高級なスコッチウィスキーの代名詞として、またウィスキー投資のウェブサイトでもしばしば紹介されるマッカランとはどのようなウィスキーでしょうか?
この記事ではシングルモルトのロールスロイスとも称されるマッカランの特徴について簡単に述べたのちに、投資の方法やそのポイント、高額取引の事例に至るまでマッカランへの投資を行いたい人への情報を提供します。
マッカランの特徴
世界的なウィスキーの産地・スコットランドの中でも有名なブランドとして知られるマッカラン。
ウィスキー投資家からも、世界中のウィスキー愛好家からも人気を集める理由は、マッカランが持つ多くの特徴を見ればわかるかと思います。
その一部を簡単にご紹介します。
「シングルモルトのロールスロイス」と呼ばれる名門ブランド
マッカランが製造されるのは上質なウィスキー産地として有名なスコットランドの中でも、最大の川・スペイ川の流域で作られた「スペイサイド」と呼ばれる分類にあたる地域です。
その中でもマッカランは18世紀初めから蒸留が始まり、1824年に蒸留ライセンスを獲得して合法化した以降でも約200年にわたり製造が続けられている名門ブランドです。
スペイ川流域はウィスキー作りに最適な気候と水質を兼ね備えており、そこで作られたマッカランはバニラやドライフルーツに例えられる上品な甘さ、まろやかさが特徴の比較的癖のないウィスキーになります。
材料から見た特徴はウィスキーの中でも製造法から見て特に希少性の高い「シングルモルト」ウィスキーであることです。
一般的に大麦麦芽のみを使用したウィスキーは「モルトウィスキー」と言われ、その中でも一つの蒸留所のみで製造されたものを「シングルモルト」と呼ばれています。
そのため余計な混ざり物がなく、大麦や水そのものの味わいを楽しめます。
マッカランは上記のような味わいのよさから「シングルモルトのロールスロイス」と呼ばれるようになり、長年に渡りスコットランドを代表する名門ウィスキーのブランドの一つとして広く知られています。
200年以上にわたり受け継がれる伝統「6つの柱」
投資家・愛好家から愛されるマッカランの味わいのよさ・ブランド力の源泉としては、以下の「6つの柱」と呼ばれる要素が有名です。
- 1700年より伝統を刻む、試飲や宿泊の場となる施設「イースターエルキーハウス」
- 直火炊焚きを可能にするスペイサイド最小の蒸留釜
- 蒸留した液体のうち16%しか熟成対象にしない「ベスト・オブ・ベスト」にこだわる品質
- 自社で管理する森林・畑で作られたものしか使用しない樽や原料へのこだわり
- 樽から由来するナチュラルで鮮やかな色合い(多くはシェリー由来の赤みを帯びた琥珀色)
- 各工程のスペシャリストが集まる職人の情熱
これらの要素はマッカランの200年以上にわたる伝統の中で代々受け継がれており、数多くあるスペイサイドの蒸留所の中でも高いブランド力を保つ要素になっています。
バリュエーション豊富な銘柄
マッカランは樽の種類や熟成年、ボトルの種類に応じて様々な銘柄があることも特徴です。
樽はシェリーを利用しているのが一般的ですが、同じシェリー樽であってもヨーロッパ原産のものと米国原産のものがあり、さらにはシェリー樽ではなくバーボン樽を使うものなどもあり、かつそれらを混ぜ合わせた「ダブルカスク」や「トリプルカスク」と呼ばれる種類もあります。
近年ではシェリーを使用するものは後述のように減りつつあり、徐々に変化が見られます。
また熟成年の種類も豊富で、一般的には12年や18年が主流ですが、中には数十年もの時を経たものもあり、これらのボトルには日本円にして億単位と、世界のウィスキー史上でも屈指となる値段がつく場合もあります。
ボトルについても長年の歴史の中で変化がなされており、公式には買えない古いラベルのものや特注されたボトルのものはオークションなどで高い値段がつきます。
このようなバリュエーションの多さは、投資家からの関心を呼びやすい要素となっています。
マッカランへの投資方法
マッカランに限らず、ウィスキーの投資方法としてはボトルとカスク(樽)の2つのパターンが存在します。
それらについて簡単な特徴を述べるので、興味のある方は是非とも調べてみてください。
なおマッカランはウィスキー愛好家にも投資家にも人気銘柄のため、品切れの場合も多いことには注意が必要です。
またそれぞれの方法については、こちらの記事にも詳しいので興味がある方は読んでみるといいでしょう。
ボトル:店頭やネットで購入。高いものは投資会社も
マッカランのボトルを店頭や ECサイトなどで購入という、最もイメージがしやすい方法です。
マッカランは高額ではありますが、1本数千円〜数万円もあれば高品質なものを購入することはでき、後述するようにラベルが変更されたりすれば数倍もの利益を狙うことができます。
またオークションサイトやフリマアプリなどから購入すれば、より安く購入し、より高く売ることもやり方次第で可能です。
初めからコストが高くても品質に保証があるものが欲しい場合は投資会社などから購入することもできます。
ただ、マッカランは人気銘柄であり著名な専門店であっても在庫は多いとは言えません。
投資に興味がある方は入手できる機会に備えてあらかじめ資金を確保するといいでしょう。
カスク:専門の投資会社から購入
ウィスキー投資のもう一つのやり方として専門の投資会社から、ウィスキーのカスク(熟成樽)を購入するという方法があります。
投資会社のホームページなどにアップされる情報を見て、まだ若い熟成段階のウィスキーのカスクを購入し、数年以上を経て値上がりした際に売却するというものです。
日本からアクセス可能な代表的なサイトに「The Whiskey Stock」があり、マッカランなどのスコッチウィスキーの名門ブランドが揃っています。
ボトル買いよりも高い投資コストがつきますが、その分売買額もより高くなるのが特徴です。
より本格的にウィスキー投資を行いたい方は、是非ともカスクも検討してみてください。
稀少銘柄の多いマッカランの場合は、購入機会を逃さないよう資金を十分に確保しておくこともおすすめします。
マッカラン投資が高値になりやすい理由
マッカランは数あるスコッチウィスキーの名門ブランドの中でも投資需要が大きく、値段が高額になりやすいと言われています。
実際オークション大手・サザビーズ社が作成した「2023年時点で世界で最も高額なウィスキー10選」のランキングの中では、歴代の上位10位のうち7つをマッカランが占めています。
いかにマッカランが投資家やウィスキー愛好家から高く評価されているかがわかるランキングです。
ではなぜマッカランは高値になりやすいのでしょうか。
理由を以下に説明します。
世界的に高い需要がある
まずマッカランに限らず世界的に高級ウィスキーの需要が増大していることが挙げられます。
世界5大ウィスキーに入るスコッチウィスキー(スコットランド産のウィスキー)は、多くの国で経済が成長する中で注目を浴び続けています。
特にマッカランは癖が少なく飲みやすいため、ウィスキーの入門ブランドとしても知られており、初めてウィスキーを飲む人にも適切であることから需要が急増しています。
ただマッカランは上述のように非常に厳しい品質基準のもとごく少量しか作られないブランドであることから生産が追いつかない状態が続いています。
そのためマッカランは稀少度が高まって価格が高くなりやすい傾向が、ウィスキー全体の中でも強いです。
実際、洋酒専門店などからの在庫も少なくなりつつあり、定価で買える機会もだいぶ少なくなりつつあるため、機会を逃さないようにしましょう。
なお同様に人気のある世界5大ウィスキーに興味ある方はこちらの記事をご覧ください。
ラベルなどのコレクター要素が強い
高級ウィスキーは定期的にラベルデザインが変更されることも多く、マッカランも例外ではありません。
中にはボトルの形自体が特別仕様で形が変更されることもあります。
このようにデザインが変更される高級酒はコレクターの需要を産みやすいことから、投資需要も高い傾向にあります。
長い歴史を持つマッカランは多くの種類のデザインを保つために古いものほどコレクターからの人気もあるため、それにより価格も高騰しやすい傾向があります。
また省かれることも多くなった年数表記や希少になりつつあるシェリー樽での熟成など、コレクターにとってのプレミアム価値がつきやすいポイントが多い点も、価格が高値になりやすい要素となっています。
後程詳細をお伝えしますが、こうしたコレクターにうける要素については、マッカラン投資を行う際の重要ポイントとして押さえておきましょう。
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マッカランが高値で取引された事例
マッカランはこれまで述べたようにブランド力の高さと飲みやすさを兼ね備えており、初心者からウィスキーを知り尽くした愛好家や投資家、コレクターに至るまで幅広い層からの支持を集めています。
そのためオークションでも人気を集めやすく、中には世界中のウィスキー愛好家や投資家を驚かせるほどの値段がつく場合があることも。
では高額取引された事例としてはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものを3つ挙げます。
ザ・マッカラン1926:190万ドルの価値を持つ世界で3番目に高額なボトル
これまで最も高額な値段がつけられたマッカランは、2019年にサザビーズのオークションで取引された「ザ・マッカラン1926」です。
その値段たるや約190万ドル。
2023年9月現在でも歴代のウィスキーの取引で、3番目に高い値段になっています。
「ザ・マッカラン1926」はその名前の通り1926年に蒸留されたのち60年間シェリー樽に貯蔵されるという経緯を持っており、263番のカスクからボトルに詰められたのはわずか40本という貴重品です。
またアイルランドの著名画家マイケル・ドリオン氏によるデザインが初めて瓶に描かれたボトルでもあります。
これらの要素から「ザ・マッカラン1926」の価値はウィスキー愛好家・投資家双方から非常に高く評価されており、マッカラン本社が厳選した「マッカランファイン&レアコレクション」にも入っています。
ザ・マッカラン・ラリック・レガシー・コレクション:著名ジュエリーメーカーによるボトル
マッカランは著名なオークション会社・サザビーズがランク付けしたこれまでの高額取引されたウィスキー上位10つのうち7つを占めており、「シングルモルトのロールスロイス」として投資家・ウィスキー愛好家を騒がせています。
その中でも特に変わったのは、サザビーズが2017年香港で開催したオークションに出品され約99.3万ドルの値段がついた「ザ・マッカラン・ラリック・レガシー・コレクション」です。
50〜65年もののウィスキーは、マッカランと関係の深い著名ジュエリーメーカーであるラリック社製の6つの個性的なクリスタル製の容器に入れられています。
ボトルまで高級品という仕様は、ウィスキーのコレクターにはたまらない逸品でしょう。
イントレピッド(The Intrepid):140万ドルで落札された世界最大級のボトル
「イントレピッド(The Intrepid)」は数ある高額取引されたマッカランのボトルの中でもかなり目立つものになっています。
その理由はボトルの大きさ。
なんと1.8mもの高さがあり、標準的なスコッチウィスキーのボトルの444本分、325リットルものマッカランを貯蔵できます。
ギネスブックにも「世界最大のウィスキーボトル」として記録される文字通り世界最大のボトルです。
中身も2019年時点で32年もの(1987年貯蔵)のマッカランが貯蔵され希少度も高いことから、投資家やウィスキーファンの注目を集めました。
そして、2022年5月25日にエディンバラのオークションハウスのLyon & Turnbullは「イントレピッド(The Intrepid)」が140万ドルもの金額で匿名の個人コレクターが購入したことを発表し、この巨大ボトルが世界屈指の評価を受けていることが明らかになりました。
しかしこれでも最初に述べた「ザ・マッカラン1926」よりも50万ドル安い値段。
作られた年代やボトルの違いで、高額な取引を次々と記録するマッカランの凄さを実感できる一瓶です。
マッカラン投資の始め方のポイント
上記のようにウィスキー全体の中でも高額な値段がつくこともあるマッカランですが、実際にウィスキー投資を始めるために購入し高い値段で売却するためには、いくつか覚えておきたい点がございます。
特に以下の3点は重要です。
- 年数表記があるか
- シェリー樽かどうか
- ラベルの種類は古いものか
それぞれのポイントをお伝えします。
年数表記を確認する
まず重要なのはラベルに「12年」、「18年」といった年数表記がある点です。
ウィスキーは元々は熟成度合いから品質が大きく変わっていましたが、近年はブレンドや生産技術の進歩もあり、少ない年数で高い品質のウィスキーを作ることができるようになったことから、現在では若い元酒を使うことで低コストで作り、かつ年数もラベルに表示させない方法が主流となっています。
そのためラベルに年数表記があることにはプレミアム価値が生まれつつあるので重要です。
幸いウィスキー投資の対象となるマッカランは年数がついたものが多いですが、安いものになると商品名や箱に年数がついていないこともあるため注意が必要です。
路面店やウェブサイトなどでマッカランを選ぶときは注意しましょう。
シェリー樽かどうかを確認する
続いて重要なのはマッカランはシェリー樽で熟成されたものであるかです。
上述したようにマッカランはシェリー樽で熟成された赤みがかった琥珀色が特徴の銘柄です。
しかし近年の世界的な高級ウィスキー需要の増大を受けて上質な樽の生産が追いつかず、シェリー樽ではない樽を利用したウィスキーも増えています。
そのため、シェリー樽を利用したウィスキーは希少価値が生まれており、先ほど述べた年数表記と同様高い値段で取引される要素となっています。
マッカランなどの高級ウィスキーを購入する際にはどんな樽で熟成されているのかは必ずチェックしましょう。
ラベルの種類を確認する
最後に確認するべきポイントはラベルの種類です。
ウィスキーのラベルは熟成年などの要素により定期的に変更されており、昔のものであるほどコレクターからの需要が大きく、プレミアム価値がつきやすくなっています。
特にマッカランのような高級ウィスキーの場合、プレミアム価値は大きくラベル変更前に4,000円ほどで購入したボトルがラベル変更後5年経つと3倍以上になるという例もあるほどです。
これが10年、20年と続くと保存状態が良いものであれば、当時よりも10倍以上の価格がつくようになっておりさらに希少度が高まります。
マッカランに限らず高級ウィスキーの投資を行うには、どのようなラベルがついているのかについては事前に調べた上で、購入するようにしましょう。
まとめ:スコッチウィスキー投資で高額取引を狙うならマッカランがおすすめ
マッカランはウィスキーの中でも飲みやすさやバリエーションの豊富さから、愛好家・投資家共に人気が高く、値段も高額です。
特に年代が古いものやシェリー樽のものは、専門店やECサイトでもなかなか入手が大変なものが多いですが、手に入ったらかなり高額な値段で売れることもありえます。
入手できる機会があればウィスキー投資の中でも特に知られた銘柄であるため、是非とも購入して投資戦略を立ててみてはいかがでしょうか。
また、ボトルが手に入ったら是非とも保存状態を万全にしてより高額な価値を出せるようにしてみてください。
こちらの記事を参考にしつつ、保存することをおすすめします。