現在香港のアンティークコインが世界中から投資先として人気を高めています。
特に中国からの注目度は非常に高いです。
イギリスによる植民地支配を受けた歴史を持つ香港のアンティークコインは、イギリスの統治者の肖像画と中国文化的なモチーフが描かれているものが多く、歴史的な価値を持つものも少なくありません。
この記事では香港のアンティークコインに投資する上で必要な歴史に関する情報や、アンティークコイン投資の特徴、なぜ今アンティークコイン市場において香港が注目されているのかを解説します。
アンティークコイン投資をする上でおさえておきたい香港の歴史
アンティークコインにはその国の歴史が反映されるものであり、歴史的価値はコインの価値に直結します。
従って投資での成功率を高めるためには、まずコインが発行された国の歴史を把握しなければなりません。
以下ではアンティークコイン投資をする上でおさえておきたい香港の歴史を解説します。
石器時代
香港の歴史は旧石器時代まで遡ることができ、現在の香港が位置する地域では当時人の活動があったと考えられる石器も発見されています。
当時そのあたりの地域は龍山文化など中国北方の文化よりも珠江デルタ地域の文化から影響を受けていたのではないかと考えられています。
中国史に登場する香港
紀元前214年、後に中国を統一する秦に支配されることとなり、以降このあたりの地域は中原王朝の支配圏となりました。
その後香港は交易港として重要な土地として扱われ、唐の時代には南海貿易の活性化により発展しました。
異国との交易が活発な地域は軍事面でも重要な地域でもあります。現在の香港がある地域は史料の中で軍隊の駐屯地「屯門」としても頻出します。
さらに海が近いことから塩や真珠の産出地としても知名度を上げました。
清朝
1644年、清代に入ると「広州」として港が開かれます。
広州の港には当時アジア貿易事業を展開していたイギリス東インド会社なども来航するようになり、1711年にはイギリスの商館も開設されるほどイギリスをはじめとするヨーロッパとの交易が盛んになりました。
しかし当時イギリスでは国内での経済・流行の動きを受けアジア諸国との交易が活性化していた反面、貿易赤字の問題を抱えていました。
そこでイギリスはこうした貿易赤字の問題を解消するためにインドのアヘンを清で売ることにします。
強い依存性を有する薬物であるアヘンが国内で大量流通したことにより清国内では依存症患者が急増し、国内の経済・風紀・国民の健康が激しく乱れました。
事態を収拾すべく清政府はアヘンを厳しく取り締まりますが、これに対するイギリスの反発により1839年、ついに清とイギリスの間でアヘン戦争が勃発します。
この戦争に清は敗北し、講和条約である南京条約によって香港島はイギリスに割譲されました。
イギリス植民地時代
アヘン戦争の終結後、香港一帯はイギリスの植民地となります。
イギリスの植民地となったことにより、香港はアジアとヨーロッパの貿易で栄えると同時にイギリス的資本主義が根付きました。
第二次世界大戦中香港は一時日本の占領下に置かれますが、無計画な日本軍による統治やイギリスが撤退したことによって貿易が停止したことによって地域一体が経済的に困窮することとなります。
日本の降伏後、中国政府はイギリスに対し香港の返還を求めますが、イギリスとの交渉は難航。
一方香港国内は中国共産党に反発する中国人が流入したことにより経済が発展しました。
さらに冷戦下では朝鮮戦争で朝鮮民主主義人民共和国に加担したことによって西側世界から隔絶されていた中華人民共和国にとっての、西側世界との唯一の窓口として栄えました。
現在の香港
その後も中英間での交渉は進められ1997年7月1日、香港はついにイギリスから正式に中華人民共和国に主権移譲されることとなります。
しかし香港では依然としてイギリス統治によって根付いた資本主義・民主主義の精神と中華人民共和国政府の方針の対立が続いています。
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現在の香港の通貨
以下では現在の香港の通貨について解説します。
香港の通貨は「香港ドル」
現在の香港の通貨は「香港ドル」です。
香港は一国二制度の下、香港特別行政区として高度な自治権を有している地域ではあるものの、外交および軍事面については中華人民共和国の直轄となっています。
イギリスから中国に返還されたものの香港では現在も資本主義・民主主義的な社会経済が根付いており、現在もアジアの経済的な要衝地としての地位を保っています。
人民元との関係
中国の人民元と香港ドルは異なる貨幣です。従って中国国内では2種類の通貨が流通しているということになります。
アメリカドルと値動きが連動する「ドルベック制度」を採用すると同時に中国と密接な関係を持っているのが香港ドルの特徴です。
こうした特徴から香港ドルはアメリカドルからの影響だけでなく中国経済からの影響を受けながら値動きします。
香港のアンティークコインの特徴
イギリスによる植民地支配を受けていた歴史を持つ香港では、周辺のアジア諸国とは異なる特徴を持つ貨幣が流通していました。
以下では香港のアンティークコインの特徴を紹介します。
イギリス統治時代の名残を感じさせるものが多い
イギリスのアンティークコインはコイン投資家の間でも非常に人気が高く、オークションで高値がつけられることも珍しくないコインです。
また、コインは歴史的にも単なる貨幣としての機能だけでなく、世界に権力をアピールするメッセージ性も持つものとして重視されてきました。
こうしたコインの特性ゆえに、香港で流通したコインにもエリザベス女王やヴィクトリア女王など、イギリスの統治者の肖像画が描かれてきました。
香港のアンティークコインには他のアジア地域の貨幣にはない、イギリス統治時代の名残を感じさせるデザインのものが多いです。
アジア的なモチーフが描かれたものが多い
鶏や馬などアジア的なモチーフが描かれたものが多いのも香港のアンティークコインの特徴と言えます。
イギリス的な雰囲気を持つ一方で漢字が刻印されているなど中国的な面もあわせもつコインが多いです。
まさに西洋と東洋の文化的交流が反映されたデザインと言えます。
ただの希少性の高さだけでなくこうした特徴もまた世界的に人気を集めている理由の一つです。
歴史を楽しみながら投資ができる
その国の歴史のロマンを楽しみながら投資ができるのはアンティークコイン投資の最大の特徴です。
現代に至るまで複雑な歴史を刻んできた香港のアンティークコインは、じっくりと眺めているだけで歴史の重みを感じられます。
現代に至るまで複雑な歴史を持つ香港のアンティークコインは歴史的な価値が高いものも多いため、そうした歴史を楽しみながら投資を続けられます。
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人気のある香港のアンティークコイン3つ
以下では香港のアンティークコインの中でも人気のあるものを3つ紹介します。
香港のアンティークコイン｜1000ドル プルーフ金貨 馬
1978年に発行された1000香港ドルのプルーフ金貨です。
エリザベス2世の肖像画と馬のモチーフが描かれています。
このコインはプルーフ金貨であるためビジュアルを重視して製造されました。実際に通貨として使用されることよりもコレクターを対象として製造されており、希少性も非常に高いです。
オークション等では100,000円以上の値で落札されることもあります。
香港のアンティークコイン｜1000ドル プルーフ金貨 鶏
こちらは上記の馬のプルーフ金貨とは異なるアンティークコインです。1000香港ドルのものであり、鶏のモチーフと上記のものと同様エリザベス2世の肖像画が描かれています。
アジア的なモチーフである鶏と香港での通貨であることを示す「香港」という漢字と、エリザベス女王の肖像画が1枚のコインに描かれていることから、歴史のロマンを味わえるコインとして人気があります。
香港のアンティークコイン｜1ドル銀貨 ヴィクトリア女王
1香港ドルの銀貨にはヴィクトリア女王と香港での通貨であることを示すモチーフが描かれています。
中国文化とイギリス文化という異なる2つの文化が融合した1枚です。
イギリスのアンティークコインの特徴
香港のアンティークコインにはイギリス統治時代を彷彿とさせるものが多いのが特徴です。
従って中国文化だけでなくイギリスからの影響を受けてデザインされたものも少なくありません。
以下ではより香港のアンティークコインへの理解を深めるためにイギリスのアンティークコインの特徴を解説します。
イギリスでは貨幣流通を重視されてきた
貨幣は通貨としての機能をになっているだけでなく政治的メッセージがこめられてた上で発行されることもあります。
こうした貨幣の性質に着目してきたイギリスでは古くから貨幣の流通が非常に重視されてきました。
そのためイギリスのアンティークコインには4つの国が統合されたことを示すものや、アフリカへの勢力波及を物語るものなど、当時のイギリスの世界に対する影響力が伺えるものが数多く存在します。
造幣技術の発展を垣間見ることができる
貨幣の流通に重きを置いてきたからこそ、イギリスでは造幣技術が発展しました。
17世紀ごろまではイギリスでも紀元前から続く製造方法であるハンマー打ちによるコインが製造・流通していましたが、16世紀頃ドイツで機械打ちによる製造方法が誕生したことにより次第にイギリス国内では機械打ちによるコインが流通し始めます。
その後、ニュートンによって貨幣鋳造にかかわる職人たちによる盗難対策が考案されます。
当時の貨幣鋳造現場では職人による金属の盗難が問題視されていました。「職人たちによる盗難」とは具体的には製造されたコインの端を削り、自分のものとする行為です。
コインに使用されている貴金属の量が減るということであり、盗難は貨幣の信用度に悪い影響を及ぼし金ません。職人による盗難が横行していた当時の貨幣の鋳造現場は常に貨幣の価値が下がるリスクを抱えていました。
こうした問題の解決策を考えたのがニュートンです。ニュートンはコインのふちをギザギザにすることで職人による素材金属の盗難を防止しました。
さらに18世紀にイギリスで始まった産業革命は貨幣鋳造技術を格段に進歩させます。産業革命以降、イギリスでは芸術性が非常に高いコインが数多く製造されました。
金本位制を考案した国
貨幣は国家の信用力を示すものであるため、貨幣への信頼をどのように担保するかは古来から工夫されてきました。
そうした中で19世紀のイギリスで考案されたのが金本位制です。
金本位制とは流通するさまざまな商品の価値を示す基準として金を使用するものであり、中央銀行が発行する貨幣は同じく中央銀行が保有する金と交換可能とすることで貨幣に対する信用力を保証するというものです。
従って金本位制の下では国内で発行される貨幣の量と中央銀行が保有する金の量が一致することになります。
この制度を考案したイギリスは以降「世界の銀行」として覇権をとることとなりますが、第一次世界大戦後の経済環境の変化についていけなかったことにより世界各国で金本位制は崩壊しました。
現在は各国で変動相場制がとられています。
イギリスのアンティークコインについてさらに詳しく知りたい方はこちらもチェック。
投資先としてのアンティークコイン
値崩れがしにくいうえに安定的に価値を高めていく性質があることから、現在アンティークコインは投資先として世界的に注目を集めています。
また、リーマンショックやコロナ禍といった世界的な経済環境の変化の中でもそれほど価値を落とさないといった安定性も人気を集める理由の一つです。
以下では投資先としてのアンティークコインの魅力を解説します。
アンティークコイン収集は「趣味」？
「アンティークコイン収集は『趣味』ではないか？」
と考える人は非常に多いです。
もちろん趣味としてアンティークコインを集めている人は他の骨董品や美術品の収集家と同様、以前から世界中にいます。
アンティークコインが他の骨董品や美術品と異なるのは、素材に貴金属が使われていることが多い点です。金や銀といった貴金属が使われていることから、アンティークコインは単なる骨董品・美術品としてだけでなく貴金属としての価値も持ち合わせています。
こうした素材の特性から近年の貴金属の相場価格の上昇を受け、アンティークコインは投資先としても人気を集めるようになったのです。
元々の愛好家はコインの歴史や発行された背景コインにまつわる物語を趣味の一環として楽しんでいるものではありますが、投資で成功するためにはこうした物語を情報として把握する必要があります。
情報収集の一環として歴史的背景もおさえることをおすすめします。
アンティークコイン投資の魅力
骨董品や美術品としてだけではなく貴金属としての価値を持つアンティークコインの価値は、貴金属の相場価格から影響を受けます。
貴金属は採掘される量に限りがあり、年々希少性が高まっていることを受け、アンティークコインの価格は今後も上昇するのではないかとの予想がなされています。
さらに美術品・骨董品・史料としての価値も持つのがアンティークコインです。発行当時の美術様式や歴史的背景を物語るものであればあるほど人気が高まり価格が上昇します。
また、時代が古くなるにつれて希少性も高まるものであることも、安定的に価値を伸ばし続ける理由の一つです。購入時から時間が経てば経つほど価格が上昇することが期待されます。
こうした特性を持つことからアンティークコインは値崩れがしにくく、社会情勢の影響を受けにくい銘柄と言えます。リーマンショック時でも価格を安定的に伸ばし続けたこともあり、現在世界中の投資家から注目を集めている投資先です。
アンティークコイン投資に潜むリスク
金融商品など他の銘柄と異なり、アンティークコインは比較的安定的に価値を伸ばす銘柄ではあるもののリスクが全くないわけではありません。投資と言うからにはリスクがあるということを理解しましょう。
アンティークコイン投資に潜む代表的なリスクとしては、贋作などによる詐欺被害があげられます。投資先として世界的に注目を集めているからこそ、偽物のアンティークコインで人を騙そうとする人も少なくありません。
さらに正確に相場を把握していないままアンティークコインを購入すると損をするリスクが高まります。購入の際には相場を把握した上で手数料等購入にかかる諸経費を計算し、将来のシミュレーションを行うようにしましょう。
贋作にひっかかることを防ぎ、投資を成功へと導く上で正確な情報を把握することは非常に重要です。
アンティークコイン投資で成功するためのポイント
本物かどうかの確認は購入前に必ずしなければなりません。PCGSやNGCといったアンティークコインの鑑定機関も存在するため、そういった機関からの鑑定を受けたものを購入することで贋作被害を防止できます。
あらかじめ投資予算を決めておくことも重要です。無理をして高価な銘柄を購入することは避けましょう。予算に見合ったコインを購入し、価値が上がった頃に売却することで、さらに高価なアンティークコインへの投資資金とすることもできます。
アンティークコインはすぐに利益が得られる投資先ではありません。じっくりと価値が上がるのを待つ必要があります。常に長期的な視点に立てるかどうかも非常に重要です。
アンティークコイン投資についてさらに詳しく知りたい方はこちらもチェックしてみてください。
アンティークコイン市場で香港が注目を集めている理由
香港は現在アンティークコイン市場において非常に注目されている国でもあります。
以下ではなぜ香港が重要なのかについて解説します。
中国でのアンティークコイン投資の人気の高まり
現在中国国内では投資先としてアンティークコインへの人気が加熱しています。
安定的に価値を伸ばし続けることや経済情勢の影響を受けにくいといった特性のため、アンティークコインは近年中国でも特に富裕層から人気を集めるようになりました。
今後も中国国内での貧富の差が拡大するに従って、中国ではアンティークコインに投資する富裕層が増加することが予想されます。
香港でのオークションにはアジア諸国のアンティークコインが集まる
その国の歴史を反映するものでもあるため、アンティークコインは発行された国で最も高い人気を誇る傾向があります。
これまでも中国国内では中国のアンティークコインが最も人気であり、欧米圏のコインを求める中国人は非常に少ないのが一般的な傾向でした。
そして海外のオークションでも中国のアンティークコインに最も積極的に参戦するのも中国人でした。
しかしアンティークコイン投資が加熱するということは、アンティークコインの価格が上昇すると言うことでもあります。中国国内での需要の高まりを受け、中国のコインは近年価格が急激に高騰しました。
中国のコインからお手頃感がなくなった今、中国人が注目しているのは周辺のアジア諸国のアンティークコインです。最近のオークションフロアではモンゴル、タイ、インドといったアジア諸国のパートでも積極的に参戦する中国人が増加しています。
香港でのオークションにはアジア諸国のアンティークコインが集まる傾向があることから、現在香港はアンティークコイン市場として中国の富裕層から注目されている地域です。
アジア諸国のコインであっても中国の富裕層が積極的に落札するため、現在香港でのオークションは非常な盛り上がりを見せています。
中国での不動産市場に対する危機感
現在中国国内の不動産市場は非常に不安定であり、危機感を募らせている中国人も国内に少なくありません。不動産会社が相次いで経営危機に陥るなど、日本のバブル崩壊を彷彿とさせる事態も目立っています。
こうした国内での不動産市場に対する危機感や人民元の信用力の低下が、富裕層を中心としたより安定的な銘柄の需要の高まりにつながっているのです。
今後も中国国内での経済や社会情勢の変化による影響を受け、香港のアンティークコインを中心にさまざまな銘柄の価格が変動する可能性があります。
アンティークコインは社会情勢の影響を比較的受けにくい銘柄ではありますが、投資を成功させるためにも価格上昇の背景を注視するよう心がけましょう。
まとめ：香港のアンティークコインは今後も注目銘柄である可能性が高い
香港は魅力的なアンティークコインが多いだけでなく、市場としても注目を集めている地域です。今後も社会情勢の影響を受けながら中国をはじめとする世界中から人気を集める可能性があります。
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