A.ランゲ&ゾーネは希少性・芸術性共に非常に高いことから時計投資家の間で注目されている時計ブランドです。
資産価値を持つ高級時計ブランドにはさまざまなものがありますが、その中でもA.ランゲ&ゾーネは高い人気を誇っており、今後も価格が上昇することが期待できます。
この記事ではA.ランゲ&ゾーネの歴史や特徴、資産価値としての魅力、時計投資を成功させるコツなどを解説します。
A.ランゲ&ゾーネの歴史
A.ランゲ&ゾーネは1845年にドイツのグラスヒュッテ(現ザクセン州)で誕生した時計ブランドです。
グラスヒュッテは銀の採掘などで栄えた地域でしたが、時代の流れと共に産業が衰退し、A.ランゲ&ゾーネが誕生した頃には財政難に喘いでいました。
そこでザクセン王室は、地域復興事業計画としてグラスヒュッテで若い時計職人の育成事業を提案したアドルフ・ランゲを支援することにします。
こうして財政難に苦しんでいたグラスヒュッテは時計工房A.ランゲ&ゾーネの誕生によって精密時計産業地帯への変貌を遂げました。
しかしようやく地域復興の目的を果たしたものの、第二次世界大戦の終戦前夜に空襲を受け、本社が消滅してしまいます。その後も1948年には社会主義国である東ドイツに資産を接収されることにより、ブランドそのものも一時は消滅してしまいました。
一方で1924年に生まれ、ブランドの最盛期から消滅までを経験したウォルター・ランゲは第二次世界大戦後は西ドイツに亡命し、ブランド復興の機会を伺います。
そして 1989年のベルリンの壁崩壊・東西ドイツの統一を機に元グラスヒュッテにあたる現在のザクセン州にランゲ・ウーレンGmbHを設立し、1990年にブランドの復活を果たしました。
こうした歴史的背景から、A.ランゲ&ゾーネはドイツの復活のシンボル的なブランドとも言われています。
腕時計A.ランゲ&ゾーネのデザインの特徴
以下ではA.ランゲ&ゾーネのデザインの特徴について解説します。
徹底したマニュファクチュール体制
A.ランゲ&ゾーネは現在に至るまで、創業の地・グラスヒュッテでのマニュファクチュール体制を徹底しています。
マニュファクチュールを謳うブランドは現代でも数多く存在しますが、ムーブメントの設計やパーツの製造、組み立て、外装製造の全てをマニュファクチュールで行っているブランドは滅多にありません。
ムーブメントのパーツの中でもヒゲゼンマイは、特に精密な部品であることから自社製造することが難しいとされています。
こうした超精密パーツをも自社内で製造するという徹底ぶりは造形美にも現れることから、A.ランゲ&ゾーネは単なる時計としてだけでなく、芸術性も高く評価されている時計ブランドです。
モデルごとにムーブメントを新作するこだわり
時計ブランド業界では同じ機能を持つ時計には同じムーブメントを搭載するのが一般的です。文字盤のデザインはムーブメントにあわせて作られるものでもあるため、同じムーブメントを持つモデル同士ではどうしてもデザインも似通ったものになってしまいます。
しかし「最新ムーブメントを搭載してこそ最新モデル」という哲学が根付いているA.ランゲ&ゾーネは、新しいモデルを開発するごとにムーブメントも0から製造しているという非常に珍しいブランドです。
また、ムーブメントありきでデザインが決められるのもA.ランゲ&ゾーネの強みと言えます。
このようにモデルごとに新しいムーブメントを開発しているため一つ一つのモデルに当然莫大なコストがかかります。だからこそA.ランゲ&ゾーネは時計ブランドとして世界中から愛されているのです。
3/4プレート
腕時計の背面のプレートは全てのパーツを支える重要な役割を担っています。
A.ランゲ&ゾーネのプレートは腕時計の耐久性や精度の安定性を向上させるために、ムーブメントの面積の3/4を洋銀製のプレートでカバーするという設計にこだわっています。
大きな一枚のプレートで歯車を固定するというこの独特な設計は、高い技術を持った職人にしか組み立てられません。
IWCやパネライなど、A.ランゲ&ゾーネ以外にも大きなプレートでムーブメントを支える構造を取り入れているブランドは存在しますが、A.ランゲ&ゾーネと比べるとプレートの枚数が多いため難易度はいくぶん下がります。
組み立てに高い技術を要し、他ブランドに簡単に真似することができないことから、A.ランゲ&ゾーネのこのプレートは「3/4プレート」と呼ばれています。
つまり3/4プレートはA.ランゲ&ゾーネの技術力と芸術性を象徴するデザインでもあるということです。
エングレービングが施されたテンプ受け
文字盤装飾だけでなくテンプ受けにもグラスヒュッテを含むライン川流域の伝統技法であるエングレービングを施すことも、A.ランゲ&ゾーネならではの特徴と言えます。
エングレービングとは銅版画で用いられる凸版技法のひとつです。A.ランゲ&ゾーネの腕時計には文字盤など見えるところだけでなく、ムーブメントの内部のテンプ受けにも熟練した彫金師がエングレービングを施します。
彫金師の個性と技巧が現れるエングレービングが施されたA.ランゲ&ゾーネの腕時計は、芸術性だけでなく希少性も高くなります。
A.ランゲ&ゾーネの資産価値としての魅力
時計としての精度や安定性を誇るだけでなく、細部に至るまでドイツの伝統技法がこらされたA.ランゲ&ゾーネの腕時計は資産価値を持つと考えられても不思議ではありません。
以下ではA.ランゲ&ゾーネの資産価値としての魅力について解説します。
高い芸術性と希少性
製造に際してマニュファクチュール体制を徹底しているA.ランゲ&ゾーネは、高い技術を持つ職人にしか組み立てられない腕時計でもあります。
こうした理由からA.ランゲ&ゾーネは年間数千本しか製造されない、非常に高い希少性を誇る腕時計として知られています。
また、A.ランゲ&ゾーネは時計としての機能性・精度だけでなく芸術性も高い腕時計です。
文字盤など表面から見える箇所だけでなく、ムーブメント内部に至るまでドイツの伝統技法であるエングレービングを施すというこだわりは、時計好きだけでなく芸術を愛する人たちからも愛されています。
A.ランゲ&ゾーネは高い技術力と伝統を重んじる精神が宿った時計と言えるでしょう。
世界トップクラスのブランド力
高い技術力と芸術性を兼ね備えたA.ランゲ&ゾーネのブランド力は世界トップクラスと言っても過言ではありません。
A.ランゲ&ゾーネでは世界屈指の時計職人が全てのモデルの製造にあたっています。このような徹底したマニュファクチュール体制を貫くことは容易ではありません。
高いブランド力を誇っていることから、A.ランゲ&ゾーネは「比較的安い」と言われているモデルでも数百万円という定価がつけられます。
また、ドイツの歴史を反映しているかのようなブランドストーリーを持つことも世界中から尊敬を集める理由の一つです。
中古であって新品に近い価格がつくことも珍しくない
一般的な時計ブランドの場合、どんなに状態がいいものであっても中古品の買取価格は定価の30%程度の価格がつけば十分と言われています。
そんな中で、A.ランゲ&ゾーネは定価の70%の価格で買い取られることも珍しくないブランドです。
特に希少性が高いものであれば定価以上の買取価格がつけられるという事例もあります。
中古であっても新品に近い価格で売却できることから、A.ランゲ&ゾーネは実物資産としても魅力的な時計と言えます。
A.ランゲ&ゾーネは愛好家だけでなく将来の価格の高騰を期待している時計投資家からも注目されている時計ブランドです。
世界的な著名人・セレブからも愛されている
その希少性・芸術性の高さから、A.ランゲ&ゾーネは世界的な著名人やセレブからも愛されている時計ブランドです。
サッカーのスター選手であり、高級時計の愛好家でもあるクリスティアーノ・ロナウドもA.ランゲ&ゾーネを何本か所有しています。A.ランゲ&ゾーネを身につけ公の場に出ることもあるため、写真などでチェックすることも可能です。
フォーミュラ1ドライバーであるルイ・ハミルトンもA.ランゲ&ゾーネの愛用者の一人です。モータースポーツ界の一線で活躍する人だからこそ、彼はA.ランゲ&ゾーネの精密さに魅了されたのでしょう。
また、ルイ・ハミルトンはA.ランゲ&ゾーネのメカニック性だけでなく芸術性も愛している人として知られています。
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A.ランゲ&ゾーネを高く売却するコツ4つ
高級時計ブランドの中でも定価に近い価格で買い取られることが珍しくないA.ランゲ&ゾーネですが、売却するタイミングなどを工夫することで買取価格がさらに高くなる可能性があります。
以下ではA.ランゲ&ゾーネをより高く売るコツを4つ紹介します。
1.A.ランゲ&ゾーネは状態にかかわらず高く売却できる可能性が比較的高いということを理解する
まず、A.ランゲ&ゾーネは状態にかかわらず高く売却できる可能性が比較的高い時計ブランドであることを理解しましょう。
一般的な高級時計ブランドの場合、希少価値が高くても状態が悪いものは買取価格が低くなる傾向があります。
しかしA.ランゲ&ゾーネは仮に状態が悪くても高く売却できる可能性が高いブランドです。
「A.ランゲ&ゾーネだから」
という理由だけで高価買取する業者も少なくありません。
そのため状態が悪いからという理由で勝手に「高く売れないだろう」と見積もるのは非常に危険です。
通常とは異なりA.ランゲ&ゾーネは状態の良し悪しにかかわらず高価買取が期待できるブランドであるため、買取価格は必ず複数社で比較するようにしましょう。
2.円安のタイミングで売却する
円安下では国内での輸入品の価格が高くなります。高級時計も例外ではなく、円安の状況下では日本円で買うことによって定価よりも高くなることも珍しくありません。
海外からの輸入コストが高くなるため円安になると、
「定価で新品を買うよりも安い中古を買った方が得」
と考える人が増えます。
その結果国内での中古の需要が高まり、買取価格が上昇します。
できるだけ高く売却するためにも、A.ランゲ&ゾーネを売却するのであれば円安のタイミングを狙うようにしましょう。
3.査定時には付属品や保証書等を一緒に出す
査定に出す際には付属品や保証書などを一緒に出すようにしましょう。オーバーホールをした場合はその証明書も一緒に出します。
取扱説明書や外箱、専用ケースなどの付属品がそろっていれば、本物であることを証明しやすくなり、査定もスムーズに進められます。
さらにA.ランゲ&ゾーネは購入時に「時計の履歴書」と呼ばれる冊子も一緒についてきます。時計の履歴書にはモデル番号・ケース番号・ムーブメント番号といった時計本体に関する情報や、修理や点検について記録するページが設けられています。
また、保証書類も時計の履歴書内に収録されています。
つまりA.ランゲ&ゾーネの時計の履歴書は文字通りその時計にまつわるさまざまな経歴が記録される冊子となっています。
本物かどうかを裏付けるだけでなく、時計の状態を示す書類であるため、査定時には一緒に出すようにしましょう。
また、A.ランゲ&ゾーネは希望するオーナーに対し、有料で出自証明書も発行しています。出自証明書も本物であることを証明する付属品の一つであるため、売却する際には一緒に提出しましょう。
4.高級時計の買取に精通した買取店を利用する
非常に高い値段で売却できる可能性があるA.ランゲ&ゾーネは、目利きの査定師に依頼する必要があります。
買取業者にもさまざまなものがあり、高級腕時計ブランドにあまり詳しくない業者も少なくありません。高級腕時計に精通していない査定師の場合、相場通りの買取価格で買い取ってもらえないリスクが高まります。
A.ランゲ&ゾーネを売却する場合は、高級時計の買取実績が多い買取業者に依頼するようにしましょう。
すでにA.ランゲ&ゾーネを買い取った実績がある業者であれば安心できる可能性が高いです。
時計投資で失敗を防ぐポイント3つ
以下では時計投資で失敗を防ぐためのポイントを3つ紹介します。
1.保管方法に気を配る
A.ランゲ&ゾーネは状態の良し悪しにかかわらず高価買取してもらえる可能性が高い時計ブランドですが、それでも状態の悪いものはどうしても買取価格が安くなってしまいます。
少しでも高い値段で売却するためにも、保管方法には気を配るようにしましょう。
特にA.ランゲ&ゾーネはムーブメントに真鍮よりも酸化しやすい洋銀を使用しています。洋銀が酸化すると変色が目立つだけでなく時計の精度にも影響を及ぼす恐れもあります。
一般的な時計とは異なりA.ランゲ&ゾーネは非常にデリケートな素材を使用しているため、大切に保管するようにしましょう。
2.オーバーホールはコストとのバランスを見て考える
オーバーホールをすることによって時計の精度を維持し、外観を保つことが可能になりますが、売却を考えるのであればコストとのバランスを考える必要があります。
日本国内のオーバーホールの相場は5〜15万円です。
A.ランゲ&ゾーネは高価買取してもらえる確率が比較的高い腕時計ではありますが、売却前にオーバーホールすると当然その分利益が少なくなってしまいます。
オーバーホールはコストのバランスを見計らった上で適切なタイミングで行うようにしましょう。
3.新モデルの発表直後は売却を控える
新モデルの発表前後は時計市場が変動する傾向があります。特に新モデルの発表後は既存モデルの需要が一時的に低下することが多いです。
そのため新モデルの発表直後は売却を控えるようにしましょう。新モデルの発表直後は本来の買取価格よりも安くなる可能性が高いです。
しかし希少性の高いモデルであれば新モデルの発表後にかえって価格が上昇することもあります。
新モデルの発表後の価格はモデルの希少度・人気度によって異なる変動をするものであるため、自身の持つ時計のモデルのおおよその傾向を把握することも重要です。
A.ランゲ&ゾーネのおすすめモデル5つ
以下ではA.ランゲ&ゾーネの中でも特に将来の資産価値が期待できる、おすすめのモデルを5つ紹介します。
ランゲ1
ランゲ1はランゲブランドの復活第一号として、1994年に製作されたモデルです。発売から20年以上経った今も高い人気を誇っています。
特に数量限定モデルは世界的にも高い人気を誇っており、750万円で買い取られた事例もあります。
1815
創業者のアドルフ・ランゲの誕生年にちなんでつくられたモデルである1815は、ブルースチール製の針やアラビア文字、線路をイメージしてデザインされた分目盛など、彼が活躍した時代を彷彿とさせるデザインが特徴的です。
1995年に発売されて以来、世界中の時計愛好家たちから愛されています。
サクソニア
ランゲ1と同じく1994年に発表されたモデルであるサクソニアは、シンプルなデザインが特徴的です。他のモデルに比べてケースが薄いため、場面を選ばず使用できることから人気を集めています。
オデュッセウス
オデュッセウスはA.ランゲ&ゾーネにとって初めてのSS(ステンレススチール)素材で作られたモデルです。
120m防水という高い機能性を誇ると同時に、針にホワイトゴールドを使用しているなどデザイン性も優れていることから、価格が最も高騰しているモデルと言われています。
ダトグラフ アップ/ダウン
ダトグラフ アップ/ダウンは文字盤にミニッツリピーター、スモールセコンド、そしえA.ランゲ&ゾーネならではの特大日付表示機構であるアウトサイズデイトを備えつつもすっきりとしたデザインが特徴的なモデルです。
精度だけでなく、視認性の高いデザインであることから、A.ランゲ&ゾーネの技術力の高さを実感できるモデルと言えます。
まとめ:A.ランゲ&ゾーネは芸術性・希少性が非常に高い腕時計
時計としての精度の高さだけでなく、その芸術性も高く評価されているA.ランゲ&ゾーネは、資産価値を持つ腕時計としても注目されています。
ドイツの歴史を反映したブランドエピソードを持つA.ランゲ&ゾーネは今後も世界中から愛されるブランドである可能性が高いです。モデルによっては価格の高騰も期待できます。
A.ランゲ&ゾーネはこれから時計投資を始めたいという人にもおすすめのブランドです。
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