入時・売却時の参考材料としてください。
- メルセデス・ベンツ
- ポルシェ
- BMW
- フォルクスワーゲン
メルセデス・ベンツ
高く売却できる1社目のメーカーは、メルセデス・ベンツです。
言わずと知れた高級車メーカーであるメルセデス・ベンツは、1926年にドイツで誕生しました。
数あるメーカーのなかでも特に高値で取引されるクラシックカーが多く、ベンツのクラシックカーを取り扱う専門店も多いため比較的取引がしやすいと言えます。
世界各国で人気を誇り、日本でも中古車が活発に取引されているため、買い手も付きやすいでしょう。
ポルシェ
高く売却できる2社目のメーカーは、ポルシェです。
ポルシェの中古車は「クラシックポルシェ」と呼ばれることも多く、伝統的なデザインと走行性でファンを魅了しています。
クラシックカーの部品などは、車の製造終了と共に流通も少なくなりがちですが、ポルシェの場合は純正のパーツを今でも用意しているため、より精度の高いメンテナンスを受けられるのも特徴です。
BMW
高く売却できる3社目のメーカーは、BMWです。
BMWならではの個性的なデザインは今でも支持を得ており、憧れの的として入手を望む人が多く存在します。
2023年1月には「BMWクラシック認定パートナー」が発足され、時代が経過した車体でも正規のメンテナンスを受けられる環境が整いました。
部品交換はドイツ本社と連携しているため、当時の走りをより高い精度で実現することも不可能ではないでしょう。
フォルクスワーゲン
高く売却できる4社目のメーカーは、フォルクスワーゲンです。
フォルクスワーゲンも多くのファンが付いている超人気メーカーで、中古車も高値で取引されています。
フォルクスワーゲンでも生産が終了したパーツを用意する取り組みが行われているため、長く乗り続けることが可能です。
ただし、現時点ではこの取り組みの対象車は限られており、今後随時追加されていく予定です。
中古車は売却タイミングと方法が肝心!
今回は中古車の売却タイミングと売却方法について解説しました。
どれだけ価値のある中古車でも、売却タイミングと売却方法を誤ると適切な価格で売買するのが難しくなってしまいます。
適正な価格で中古車を売る場合、中古車販売店だけに頼るのではなく、自らが車や市場に関する知識を身につけ、万全なリスクヘッジを行ったうえで取引を行わなければなりません。
目的が資産防衛だとしても、投資効果を高めるためには歴史ある車を大事に乗り継いでいくことが重要です。
マネートレンドNaviでは、クラシックカーを始めとした実物資産に関する情報を発信しています。
資産防衛に興味を持ち始めた方でもわかりやすく解説しているので、お金に関する知識を身につけるためにもぜひ他の記事もご覧ください。
公式LINEを友達登録していただければトーク画面で簡単に最新情報を確認できます。最新の投資情報をゲットしたい方はぜひ登録してください。