最近は投資方法の種類が豊富になっており、「ウイスキー投資」について耳にしたことがある方もいるかもしれません。
近年、ウイスキーは世界的にも需要が高まっており、中でも日本のウイスキーは入手困難なレベルで需要が高まっています。
そこで今回は、ウイスキーの種類や分類について詳しく紹介していきます。世界の五大ウイスキーや、原料ごとの細かい分類についても網羅しているので、本記事を読めばウイスキーのことが丸わかりになります。
それに加えてウイスキーの資産価値や今後の展望についても触れているので、ウイスキー投資を考えている方には必見の内容です。
ぜひ最後までチェックして、ウイスキー投資への理解を深めることに役立ててください。
それでは早速見ていきましょう。
ウイスキーとはどんなお酒?
ウイスキーとは果物や穀物をアルコール発酵させた後、さらに蒸留して作る「蒸留酒」に分類されるお酒です。蒸留酒にはウイスキーの他に、ブランデーやジン、ウォッカ、焼酎などがあります。
ウイスキーの主な原料は穀物です。大麦やライ麦、小麦、オート麦、トウモロコシなどを糖化・発行・蒸留させて、できた原酒を木樽に入れて寝かせて造ります。「木樽に入れる」というのもウイスキーならではの特徴です。
蒸留すると濃縮されたアルコール分が得られるため、ウイスキーは度数の高いお酒です。瓶詰め前に加水して度数の調整は行われているものの、市販のウイスキーの度数は40度前後のものがほとんど。
ウイスキーはワインやビールなどに比べて歴史は浅いですが、国ごとに特有の文化があります。世界の五大ウイスキーもあるほど種類が豊富で、楽しみ方の幅は大きいのが魅力です。
原料ごとのウイスキーの分類
ウイスキーは主に、「モルトウイスキー」「グレーンウイスキー」の2種類に分類されます。
- モルトウイスキー
大麦麦芽(モルト)を原料としたもの
- グレーンウイスキー
トウモロコシやライ麦、小麦などの穀類を原料としたもの
この2つの分類をベースに、他にも以下の種類のウイスキーがあります。
- ブレンデッドウイスキー
モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたもの。原料は大麦麦芽やトウモロコシ、ライ麦、小麦などです。
ブレンデッドウイスキーの造り方は、複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドしたところに、グレーンウイスキーを加える方法が主流です。
- シングルモルトウイスキー
単一の蒸留所で造られたモルトウイスキーのみを瓶詰めしたもの。一般的には、同一の蒸留所の原酒を複数混ぜて、深みを出すことがほとんどです。
世界の五大ウイスキー
ウイスキーは世界的に見てみると、大きく5つに分類されます。「世界の五大ウイスキー」と呼ばれ、多くの人々に愛されており、ウイスキーを学ぶ上では欠かせません。
ここでは五大ウイスキーの特徴と歴史を詳しく解説していきます。まず、世界の五大ウイスキーは生産地によって以下のように分類されています。
- スコッチウイスキー
- アイリッシュウイスキー
- アメリカンウイスキー
- カナディアンウイスキー
- ジャパニーズウイスキー
それぞれのウイスキーについて、しっかりと理解を深めておきましょう。
スコッチウイスキー
スコッチウイスキーは、イギリスのスコットランド発祥のウイスキーです。スコッチウイスキーは世界一の生産量を誇っており、ウイスキーの代表格ともいえる存在です。
スコッチウイスキーの特徴
原料である麦芽を乾燥させる際にピート(泥炭)を燃やすため、独特の香りが特徴。「ピート香」と呼ばれるスモーキーな香りが魅力の一つで、多くの人々から愛されています。
スコッチウイスキーの風味は、「まったりとした口当たり」「蜂蜜のような甘味がある」と表現されることが多いです。
スコッチウイスキーの歴史
ウイスキーの蒸留技術は5~6世紀頃に、アイルランドの修道士が地中海地方から持ち帰り、それをスコットランドに伝えたとされています。
18世紀になると、スコットランドの人々はイングランドの圧政・重税から逃れるため、ウイスキーを樽に入れ、人目につかない場所に隠すようになりました。この習慣が、樽熟成という技術が誕生するきっかけとなったのです。
そして連続式蒸留機が登場すると、グレーンウイスキーを大量生産できるようになります。それによってブレンデッドウイスキーが造られるように。これが好評を得て1900年代にはスコッチウイスキーが蒸留酒の代表格となりました。
今やスコットランドは「ウイスキーの聖地」と呼ばれ、日本のウイスキー産業もスコッチウイスキーを参考にしている部分は多いといわれています。
スコットランドには100を超える蒸留所があり、輸出している国は200ヵ国以上にも上ります。世界のウイスキーの60%はスコッチウイスキーです。
代表的なスコッチウイスキー
スコッチウイスキーの銘柄としては、以下のものが人気です。
- ザ・マッカラン
- バランタイン
- ジョニーウォーカー ブラックラベル
- シーバスリーガル
- グレンフィディック
アイリッシュウイスキー
アイリッシュウイスキーはアイルランドで造られるウイスキーのことを指します。「ウイスキーの元祖」とも呼ばれるほど長い歴史を持っています。
アイリッシュウイスキーの特徴
大麦麦芽と未発芽の大麦を主体として、小麦やライ麦、オート麦などの穀物を混ぜた原料で仕込むのが伝統です。
アイリッシュウイスキーのほとんどの銘柄で乾燥させる際にピートを使用しないため、雑味が少なくすっきりと軽めの飲み口のものがほとんど。穀物本来の華やかな香りをふんだんに感じられることが魅力です。
伝統的な製法を用いて、3回蒸留して造るところもあります。
アイリッシュウイスキーの歴史
1172年に、イングランド王のヘンリー二世がアイルランドに侵攻した際の記録に、ゲール語で「命の水」を意味する「ウスケボー」についての記述があったと言い伝えられています。このことから、アイリッシュウイスキーが世界最古のウイスキーであると考える人も多いです。
10世紀頃にはアイルランドで大麦を原料として蒸留酒が飲まれていました。全盛期は19世紀後半から20世紀にかけてで、当時のウイスキーのシェアの60%を占めていたとされています。
しかしその後、アイルランド独立戦争やアメリカの禁酒法などの影響により、アイリッシュウイスキーの勢いは衰退。最盛期には200ほどあった蒸留所の数は、1980年代には2つだけになりました。
現在アイリッシュウイスキーは復興の最中にあり、次々と新しい蒸留所が立ち上がっています。
代表的なアイリッシュウイスキー
アイリッシュウイスキーの人気銘柄は、以下の2つです。
- ジェムソン
- ブッシュミルズ
アメリカンウイスキー
アメリカンウイスキーはその名の通り、アメリカで造られるウイスキーです。
アメリカンウイスキーの特徴
アメリカンウイスキーには、使われている原料によって以下の4種類に分類されます。アメリカンウイスキーは、スコットランドやアイルランドの移民から伝わりました。
- バーボンウイスキー:トウモロコシが51%~79%含まれているもの
- コーンウイスキー:トウモロコシが80%を占めるもの
- モルトウイスキー:大麦が51%以上含まれているもの
- ライウイスキー:ライ麦が51%以上含まれているもの
「アメリカンウイスキー=バーボンウイスキー」と思われがちですが、実はバーボンウイスキーはアメリカンウイスキーの一種です。
さらにバーボンウイスキーは産地によって2種類に分類されます。
- ケンタッキーウイスキー:ケンタッキー州で生産される
- テネシーウイスキー:テネシー州で生産される
アメリカンウイスキーの歴史
スコットランドやアイルランドからアメリカに渡った移民が、18世紀頃から造り始めたのがアメリカンウイスキーの起源とされています。
その後アメリカで独自の進化を遂げて、今の形になりました。
バーボンウイスキー独自の生産方法として、「サマーマッシュ」があります。これは糖化や発酵に不向きな弱アルカリ性の水のpHを調整するために、蒸留の際に出る酸度の高い廃液を加える方式です。
またバーボンウイスキーでは、新樽を使うのも大きな特徴です。スコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーでは、新樽は使われません。バーボンウイスキーの熟成では、内側を焦がした新樽を使うことで、バニラやトーストのような甘い香りがすることが大きな魅力となっています。
代表的なアメリカンウイスキー
主なアメリカンウイスキーには、以下の5種類があります。
- ジャック・ダニエル
- ジムビーム
- フォアローゼズ
- メーカーズマーク
- ワイルドターキー
カナディアンウイスキー
カナディアンウイスキーは、カナダで作られています。五大ウイスキーの中でも、最も軽やかな味わいが特徴です。
カナディアンウイスキーの特徴
カナディアンウイスキーには、「容量700リットル以下の樽で3年以上熟成させる」と規定があることが大きな特徴です。
原料は大麦麦芽やトウモロコシ、ライ麦、小麦といった穀物のみです。
カナディアンウイスキーには原料によって、さらに以下の2種類に分類されます。
- ベースウイスキー:トウモロコシを原料としたもの。味はマイルドで癖がない。
- フレーバリングウイスキー:ライ麦や大麦麦芽などを原料としたもの。スパイシーな風味。
上記の2種類のウイスキーか、2種類のウイスキーをブレンドしたものがカナディアンウイスキーと呼ばれます。
味の特徴としては、長期熟成によるまろやかな風味と、飲みやすい甘口が魅力となっています。
カナディアンウイスキーの歴史
カナディアンウイスキーは18世紀から造られ始めました。アメリカから移ってきたイギリス系移民によって造られたことが発祥です。
アメリカで禁酒法が施行された際には、カナダから大量のウイスキーがアメリカに輸出されました。それにより、カナディアンウイスキー業界は大きな利益になりました。
代表的なカナディアンウイスキー
カナディアンウイスキーの代表的なものは、以下の3つです。
- カナディアンクラブ
- クラウンローヤル
- カナディアンミスト
ジャパニーズウイスキー
ジャパニーズウイスキーはその名の通り、日本で造られるウイスキーのことです。世界的なコンクールでの受賞実績もある、偉大なウイスキーなのです。
ジャパニーズウイスキーの特徴
ジャパニーズウイスキーは、スコッチウイスキーをお手本にして造られました。
しかしその中でも、日本人の味覚に合うように、本場のスモーキーな香りは押さえた繊細で複雑な味わいが特徴。比較的軽めで、白檀のような甘い香りが感じられます。
原料は発芽させた穀類と水です。スコッチウイスキーをお手本にしていることから、ジャパニーズウイスキーでもモルトウイスキーとグレーンウイスキーが主流です。
ジャパニーズウイスキーの歴史
ジャパニーズウイスキーが本格的に造られたのは、1923年にサントリー山崎蒸留所が設立してからのことでした。
竹鶴政孝がスコットランドに渡り、本場の技術を持ち帰ってジャパニーズウイスキーを造りました。この経緯については、2014年に放送されたNHK連続テレビ小説「マッサン」で題材にされています。
今ではジャパニーズウイスキーの人気銘柄は発売とともに完売するものも多く、世界的に人気を集めています。国際的なコンクールでの受賞も多く、五大ウイスキーの中でも圧倒的な存在感を誇っているといえるでしょう。
ジャパニーズウイスキー業界では、長らくサントリー・ニッカ・キリンの「ビッグスリー」による寡占状態が続いていました。ウイスキーが売れない低迷期もありましたが、2008年にサントリーから発売された「角ハイボール」が大ヒット。これにより、一気にウイスキーブームが巻き起こります。
同時期から日本では蒸留所が増えており、現在は45社ほどが稼働しているといわれています。
2021年4月には、日本洋酒酒造組合が定めた「ジャパニーズウイスキーの定義」の運用が開始されました。日本独自の自然環境や生産技術、丁寧なものづくりの姿勢などによって、ますますジャパニーズウイスキーの価値が高まることが期待されます。
代表的なジャパニーズウイスキー
世界中でも人気を集めているジャパニーズウイスキーには、以下のものがあります。
- 山崎
- 白州
- 知多
- 響
\ ここでお知らせ /
資産運用をしたい方必見!
インフレ時代を乗り切る強い味方とも言える「アンティークコインでの資産運用」について、
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飲んで楽しむ!ウイスキーの美味しい飲み方
ウイスキーにはいくつも飲み方があり、楽しみ方が豊富です。ここではウイスキーを飲みなれていない方からお酒好きな方まで、どんな方でも楽しめる飲み方を紹介します。
【王道】飲みやすい飲み方
ウイスキーの王道の飲み方で、初心者でもチャレンジしやすいのが魅力です。
- 水割り:水とウイスキーを1:2で飲む。味はそのままで、アルコール感をまろやかにしてくれる
- ロック:氷が溶けると度数が下がるので、飲みやすい
- ハイボール:炭酸でのどごしと爽快感アップ。食事にも合う
【コア】飲みにくい飲み方
中級者以上向けの飲み方です。初心者の方には、飲みにくく感じるかもしれません。
- ストレート:ウイスキーそのものの味と香りが楽しめる
- トワイスアップ:水とウイスキーを1:1で飲む。味と香りを楽しみやすい
飲みやすいウイスキーの選び方
ウイスキーを楽しむには、飲みやすいものを探すことから始まります。ここでは飲みやすいウイスキーを選ぶポイントを2つ紹介します。
① ピート表示のないもの
ウイスキーにはピートで炊かれたものがあり、初心者には少し「クセが強い」と感じるかもしれません。そのため飲みやすいウイスキーを探すなら、ピート表示がないものを選ぶと良いでしょう。
ピートとは泥炭のことで、香りや風味がかなりスモーキーであることが特徴です。慣れないうちはきつく感じる可能性があるので、ウイスキーに慣れてからピートのものに挑戦するのがおすすめです。
② ブレンデッドウイスキー
ブレンデッドウイスキーとは、大麦麦芽のみで造られる「モルトウイスキー」と、トウモロコシなどで造られる「グレーンウイスキー」をブレンドしたもののこと。
飲みやすいようにブレンドされているため、クセがなくまろやかな仕上がりになっているため、初心者におすすめです。
ブレンデッドウイスキーにはたとえば、「サントリー 響」などがあります。こちらは山崎・白州・知多の3種類をブレンドしています。
中には40種類ほどのウイスキーをブレンドしたものもあるので、色々と調べてみるといいでしょう。
ウイスキーの資産価値
ウイスキーの資産価値は年々高まりつつあるといえます。
なぜならウイスキーは熟成に時間がかかるため、すぐに生産するのが難しいからです。それに加えてもともと希少価値が高いものや、年代物ならなおさら価値が高くなります。
人気の銘柄だと、定価の10倍近くの価格で取引されているものもあるほど。
特に「シングルカスク」というウイスキーは需要に対して供給量が極端に少ないため、高値で取引されるものが多い傾向にあります。
シングルカスクとは、ひとつの樽で熟成された原酒を瓶詰めしたものです。このシングルカスクは、世界中の愛好家から人気があります。
さらに最近では、朝ドラ「マッサン」の影響もあり、国内でもウイスキーの人気度が上昇しています。マッサンではジャパニーズウイスキーの誕生を描いたものであるため、ジャパニーズウイスキーの需要が増えているのが現状です。
ウイスキー投資の可能性
これまでにご紹介した通り、ウイスキーは熟成期間が長いものほど価値が高くなります。熟成期間が長いものは「ヴィンテージウイスキー」とも呼ばれ、世界中から需要があるからです。
最近では、カスク投資や投資用のファンドも多く出てきています。カスク投資とは、瓶詰め前の樽(カスク)の状態のウイスキーを購入する方法のこと。熟成が浅いうちに購入することになるので、長期保有することで大きな利益を狙います。
カスク投資で扱われるウイスキーはほとんどがスコッチウイスキーです。
投資用ファンドの活用もおすすめです。ウイスキーを対象とした投資信託で、プロが代わりに銘柄の選定や現物保管を行ってくれます。
手軽に始められる上に、手間もかからないのが魅力の方法です。有名な投資用ファンドの一つに、「WHISKY INVEST DIRECT」があります。イギリスで設立されたファンドで、主にスコッチウイスキーを対象としています。
WHISKY INVEST DIRECTはこちらからチェック
ウイスキー投資の具体的な始め方や、投資におすすめの銘柄、メリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひチェックしてみてください。
【まとめ】ウイスキーは奥が深く、資産価値の高いお酒
今回は、ウイスキーの詳しい分類やそれぞれの特徴、資産価値などについてご紹介しました。
ウイスキーは国によってかなり特徴があり、様々なものを飲み比べるという楽しみ方が可能です。また、熟成年数の長いものや、世界的に需要が高いものは年々価値が高まっています。投資対象としても魅力的であるため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ウイスキー投資にはカスク投資や、ファンドを利用した方法など、様々な方法があります。ご自身に合った方法で始めることがおすすめです。