ラフロイグは世界的なウィスキー産地のスコットランドでも、特に名門とされるブランドの一つで名前だけは聞いたことがあるという方も多いかと思います。ではウィスキー投資の観点から見た場合、どのような魅力があるのでしょうか。まずは味わいや作り方などの商品特性を説明しつつ、投資方法や取引事例、高値で取引される理由などの投資観点から見た特徴を説明いたします。
ラフロイグの特徴
数あるスコッチ・ウィスキーの中でも名門の一つとして知られ、日本でも愛好家の間で人気の高いラフロイグ。
高音がつくことも多く、ウィスキー投資家にも親しまれるブランドの一つですが、どのような特徴があるのでしょうか。
まずは産地や味わいについての特徴を、簡単にお伝えします。
アイラ島原産のスコッチ・ウィスキーの名門ブランド
ラフロイグはスコットランドの南部、インナー・ヘブリディーズ諸島にあるアイラ島で作られているスコッチ・ウィスキーです。
アイラ島は海流の関係でスコットランド本土よりも温暖なことが多く大麦の栽培が盛んで、良質な水も手に入りやすいです。
また、蒸留所は全て海辺に建てられていて、この土地のウィスキーの特徴であるヨードの香りを作り出しています。
樹木の少ない土地であるためビート(泥炭)が乾燥工程で頻繁に使われていることも特徴です。
これらの要素は高品質なウィスキーを作るのに適した環境で、ラフロイグなどのウィスキー製造は人口3,200人ほどの島の主要産業として欠かせない存在になっています。
独特のビート(泥炭)香が特徴
ラフロイグの味わいの特徴は、ウィスキーを醸造する過程で大麦を乾燥させるときに使うビート(泥炭)の香りです。
燻製のような芳ばしさを持つこの香りは多くのウィスキーが持っていますが、ラフロイグは海藻やコケが多く含まれたピートや独自のフロアモルティング(大麦の発芽)、ピートが溶け込んだ仕込み水などの影響でかなり強く現れます。
ラフロイグの香りはスコッチウィスキーの中でも独特なことで知られ、消毒液や正露丸などに例える人がいるほどの強烈な香りとして知られています。
実際多くの酒の醸造・販売が禁止されていた20世紀初頭の禁酒法時代のアメリカでさえ、ラフロイグは薬用効果があるとして輸入が当局から許可されていたほどでした。
根強いファン層〜イギリス国王もその一人〜
ラフロイグは先ほど述べたように強烈な香りを保つために、ウィスキー愛好家の間でさえ好き嫌いがはっきりと分かれるスコッチウィスキーとして有名です。
しかし好む人はかなり愛好することでも知られており、世界中に根強いファンが存在します。
現在のイギリスの国王・チャールズ3世もその一人で、皇太子時代には蒸留所に自ら買い付けに行き、年によってはボトルで1,000本以上を注文されるほどでした。
その縁もありラフロイグは1994年に王室御用達許可証をシングルモルトウイスキーとして初めて下賜され、蒸留所の外壁にはプリンス・オブ・ウェールズの紋章が掲げられています。
ラフロイグは現在もジョニーウォーカーと並び、数あるスコッチウィスキーでもわずか2つしかない王室御用達のブランドとして高い権威を保っています。
ラフロイグが高値で取引されている理由
スコッチウィスキーの中でも高級ブランドの一つとして名高いラフロイグは値段も高く、専門店に行くとボトル1本1万円以上の値段がついていることも珍しくありません。
その理由としては以下の2点があります
- 強い癖のある味わいに多くのファンがいる
- 原酒不足のため生産が終了し手に入りにくいものもある
ウィスキー投資家にも愛好家にも人気があるラフロイグの高値の理由を以下に詳しく説明します。
味わいに根強いファンがいる
ピート香が強く、好き嫌いがはっきりと分かれるラフロイグ。
しかし上述したチャールズ国王のように何本も購入する人もいるなど、好きな人はとことん愛好する傾向にあるのが大きな特徴です。
ラフロイグには「フレンズ・オブ・ラフロイグ(Friends of Laphroaig)」という専用の会員プログラムが存在し、世界約190国・約67万人の会員が登録しています。
この会員になると、ラフロイグの優先購入券や限定ボトルの購入、同社が所有する土地の一区画の所有など、ファンにはたまらない限定プログラムを受けることができます。
ファン同士での交流機会もあり、ラフロイグを味わってみて気になった愛好家や投資家であれば入会することを検討してみてはいかがでしょうか。
原酒不足で生産終了しているものもある
上記の通りラフロイグは愛好家を中心に人気の高いブランドですが、非常に手間と年月をかけて作られるため生産量が少なく、需要に供給が追いついていない状況です。
そのため醸造した原酒が不足しており、生産終了したボトルなども多く存在します。
特にパッケージデザインやアルコール度数などが現行のものと異なる10年前の旧モデルをはじめ、古いものが状態よく残っている場合、1ボトル数万円ほどの高値がつくことも珍しくありません。
そのためウィスキー投資に興味ある方でラフロイグを対象にする場合は、デザインが古く状態の良いものを見つけたら、早めに購入できるよう資金を確保しておくことをおすすめします。
ラフロイグが高値で取引された事例
ラフロイグは薬にも例えられるほどの独特の味わいもあり、癖が少なく万人受けするマッカランなどと比べると投資家や愛好家による高額取引の事例は少なめです。
(マッカランの高額取引の事例はこちらの記事をご覧いただけますと幸いです。)
ただラフロイグ自体はファンの根強い支持にも支えられ人気は堅調であるため、状態の悪いものでなければオークション会場を騒がせるほどの高額落札のケースが起きることもあります。
下記に代表的な例を2つご紹介します。
ラフロイグ 1967 サマローリ:オークションの高値記録を更新した
イタリアの老舗インデペンデント・ボトラー(蒸留所から原酒を買取、独自に瓶詰めを行うメーカー)・サマローリ(Samaroli)社が製造したボトルで、2018年に行われたオンラインのウィスキーオークション「whiskyauctioneer.com」にて61,000ユーロもの値付けがつけられたウィスキーです。
このボトルは、シェリー樽で15年貯蔵したラフロイグという高品質な原酒だけでなく、サマローリ社の創業者でシングルモルトウィスキーの普及に大きく貢献したシルヴァーノ・サマローリ社のサインが描かれていたラベルも入っているため、世界中のウィスキーファンから注目される逸品でした。
「ラフロイグ 1967 サマローリ」の生産量はわずか720本しかないためオークション開催前から投資家や愛好家から購入できる貴重な機会と考えられており、実際に当時の「whiskyauctioneer.com,」の最高値を更新する値段がつけられています。
ラフロイグ 15年 200th Anniversary:値上がり期待のある記念品
ラフロイグが創業200年を迎えた2015年に限定的に生産されたボトルです。
初めて15年熟成がなされた1985年のレシピを元にブレンドされたもので、磯やピートの香りなどラフロイグらしい特徴のほか、フルーティーさも感じられる味わいも兼ね備えていると伝えられています。
まだ比較的新しいボトルではありますが、すでに2023年9月23日現在で小売価格で税込で39,985円(株式会社RUDDER社の公式オンラインショップ)、オークションサイト(ヤフオク)でも2万円〜3万円前後の価格がついているものもあるなどかなり高額で取引されています。
記念品の限定ボトルということもあり、今後時を経るにつれて値段が上がることが想定されます。
興味のある投資家や愛好家の皆様は是非とも早めに手に入れてみることをおすすめします。
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ラフロイグの投資・購入方法
ラフロイグなど高級ウィスキーの投資方法としては、以下の2種類が一般的です。
ボトル:瓶1本を店頭やインターネットで購入し、高くなった際に売る方法
カスク:ウィスキーの熟成樽に投資し、値上がりした時に売却する方法
またラフロイグの場合は、ファンコミュニティ「フレンズ・オブ・ラフロイグ(Friends of Laphroaig)」への入会についても、高額な値段のつきやすい限定品などを入手する際に役立つため、話をしないわけにはいきません。
それぞれについて簡単に説明します。
なお、ボトルやカスクについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
ボトル:店頭やネットで購入、高いものは投資会社も
店頭やインターネット上でウィスキーのボトルを購入し、自宅や倉庫などで保存した上で売却する最もシンプルな方法です。
古いラベルのものなど高額なものについては、ウィスキーの投資会社でも扱っている場合があります。
ボトルで購入する場合は、現物や写真を見て判断できるため品質などの情報がわかりやすく、店舗やECサイトを使用する場合は手軽さも魅力です。
ただラフロイグの値段は1ボトル数万円することも珍しくなく、また世界中の高級酒を扱う専門店でも在庫は限られることが多いです。
特に上述のように高値取引されたボトルのように限定品であると、海外を含めてさまざまな場所を探しても見つからないことが多々あります。
ラフロイグに興味のある投資家の方であれば、入手できる機会に備えてあらかじめ資金を準備するようにしてください。
またオークションサイトなどで現物を見られない場合は、偽物を掴まないよう細心の注意を払うことも重要です。
カスク:専門の投資会社から購入
カスクについては、ウィスキー・カスク・インベストメントのような専門の投資会社から購入することができます。
ホームページなどで価格や銘柄などの情報を見て、まだ熟成段階にあるウィスキーを購入し数年経って値上がりしていたら売却することで利益を得ることができます。
樽そのものに投資するため高額で売却できるという点や、偽物が存在することもあるボトルのものよりも確実に手に入れる点がメリットです。
ただし投資金額も莫大になるためあらかじめ資金に余裕を持たせる必要があります。
ラフロイグの場合、人気かつ高級ブランドであるため高額で取引されており、数百万円ほどはかかる可能性が高いです。
フレンズ・オブ・ラフロイグへの入会
ラフロイグの購入を検討する投資家やウィスキー愛好家であれば、先ほど紹介したフレンズ・オブ・ラフロイグ(Friends of Laphroaig)に入会することもおすすめです。
この会員には所有ポイント別に以下の3つのランクが存在します。
- ピート(PEAT):249ポイント以下
- スモーク(SMOKE):250ポイント以上499ポイント以下
- オーク(OAK):500ポイント以上
このうち最上級の「オーク(OAK)」になると限定ボトルの優先獲得権を手に入れることができ、蒸留所内での試飲や専用のテイスティングコースなどを受けられるコースが存在します。
ポイントは公式サイトでウィスキーボトルなどを購入することで貯められ、例として「ラフロイグ10」を購入すると100ポイントを貯めることができます。
一度飲んでみてラフロイグの味が気に入り、かつ投資やコレクション、飲用などの目的から希少なボトルを手に入れてみたい場合は入会し、最上級会員を目指してみてはいかがでしょうか。
まとめ:スコッチウィスキーで安定取引をするならラフロイグがおすすめ
ラフロイグは独特なピート香があるために、好みが分かれ、世界のウィスキー全体でも屈指の高額取引が行われることもあるマッカランなどと比べると値段が急激に高騰するようなことはないものの、ファンも多く高いブランド価値を保っています。
スコッチウィスキーの投資に興味があるものの安定性を重視して取引を行いたい方や自らもアイラ島のウィスキーの味わいに親しんでいる方には是非ともおすすめしたい逸品です。
またラフロイグのような高級ウィスキーが手に入った場合に気にするべきなのが保存方法です。ウィスキーはワインなどと比べると温度変化には強くはあるものの、劣化すると香りや風味が飛んでしまったり液の量が少なくなってしまったりとウィスキー自体の魅力が弱まり、結果として値段は暴落してしまいます。
高額なウィスキーの価値を高めていくためにも、こちらの記事を参考にしたりして、保存方法にはこだわるようにしてください。